私は俗にいう「無能」です。中堅と呼ばれるくらいの勤続年数になりましたが、後輩たちに次々と追いぬかれています。5年目にも、4年目にも、そして3年目の後輩にまで階級をこされました。ここ3年間は昇格していません。
案件歴も微妙です。社内でも「使いにくいメンバー」と見られることが増えて、ちょっと肩身も狭さを感じています。
しかし、世の中には私と同じように「無能」とされる人が2割ほどいるそうです。これは「2:6:2の法則」と呼ばれ、組織では「優秀な人が2割、普通の人が6割、無能な人が2割」という割合になると言われています。
そして、そんな2割の無能とされる人たちも、過去にはいろいろとチャレンジし、努力しようとしたはずです。それが思うような成果にならなかった結果、今の状況になっているのかもしれません。
勉強が続かなかったり、時間が取れなかったり、やる気が続かなかったり…理由はさまざまですが、もしかしたらこれら全部が当てはまるのかもしれません。
─── Qiita にいる人たちは、おそらく「無能ではない8割」でしょう。そのため、この文章がどこまで響くかわかりませんが、残り2割の人たちに刺さればと思い、書くことにします。
今日は、無能な私でも勉強を続けられている資格『データベーススペシャリスト』についてお話したいと思います。
結論。
言いたいことがたくさんあるので、まず結論をまとめました。
無能におすすめの資格は「データベーススペシャリスト」です。
この資格は、年によって出題範囲が大きく変わることがなく、のんびり学習できるのが特徴です。とくに「勉強が苦手」「どうせ続かない」「学習する時間がない」と感じている人にぴったりです。
試験は年に1回ですが、いそいで学習する必要はありません。
出題範囲がおおきく変わらないので、あせる必要がありません。もちろん、目標を設定して進めたほうがいいですが、無理に期限をきめる必要がないのです。もしダラダラ学習することになったとしても、諦めてしまうよりはずっと良いです。自分のペースで取り組みましょう。
資格自体の価値も高いと思います。
データベースの設計や思考の基盤は、昔から変わっていないと思います。また、今後も急激に変わることはないと考えています。基盤設計の知識は「0→1」を生み出す力につながるため、AIにも簡単には取って代わられない分野ではないかと思います。データベーススペシャリストは一度とってしまえば、長く活躍できる人材になれる資格なのではないかと期待しています。
勉強はしんどい──ですが、実は意外とはかどります。
この記事では "勉強はしんどいもの" という前提で、消極的なことを書きますが、実は私は Udemy を利用しており、じっさい勉強自体は意外とはかどっています。
まず、最高なことに「とりあえずやってみる!」というモチベーションと学習環境が整いました。無能にありがちな「何から始めればいいの?」「どんな勉強をすればいいの?」「考えるのが面倒くさい!」といった悩みが一気に解消されるので、Udemy は結構おススメです。
以上が結論です。あとは、ざっくばらんに書いていこうと思います。
データベーススペシャリストに出逢う。
数年前、部長クラスの上司と2人で飲みに行く機会がありました。そのとき、すでに低迷し始めていた私は思い切って「どうすればエンジニアとして生き残れるのでしょうか?」と尋ねたのです。
すると、返ってきた答えは意外にも具体的なものでした。
「25年も生きていれば、自分が無能なのか優秀なのか分かっているはずだ。もし自分が "無能" だと思うのなら、データベーススペシャリストを目指せ。」
当時の私は、この言葉の本当の意味が分かりませんでした。それどころか「無能の烙印を押された」と感じてムッとしてしまったのを覚えています。
上司も私の反応に気づいたのか、いつものゆるい雰囲気にもどり、この話題をサラッと流してくれました。そのため『なぜ、データベーススペシャリストなのか?』を深く聞くことはできませんでした。
………あの時の答えが、実は正しかったのだと今になって思います。それに気づくのは遅かったのですが、プライドのない私は、いまさらながらデータベーススペシャリストを目指そうとしています。
振り返ると、あの時の上司の答えは勇気のいるものでした。年々ハラスメントも厳しくなる世の中で「よー言ったな」と思います。特化した答えを強調しようとすると、どうしても誤解を与えてしまうでしょう。当時の私もムッとしました。
だからこそ、そういうこともあってか、今では確信しています。あれはきっと「本音のアドバイス」だったんだなと。
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上司に理由を聞けなかったことを少し後悔していますが、私は自分なりに『なぜ、データベーススペシャリストなのか?』を考え、調べてみました。そして思ったのです。
「確かに、この資格は私のような "無能" 向きかもしれない。」
答えはおどろくほど簡単に導かれます。
なぜ、データベース スペシャリストなのか?
