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「家事」も「仕事」も、タスクを細かく分割できる人がうまくいく理由

Last updated at Posted at 2024-02-13

夫婦のケンカの種といえば、多くのご家庭で「家事の負担・分担」があげられると思います。うちも例にもれず、私が妻に怒られることがよくあります。

また、女性向けの Web メディアでは、家事に非協力な夫をかいた記事に多くの共感があつまっているようです。その中には、夫が最後に復讐されたり会心せざるを得ないような、スカッとするような内容もあります。


なぜ、このように、家事のことになると妻に怒られる(不満を持たれる)夫がいるのでしょうか。この問題について、私の中でひとつの回答がありますので、今日はそれを皆さんに共有したいと思います。


■本記事の内容

  • 妻に家事について怒られる(不満を持たれる)人は、タスクの細分化ができていないのではないでしょうか。
  • 家事はひとつひとつが大きなタスクです。また、それは仕事と同じように作業計画のとおりに消化されます。
  • そういう意味では、『家事』は巨大なプロジェクトと言えるでしょう。さらに、非常に複雑なマルチタスクです。
  • ですので、タスクを細分化しないと手のつけようがありません。ましては、自分の作業範囲も分かっていなければ怒られるのは当然でしょう。
  • 仕事においても同じことがいえます。


家事を手伝っても、なぜか怒られる

結婚して2年ほど経ちますが、いまでも家事を手伝っていて妻に怒られることが多く、つねづねその原因を知りたいと思っていました。例えば、洗濯に関してだけでも、こんなやりとりがあります。


私「(`・ω・´)ゞ 洗濯もの洗っといたで」

妻「これは洗濯機で洗えんって言ったやん。ここのタオルも洗ってくれてないやん。もう、こんないっぺんにやってもキレイにならんよ………急にシーツとか洗われても干すとこないし。ちゃんと考えてよ。」


私「(`・ω・´)ゞ 洗濯もの取り込んどいたで」

妻「は?今からご飯やで………におい移るやん。あと、それはいつたたむつもりなん?てか、たたむまでがセットやねん。シワになるから1ヵ所につくねないで。ぇ、待って、そもそもその床は綺麗なん?」


私「(`・ω・´)ゞ 洗濯もの片付けといたで」

妻「決まった場所に片付けてや………適当においてるだけやん。スカートはシワになるからハンガーにかけるだけやで。あと、Yシャツは片付ける前にいつもアイロンかけてるやろ?ホンマなんも見てないんやな。」


私「( ´ ; ω ; ` ) ぶわっ」


--


こんな感じで「なぜか怒られる」状況になります。普通に家事をしているつもりでも、なかなかうまくいきません。


私はその原因をみつけるために、あらためて妻と家事の負担度について話し合いました。そこではじめて、私の考えていたタスクと妻と考えていたタスクがあまりにも乖離していることが分かったのです。

───つまり、それこそが私が怒られる原因でした。私が認識していない作業が多くあり、それをしないために作業クオリティが低くなっていたのです。


あまりにも大きかった認識の違い

では、私にはどんなタスクが足りなかったのでしょうか。以下に(ここまでも例であがっている)「洗濯」について、お互いが考えていたタスクを別々に書き出してみます。


まず、私が考えていたタスクはこちらです。

・洗濯をする。
・洗濯物を干す。
・洗濯物を取り込む。
・洗濯物をたたむ。
・洗濯物を片付ける。

まぁまぁ、こんなものでしょうか。


で、妻が考えていたタスクがこちらです。

・天気を確認する
 ・気温や湿度を確認する。
  ・太陽は出るか?
  ・夕方までに乾きそうか?
  ・風によって飛ばされる心配はないか?
 ・洗濯する日と時間を決める。
 ・(問題があればリスケジュールする。)

