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「仕事を任される人」のチャットには特徴があって、決まってこれ。

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質問とか、認識合わせとか、相談とかで、いちいち席にきて話しかけてくる人に憤慨していた新入社員(女性)がいました。

「チャットがあるんだからチャットで済ませてくれ、話しかけてくんなボケカスが!」と、大変ご立腹でありました。

その新入社員は非常に優秀な娘で、おまけに賢く、弊社で異例のスピードで出世していました。「リーダー職までが過去最速」と言われていたほどです。

そんな彼女は、そうそうに弊社に見切りをつけて転職───無事、上場企業に転職したのでした。めでたしめでたし。夫としても、自慢の妻でございます。


コミュニケーション コストはクソ高い

我々エンジニアにはチャットツールが欠かせません。大変便利なツールであり、毎日のようにさまざまな人とコミュニケーションを取れます。

ただ、たまーに「文字を打つのは面倒」とか「ちょっと話せればそれでいい」みたいなときに会話で済ませたくなったりしません?

こんなメリットを感じてしまいますよね。

  • チャットの文章作る時間もったいないな、会話した方が早いな。
  • そういや別件で聞きたいこともあったし、ついでに電話しちゃおうかな。

その一方で、「なんでチャットでいいのに席までくるねん…」「なんで電話かけてくるねん…」と会話を嫌う人もいます。すみません、”嫌う人”という表現は間違えたかもしれません。

なぜ”嫌う人”という表現が間違いだと思ったか、それはある個人の感想レベルの話ではなく『会話したい側のメリットは大きいが、会話される側にとって大きな負担になっている』という事実だけがあるからです。


--


さて、皆さんはコミュニケーションコストについて意識していますでしょうか。

そもそもコミュニケーションコストとはなんでしょう。マーケティング会社『ティネクト株式会社』の代表取締役、安達 裕哉さんは「他人とコミュニケーションをとる際に発生するコスト」だと考えており、メールの例えで次のように述べています。

メールを書く行為には、言葉を選ぶ、整理する、相手の反応を想像する、書き直す、など、さまざまなコミュニケーションコストが内包されています。つまり、言語化課すとに内包されるさまざまなコストのすべてを、話し手(メールの送り手)が支払っていることになります。


そのうえで、次のようにも述べています。

つまり、「とりあえず電話」を嫌うのは”言語化する”というコミュニケーションにおける大きなコストを、目の前の作業を中断して、相手のために支払わないといけないからです。

出典:書籍「頭のいい人が話す前に考えていること」.
“なぜ、できる人はすぐに電話してくる人を嫌うのか?”


なんとなくコミュニケーションコストというコストがクソ高いってことが分かります。

IT業界も、上司───部長レベルにもなると、プロジェクトを2つ3つ持っていることも多く、作業を中断して1つの案件の1つの議題のためにリソースをさくのは大変な負担となるはずです。


なるほどなるほど、会話したい側がとりあえず相談したり、とりあえず電話したほうが早いと感じるのは「相手が言語化コストを負担してくれるから」ということ。

で、すぐに会話してくる人というのは”要求を整理して言語化する”という、「仕事の超重要プロセスをこちらに丸投げしてくる人」ということだと。


やはり必要な能力は”言語化”なのか

前セクションで、コミュニケーションコストがバカ高いことを説明しました。結論、本記事のタイトル「仕事を任される人」とは、このコミュニケーションコストを自分から払える人のことです。

安達 裕哉さんも「言語化のコストをすすんで払う側に回ろう」という結論でセクションを閉じており、私も自信をもって結論とさせていただければと思います。


なので、やはり必要な能力は言語化です。

“言語化”

最近いろんな場面で使われがちな言葉ですよね。昨年末には、三省堂の新語大賞にも選ばれていました。せっかくですので、三省堂の辞書からどういう意味なのか引用します。

自分の考えを整理し、筋の通った言葉として表現すること。これまで表現する言葉がなかったことがらを、あらたに表現したことにもいう。

出典:「三省堂 現代新国語辞典 第七版」


新語大賞になった理由も、まぁ納得できます。

現代の人々が「言語化」と表現するのは、それだけ「ことばにする」という営みを細かく捉えるようになったからかもしれません。インターネット空間や社会生活の場で、従来にも増して、自分をことばで表現する必要性が高まりました。

(…)

日頃見聞きしたものをどのように頭にインプットし、どのようにイメージ化し、ことばに出すか。そういった言語化のプロセスについて、人々が深く考えるようになったとは言えないでしょうか。

出典:三省堂. "辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2024」"
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2024/best10/Preferenceall.html


私は、仕事ができる人は、この言語化を自分で(おそらく高いレベルで、そして素早く)しているのだと思っています。また常にコミュニケーションコストを払う側にいることで、上司の時間も集中も奪うことをしません。

それだけで、相手に「できるな」と思ってもらえます。また、言語化まで至らなくても、整理するところまでやってから会話するだけでも上司の負担は減ります。


「仕事を任せられる人」のチャットは一方通行

で、言語化がきちんとできて、チャットだけで事足りるようになったらどうなるのか。こちらが一方的にチャットをするだけになるようです。(妻談)

こんな感じらしいです。

スクリーンショット 2025-01-22 003608.png


情報共有レベルのものには「既読」とでもいうように、スタンプだけが付き、相談内容については「Yes / No」で回答されます。


これを聞いたとき、「なるほど、これが仕事を任される人かー!」と思いましたよね。

だって、こうなると仕事を「任せよう」とか「任せられない」などの評価をすっ飛ばし、もうすでに任せている状態になっています。さらに、プロジェクトの進め方も問題なければ、実質的にリーダーの立ち回りで活躍できている実績になります。


「仕事を任される人」というのは、チャットという見えない場所で上司の負担を減らしています。コミュニケーションコストを自分から払うことで「上司の仕事を奪っている」のです。

よく「上司の仕事を奪う部下は昇進する!」といいますが、その正体のひとつはコレでは?と思いました。


以上です。

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