ここからは私の主観しかありませんが、感想や想い、希望、そして「こうであったらいいな」という願いも込めて、以下のように結論づけました。
- 基本的な理論や設計方法は変わらないため、継続的に学習していれば、いつか合格できると思っています。近年、クラウド環境でのデータベース運用やビッグデータに関するテーマが試験に取り入れられていますが、それこそ今はじめれば十分対応可能だと考えています。
これが無能にとって一番ありがたいポイントです。試験に落ちても、翌年にトレンドが大きく変わることはなく、一から勉強をやり直す必要がありません。また、これは試験に間に合わなくてもいいことを意味します、今年ダメそうなら来年と、自分のペースで勉強すればいいのです。
- この資格を取得すれば、システムの根幹部分を自信を持って設計できるスキルが身につきます。それはアプリケーションやシステムの完成度に直結し「基盤」を作れる人材として輝けるチャンスが生まれます。
さらに、この資格の知識はすぐに古くなりません。無能にとって嬉しいのは、頻繁に知識を更新する必要がない点です。無能が無能たる理由は、「勉強を続けるのが苦手だから」です。この資格なら長期的に使えるスキルが得られます。
- 私が感じているだけかもしれませんが、システム開発の現場では「プログラミング」よりも「データベース設計」が重要な場面が多くあります。特にノンプログラミング言語を利用する場合、その傾向はさらに顕著です。データベース設計の巧拙がプロジェクトの成功を左右すると言っても過言ではありません。
「通常のプログラミング?それはAIに任せればいい。」
この視点は時代の流れを先取りしていると思います。AIはコードの最適化や自動生成に優れていますが、新しいアイデアを生み出す「0→1」のプロセスは得意ではありません。ここで必要になるのが、人間のデータ構造を考える力と設計スキルです。データベース設計は、まさに「0→1」のプロセスそのものです。
- 資格自体も、高度情報処理技術者試験の区分に属しており、取得すれば自分の得意分野として「データベース」と、それに関連するアプリケーション設計をかかげられるのではないかと思いました。
実は私自身、「得意なことを教えてください」と聞かれても答えられないことが多くありました。皆さんはどうでしょうか。この資格を取得することで、自信を持って「データベース設計が得意です!」と胸をはって言えるのではないでしょうか。
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大きく分けて、この4つが上司が私にデータベーススペシャリストを勧めてくれた理由なのだと、私は考えています。
「勉強が嫌いで、最新技術を追い続けられる自信がないなら、長く使える、みんなが持っていなさそうな武器を手に入れろ!」
こういう話だったのだと理解しています。
私たちがチャレンジするには "元気" が必要。
ところで、私たちが何かにチャレンジするにはかならず "元気" が必要です。
特に勉強はそうだと思っていて、一部の天才たちは「必要だからやる」と割り切れるかもしれませんが、多くの人、特に私のような無能な人にとって、そう簡単にはいきません。
ウソでもいいから「成功する法則」ですとか、「正しい努力の方向」ですとか、そういうものがあると信じこむことが大事なときもあります。
───要するに、何かにすがらないと頑張れないのです。
一番簡単な方法は、少しだけバカになってみることです。「この人が好きだから信じてみる。」「せっかく教材を買ったんだからこれでやる!」とか、そういうものでいいです。ホントにそれだけの理由で案外勉強ってできたりします。
私にとって、その "元気" は Udemy でした。
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◆Tips
ウィリアム・ジェームズの意志の概念
哲学者ウィリアム・ジェームズは「行動を始めるためには、信じることが必要」と述べました。彼の「行動する意志」の概念は、行動がモチベーションや信念によって推進されることを強調しています。
Udemy はじめました!