・洗濯物を集める
 ・部屋中をチェックし、脱ぎ捨てられた物がないか確認する。
  ・ソファの下やベッドの下など。
  ・脱衣所の洗濯機の裏も確認。
  (投げたときに入らなかったもののケア)
 ・部屋中のタオルを集める
  ・キッチン、洗面所、トイレなど。
 ・カバーやシーツ系を集める
  ・トイレマットと便座カバー
  ・枕カバーと布団のシーツ(敷布団・掛け布団)
 ・その他の確認
  ・カーテン
  ・玄関マット
  ・リビングやキッチンの敷物
  ・お弁当箱入れ、鍋掴み、鍋敷き、布巾
  (これらを洗うべきかの判断もここで行う)

・洗濯物を精査
 ・何回の洗濯が必要か確認する。
 ・1回目の洗濯で洗うものと、2回目のものを分ける。
 (大きな衣類は細かいものと混ぜない)
 ・すぐに洗う必要があるものを優先する。
 ・干す場所が十分にあるか確認する。
 ・手洗いが必要なものを分ける。
 (洗濯機が使えない or 特に汚れがひどいものが対象)

・洗濯機を動かす
 ・Yシャツの黄ばみを取るために、別の洗剤を塗っておく。
 ・洗濯物によって洗剤を分ける。
 ・洗濯物によって柔軟剤を分ける。
 ・必要に応じて洗濯機の設定を変更する。
 (脱水や乾燥で傷んでしまう服のケア) 
 ・おしゃれ着や高価な服は裏返す。
 ・下着はネットに包む。

・手洗いが必要なものの対応
 ・<さらに細かいタスク群になるため省略>

・洗濯物を乾かす
 ・しわにならないよう細部まで伸ばす。
 ・服の大きさによってハンガーを選択する。
 ・ワイドハンガーには限りがあるので、考えて使う。
 ・風で飛ばされそうなものは洗濯バサミを使う。
 ・シーツなどを干す場合は、先に干し竿を拭いておく。
 (前日の雨や、黄砂などの汚れをケア)

・洗濯物を取りこむ・たたむ(セット)
 ・花粉や虫を落とすため、はたいてから取りこむ。
 ・取り入れる場所は綺麗か確認する。
 (髪の毛やほこりが洗濯物につかないか?)
 ・洗濯物はすぐにたたむ。
 (たためない場合、シワになるだけなので取り込まない)
 ・そもそも「たたまないもの」もあるので分けておく
 ・アイロンが必要なものを分けておく

・アイロンをかける
 ・<さらに細かいタスク群になるため省略>

・洗濯ものを片付ける
 ・所定の場所に片付ける
 (これは当然だけど、片付ける場所も多数あり)
 ・しわになりそうなものはハンガーにかける
 (使うハンガーにも気を遣うらしい…)
 ・季節もの(もう着なさそうなもの)を分ける


さて、どうでしょう。驚くべき認識の違いです。これは決して大げさな話ではなく、また無理やり作り出したタスクでもありません。

そりゃ、これだけの違いがあれば、私が適当に洗濯機にポイポイ放り込んで「洗濯やっといたで」って言っても、妻に「ぇ?何が?www」って言われてしまうわけです。


それも知らず、私は褒められると思っているわけです。なんなら内心は「やってあげた」です。しかし怒られます。しかも、余計なことすんなみたいな感じに怒られます。

こういう仕組みで、「せっかくやってあげてんのに!」「やる気なくすわー、もうやらん!」と喧嘩になるのです。


これにはハッとさせられました。仕事で怒られるより、妻に怒られる回数のほうが多いのも納得です。


--


また、妻の考えていたタスクを聞いて、私は『名のある家事』しか知らないことに気が付きます。上記でいう「洗濯をする」「洗濯物を取り込む」「洗濯物を片付ける」などです。しかし、これらはアプリ開発でいうところの、設計、開発、テストのような大きなタスクの概要でしかありません。つまり、本来であれば(仕事であれば)さらに小さなタスクに分割しなければならなかったのでしょう。

