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なぜエナジードリンクは『効く』のか、依存症の記事を読んで納得した。

Last updated at Posted at 2023-09-26

この記事は、「で、結局エナジードリンクって効果あんの?」という疑問に対して、私が真剣に考えた結果をまとめたものです。内容は私自身の興味本位から生まれたものですので、エンターテインメントとしてお楽しみいただければ幸いです。

また、一般化しようという意図はミジンコほどもありません。



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記事の内容と、結論を先に書いておきます。

  • エナジードリンクの効果は「ある」と思います。ただし、その効果はプラセボ効果(プラシーボ効果)と言います。
  • 人間の思い込みには絶大な効果があり、さらに『対価』が大きいほど効果は高くなります。
  • エナジードリンクには、プラセボ効果にかかりやすい要素が揃っています。


ITエンジニア御用達!エナジードリンクってホントに効果ある?

皆さんはエナジードリンクに対してどんなイメージをお持ちでしょうか。

ほとんどの人は、「集中力を高めるもの」「眠気を覚ますためのもの」という認識をしていると思います。実際、エナジードリンクに含めれているカフェインには、疲労感を軽減させる効果、集中力を高める効果があると言われています。正確には「エネルギーを消費し、代謝を上げ」「興奮時に優位になる交感神経を高める」ことができるので、疲労回復とは真逆の一時的なドーピング効果なんですが…

なので、何となく飲み過ぎは良くないってことも共通認識だと思います。



…とはいえ、だからエナジードリンクは危険なのだ!というつもりはありません。安心してください、私はエナジードリンク推進派です。エナジードリンクの危険性なんて知ったことかと言わせてもらいます。

世間では「体がダルくなる」「飲んだら吐き気がする」「寿命が短くなる」とさんざんな言われようですが、実際ただのカフェイン飲料です。たまにエナジードリンクの飲みすぎで死人が出たみたいなニュースで「カフェインの過剰摂取は良くないよね」って話題になったりしますが、あれはどんなものでも取り過ぎは良くないっていう当たり前のことです。水ですら、飲み過ぎると「水中毒」で死にいたることがあると言います。エナジードリンクの場合は、1日60本くらい飲まないと死ねないので、これも現実的な数字ではありません。



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まぁ、要するにエナジードリンクは「エナジーを前借りする、元気の借金ドリンク」という感じですね。さて、本題に入りましょう。成分的には、そういう効果があるのは理解できますが、実際に体感としての効果はあるのでしょうか?

冷静に考えて「集中力を高める飲み物」って言われても、ちょっと怪しい気がしませんか?個人差もあるでしょうし、人間はそんな簡単にゾーンに入る(能力を向上させる)ことはできないんですよ!

なので、私は「エナジードリンクを飲んだから、パフォーマンスが爆増したわ!」というのは勘違いか、ただのプラセボ効果ではないかと考えたわけです。あと、エナジードリンク最高とか言ってる奴って何となく否定したくなりません?「それは何か違うくない?」みたいな、私だけですかね。



しかし、そんな私の考えとは対照的に、多くの人々がエナジードリンクにハマり、それによってパフォーマンスが向上すると信じています(実際、そのような効果を実感している人も多いようです)。

そして、信じられないことに、私のような有識者(ただのエナジードリンク大好きおじさん)たちも、実は「エナジードリンク最高だわー、メッチャ効果あるわー」と感じてしまっています。内心では、「いやいや、これってプラセボ効果やって…」と思っているのにも関わらずです。



さて、これは一体どういうことなのでしょうか。



依存症について考えてみる

ところで、話は変わらないのですが、依存症という言葉があります。

急に物騒な言葉が出てきました。なぜそんな印象を受けるのか、それはパッと浮かぶものに、薬物、タバコ、アルコールあたりがイメージされるからです。薬物については我々の日常にはありませんので、ここではタバコとアルコールについて取り上げます。察しのいい人ならすでにお気付きかもしれませんが、エナジードリンクもそれらと同じなんじゃないの?…と私は思っています。

で、そもそも依存症ってなんなの?ってところですが、依存症を専門とする精神科医の松本俊彦氏はこう述べています。

断言しますが、人間はきわめて飽きっぽい動物です。どんな気持ちがよいもの、どんなおいしいもの、どんな面白いものでも、手を伸ばせばいつでも楽しめるものとなれば、ありがたみが減じ、あっという間に飽きてしまう――それが人間の性です。

~中略~

思うに、彼らをその薬物に駆り立てているのは快感ではありません。というのも、快感ならばすぐに飽きるはずだからです。おそらくそれは快感ではなく、苦痛の緩和なのではないでしょうか?つまり、人は、かつて体験したことのない、めくるめく快感によって薬物にハマるのではなく、かねてよりずっと悩んできた苦痛が、その薬物によって一時的消える、弱まるからハマるのです。快感ならば飽きますが、苦痛の緩和は飽きません。それどころか、自分が自分であるために手放せないものになるはずです。