このたび、初めて Udemy を利用してみました。まだ学習途中ではありますが、ここまでの感想をお伝えします。
まず感じたのは「手軽に学習できる環境が整ったな」ということです。
スマートフォンで学習可能:家事の最中でも音声を流し聞きできる。
準備が不要:スマホが手元にあればすぐに始められるため、書籍のような「準備」の手間がない。
短いセクションに分割:少しの時間でも取り組みやすい設計。
特に「10分を6回で1時間にする」というシンプルな考え方です。
これまでは行動に移すのが難しく「10分しかないんだったら勉強できないや…」と思っていたのですが、Udemyを利用することで10分が使えるようになりました。その結果、1時間という勉強時間を作り出せたことが大きな変化です。
「勉強」と思うだけで気が重く、試験と聞くと腰が引けていた私を、軽々と机に運んでくれました。最初は「ゆっくり進めればいいや、どうせ勉強する時間も取れないんだし。」と思っていましたが、想定とは違い、順調に学習が進んでいます。
私が受講している講座は全3つで完結するよう設計されています。
- 1つ目:座学と実習でデータベースに慣れることで、苦手意識を払拭する内容。
- 2つ目:過去問の解説を通じて、試験に対する苦手意識を克服する内容。
- 3つ目:さらに過去問の解説を通じて、理解を深める内容。
石田宏実さんの講座です。
令和7年:参考書の著者直伝!「データベーススペシャリスト」試験 午前対策講義
https://www.udemy.com/course/database_specialist/?couponCode=ST21MT121624
令和7年:参考書の著者直伝!「データベーススペシャリスト」試験 午後1対策講義
https://www.udemy.com/course/db_specialist_pm1/?couponCode=ST21MT121624
令和7年:参考書の著者直伝!「データベーススペシャリスト」試験 午後2対策講義
https://www.udemy.com/course/db_specialist_pm2/?couponCode=ST21MT121624
※2024/12/18 現在、超安く購入することができます。たまに期間限定で安くなったりするんですよね。皆さんは積まないように気を付けてください。
「人に教わる」がぶっ刺さった話。
書籍で勉強するのとはまったく違う、講師感といいますか、講師独自の教え方にダイレクトに触れることができるため「人によって教え方が違う」という当たり前のことを久しぶりに感じました。
学生時代いらいの感覚です。
この「人に教わる」感覚はずいぶんと久しぶりです。あまり思い出したくもない浪人時代、私に大学受験のモチベーションをくれた「お姉さん」のことを思い出してしまいました。
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10年ほど前、私が浪人生だった頃の話です。
高校3年生のとき、特に行きたい大学も見つからず、なんとなく受験した大学に落ちて浪人することになりました。
浪人経験がある方なら共感いただけると思いますが、浪人すれば必ず成績が上がるわけではありません。むしろ、誰とも会わず、競い合う相手もいない環境では勉強の意欲を保つのが難しいです。特に志望校がない場合は、なおさらです。
そんな状態で、浪人生活をダラダラと過ごしていました。最初こそ気を使ってくれていた母も心配になったのか、個別指導の予備校を勧めてくれました。その予備校は確か「フリーステップ」という名前だったと思います。とりあえず体験授業を受けてみることになりました。
体験授業を担当してくれたのは、大学3年生の女性の先生でした。バイトで教えているとのことで、年齢も私とそれほど変わらず、見た目は気の弱そうな雰囲気でした。
授業はまず、雑談から始まります。先生はまず私のことを知ろうとしてくれたのです。次第に打ち解けていきます。気がつけば、志望校がないこと、やる気が出ないこと、家ではパソコンばかり触っていること、親に心配をかけていることを正直に話してしまいます。
すると、先生も自身の経験を話してくれました
「自分も浪人していたこと。」
「同じように親に心配をかけたこと。」
「私は、親のために受験を頑張ったこと。」
「生徒を合格させたい気持ちから、この仕事をしていること。」
この話を聞いて、私は初めて「大学受験に向き合おう」と思えるようになりました。
「私が落ちたら、先生をがっかりさせちゃうかな。」
そんな、ちょっとした自己満足のような気持ちが芽生えたのです。
「ホントかよ(笑)」って思われる内容かもしれませんが、恥ずかしながら実話で、私自身弱っていたときのお話です。ホントに、そんな些細な、しょうもない、でもそれなりに力のあるモチベーションです。