私はこれになかなか気が付けずにいたのです。



細分化をしないとどうなるか

細分化しないとどうなるか。それはもう皆さんにも伝わっていると思いますが、あえて結論としてまとめるとすれば、作業クオリティが低くなるので上司(妻)に怒られます。

そのほか、次のようなデメリットがあり、それぞれが作業クオリティに直接響くといった感じでしょうか。

  • 腰が重たくなるので、作業の開始が遅れる。
  • 具体的に何をすればいいのか分からないため、どれくらい時間がかかるか分からない。
  • やらないといけないタスクを漏らす可能性が高くなる。
  • また、無駄なことをしたり、間違ったことをする可能性も高くなる。

これらは、タスクの細分化ができていれば回避できるかもしれない問題たちでしょう。もちろん、タスクを細分化したうえで「"自分の守備範囲のタスク"をちゃんと把握してますか?」ってことが重要なのですが、まずは細分化されていなければお話にすらなりません。

細分化をしないで───例えば「掃除」というタスクで「床に掃除機をかける」だけを遂行して───「今日は俺が掃除をした!」と言われたらそりゃ腹も立つでしょう。

「料理なんて、そんなに手間かかるの?」といった(本当にバカげた)勘違いは、工数感が明確になっていないが故のすれ違いだったりします。


これを理解していれば、とても「今日の洗濯は全部俺に任せろ!」なんて言えないはずで、さすがにどこか手伝ってほしいと思ってしまうでしょう。(まぁ、妻はひとりでもやってのけるのですが…)


--


この話は、仕事にも同じことが言えます。タスクの細分化をしないことで、作業クオリティが落ちたり、言われたことを正しくできないのなら、あなたに与えられる評価は次のものになるでしょう。

  • あいつは自分で考えない無能だ。
  • 仕事に対して責任感がない。
  • 任せてもクオリティが低く、作業に戻りが発生する。

実際に、会社でもタスクの細分化がうまくできない人は、私のように一般職(ここでは指示を受ける側)で足踏みすることになります。きちんと考えない限りは管理職になることはないでしょう。



ほとんどの人が知らない『家事』の正体

もう書きたいことは書ききってしまったのですが、せっかくなのでもうふたつ、絶望的な事実をお伝えして締めようと思います。


まずひとつめです。洗濯は「家事」というプロジェクトの、たったひとつのタスクでしかありません。もう一度いいます。あの膨大に細分化された洗濯のタスクは、数あるタスクの中のひとつでしかありません。

ざっくりですが、「家事」をバラすとこんな感じになります。

プロジェクト『家事』のタスク
・料理
・洗濯
・掃除
・育児・介護
・家計管理
・収納・整理整頓
・生活環境の保守・交流
・季節行事


次に、ふたつめ。これらはマルチタスクです。もう一度いいます。これら複数のタスクは並列で実行する必要があります。(細かいことまでいうと、パフォーマンスも考えながら実行しなければなりません。)


--


不思議なことに、家事に対しては「できて当然」というように認識している人が多いように思います。誤解を恐れずに言えば、家事を舐めてる人が多いです。

しかし、すでに記載した通り、家事はできたら「すげぇ」ものです。

  • 「家事」という巨大プロジェクトは、そのひとつひとつのタスクが重たいです。
  • また、それらは非常に複雑なマルチタスクです。
  • 今回は洗濯という1つのタスクを紹介しましたが、実は「掃除」「料理」とかの方がヤバいです。
  • 私は未経験なのですが、子育てが入ると難易度が爆増するようです。

こんな巨大プロジェクトに対して、1日中考えて動くとすると当然のように疲弊してしまいますし、とても時間なんて足りるわけがありません。休憩なんてほとんどないでしょう。


もちろん、それぞれの家庭によって、家事というプロジェクトの難易度が違うことは理解しています。子どもがいるかどうかで家事の量と特性は変わりますし、ご夫婦共にフル出勤では家事に費やせるリソースがまるで違うわけです。

しかし、どの家庭でも、各メンバーがタスクの細分化と、その認識合わせをしないとトラブルになったり、不満がたまることは確かなことだと思います。多くの人が「仕事はタスクの細分化が重要だ!」と強く信じているように、家事もタスクの細分化をしなければいけないのです。


今回の件で、私もタスクの細分化は「仕事」だけではなく「家庭」でも有効だと強く認識しました。



以上です。

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