出典:太田出版のWebマガジン. “ヘイ、マコト(松本俊彦)”(2023/07) - https://ohtabookstand.com/2023/06/saketabakoofukusyokan02/

興味のある人は全部読んでみてください、いい記事です。



つまり、快感を得るためではなく、苦痛を緩和するために摂取することに依存する要因があるということです。なるほど。確かに、アルコール(お酒)もそれ自体はあまり美味しいものではありません。それは酔いを楽しむものであり、味そのものが好きという人はほとんどいません。タバコも同様です。あれはただの煙です。ニコチンが中枢神経を刺激し、リラックス効果があると勘違いさせているだけです。

話をエナジードリンクに戻しましょう。確かに、エナジードリンクも美味しいという理由で飲んでいる人は多くいないでしょう。炭酸でごまかされていますが、漢方のような…悪く言えば薬品の味がします。私も「エナジードリンクは美味しいの?」って聞かれたら、正直に言えば違うと思います。

そこで、エナジードリンクがアルコールやタバコと同じように、結果として「苦痛の緩和効果」があるとしたらどうでしょうか。エナジードリンクがもたらす利点は成分上は「眠気の解消や」「集中力を高める効果」だけですが、そこに心理的にプラスの効果があると思っています。例えば、何かに追い込まれている(集中して終わらせないといけない作業がある)とき、「エナジードリンク飲めば頑張れるか…」と無意識に思ってしまう人がいたとします。これは『頼みの綱』という「不安を解消する」という点で、苦痛を緩和できていると言えます。

そして、人の思い込みはバカにできません。「俺はモンスターを飲んだんだから、頑張れるはずだ!」…で実際に頑張れてしまうのですから。そして成功体験として刷り込まれていきます。「やっぱり集中するときはエナジードリンクだ!」と。



私たちは『利益』には相当の『対価』が必要だと思い込んでいる

こういうと、「じゃあ最初から水でええやん」とか「オカルトで草www」という人が出てくると思いますので、ここで、私たちは『利益』には『対価』が必要だと思い込んでいる話をします。



昔、明晰夢(夢を夢と分かること)をよく見る友人が、「俺は夢の中では異世界転生みたいに最強の賢者なんだけど、やっぱり魔法を使うときにはアクションが必要なんだよね」と言っていました。「魔法を使うときは手のひらを合わせるんだ、そう、ちょうど鋼の錬金術師みたいに…で、強力な魔法を使うと膝から崩れ落ちたりするんだよね、魔力切れみたいな」と。

別のゲーマー友達は、ソーシャルゲームの季節イベントでは、必ず無償石(ゲームを進めると無料でもらえるアイテム)ではなく、有償石(お金を払って購入するアイテム)でガチャを引くと言います。「こっちの方がなんか出やすい気がするんだ」と彼は続けました。

私のおじいさんは、お正月に初詣に行くとき、必ず1万円札をお賽銭にします。「これでお前ら(当時子どもだった私たち)の健康も安心や!わっはっは!」と言っていたのを覚えています。「よし、じゃあ今からお寺の石段300段を往復や!それで全員大吉や!」と。



つまり何か言いたいかというと、人は何か利益を受けるためには対価(理由や行動)が必要だと思い込んでしまっているということです。で、ここで大切なのは「痛い目を見た分だけ大きなリターンがある」と勘違いしていることです。

そして、これはプラセボ効果にも同じことがいえます。

アメリカの国立補完代替医薬センターは、さらに一歩踏み込んだ解釈をしている。その解釈によれば、プラセボ効果とは、「たとえば錠剤、飲み薬、注射などの医療的介入が助けになるだろうという人の期待(予想)から生じる、健康への有益な結果であり、臨床医が患者と話し合うその仕方も、特定の治療とは独立に良い反応を引き起こすこともありうる」とする。

出典:国際哲学研究. “プラセボ効果は心身因果関係の理解を変えるか”(2013/03) -
https://www.toyo.ac.jp/uploaded/attachment/8177.pdf

つまり、期待値が大きいほど、プラセボ効果にかかりやすいということです。



さて、エナジードリンクへのイメージを思い出して下さい。「体がダルくなる」「飲んだら吐き気がする」「寿命が短くなる」…もしこれらがエナジードリンクを摂取する際の「対価」であると仮定すると、この対価に見合う利益は非常に大きいものだと感じるはずです。



【結論】頭痛がする=効果がある というバグった思考

私の主張、それはエナジードリンク=体に悪いという認識が「その対価の分だけ効果が出るんでしょ?」とプラセボ効果を促進させてるんじゃないかってことです。おまけですが、エナジードリンクは普通の飲料水より倍額以上も高いですよね、その分の金銭コストも効果に加算されているように思います。

上記より、最初に記載した結論になるわけです。

エナジードリンクの効果は「ある」と思います。ただし、その効果はプラセボ効果(プラシーボ効果)と言います。



以上です。

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