自分のために頑張るのももちろん大事ですが、誰かのために頑張るというのも力になります。その時の感覚は、今でも鮮明に覚えています。
───もちろん、これは極端な例です。
私がここで言いたいことは、Udemy のかかげる「人に教わる」という側面が、忘れていたこんな過去を思い出させるほどに強力だった、ということです。
それこそが、私が Udemy に感じた魅力です。「特定の個人から学ぶ」という体験があることです。本で学ぶ場合、「この著者のために頑張ろう!」とはあまり思いません。多くの場合、本は勉強のためのツールとして捉えられています。
一方、Udemyでは、講師が明確に示されており、その人から学ぶという意識が自然と芽生えます。例えば、私が学んだ石田さんの講座では、講師がSNSを通じて発信していることもあり、より親近感を覚えます。そして、「この人のために頑張りたい」という気持ちにさせられるのです。
あぁ、そうか、ここまで本との違いを言語化できていなかったけど気がついた。Udemy はマンツーマン感が強いんだ。
講座を選ぶさい「どんなことを教えてもらうか」だけでなく「誰から教えてもらうか」という視点が加わります。この点が、他の学習方法とは一線を画していると思います。
もちろん、本でも作者のファンになることはあります。しかし、多くの場合、「誰が書いた本か」よりも「どんなことが書かれている本か」を重視するでしょう。Udemy では講師が前面に出ており、その人の熱意や個性が感じられるのです。
もしかしたら、それが私の "元気" になっているのかもしれません。
“元気” にはいろいろな名前がついている。
この記事で言いたいことはこれで全てなのですが、とはいえ「なんか不思議な力がはたらいて "元気" が湧いてくるんだ!」ではあまりにも感想すぎます。
そこで、私が体感したこの "元気" の正体について調べてみました。
すると出るわ出るわ…
ここまで言語化をさぼって "元気" という言い方をしましたが、元気の正体は以下のような心理学や行動経済学の現象に近いものだと分かりました。
- アクションバイアス(Action Bias)
何もしないよりも、何か行動を起こしている感覚を持つことで、人は安心感やモチベーションを得る心理現象です。たとえば、教材を買ったり計画を立てたりするだけで、やる気が生まれることがあります。
- プラシーボ効果(Placebo Effect)
医療で有名なこの効果は、偽物の薬(プラシーボ)を本物だと信じることで、症状が改善する現象です。この「信じる力」が、私たちの心や体にどれほど影響を与えるかを示しています。「この教材なら成功できる!」と信じて取り組むことで、努力が継続し、結果的に成功につながるケースなどもそうです。
- ピグマリオン効果(Pygmalion Effect)
教師が生徒に「この生徒は成績が伸びる」と期待すると、実際に成績が向上するという心理学的現象です。人は「期待」や「信念」を持たれることで、行動や能力が変化することがあります。期待されることが自分の努力にポジティブな影響を与える典型例です。
- サンクコスト効果(Sunk Cost Fallacy)
すでに支払ったお金や時間、労力といった「取り返せないコスト」に執着してしまう心理現象です。これにより、そのコストを正当化するために行動を続ける傾向が生まれます。教材を購入した場合、「せっかく買ったのだから頑張ろう」という気持ちになり、勉強を続ける動機になることがあります。
終わりに
こういう記事を読んだ、私と同じ種族───「無能」が思うことは分かっています。だからこそ、先にその意見を潰しておきます。
「でも、時間もお金も使って、合格できなかったらめっちゃ無駄じゃん。」
これですよね。
私たち無能は、失敗したときにとてつもないリスクがあると勘違いしています。私も以前はそう思っていたので、あえて断言しておきます。勉強して、結果として「後悔する」ことは絶対にありません。
理由は簡単です。
仮に試験に落ちたとしても、失敗したとしても、勉強に使った時間というのは決して無駄にならないからです。月並な表現ですが、スキルは生涯のこる財産です。
これは多くの人が経験的に実感している事実です。勉強をつうじて得た知識やスキルは、直接的な結果に結びつかなくても、どこかで必ず役に立つ場面がおとずれるものです。
ゲームのプレイ時間を見て「この時間を勉強に使っていたら…」と後悔する人は少なくありません。しかし、その逆はいません。
もしかしたら、ほんの一瞬は「この時間があれば、めいいっぱいゲームを楽しめたのに…」と思ってしまうことがあるかもしれません。しかし、冷静になって考えると、「ゲームに時間を溶かすくらいなら、勉強に使ったほうがマシか。」と結論付けることができます。
以上です。