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「上司にはミスをして欲しい」という新入社員の本音が納得の理由だった

Last updated at Posted at 2023-05-30

今年の新入社員と話しているときに、「あー、上司はもっとミスをしてもいいのかもな。」と思ったことがあったので共有します。



この記事の内容は、次の通りです。

  • 上司あるいは先輩は、新入社員の前でミスをすることによって、彼らを安心させることができます。
  • ただし、これは大きなミスをして、周りに迷惑をかけろという意味ではありません。
  • 小さいミスはオープンにしていこうぜ!ってことです。

不完全な人間は人を安心させる

「先輩方って、みなさん凄いできる方じゃないですか」

唐突に、新入社員のE君はそう言いました。

「そうかな。でも、それは経験があるからだよ。E君もすぐにみんなと同じくらい活躍できるようになると思うよ。」

「そんなの無理ですよ。なんだか…R先輩のようになれる気がしないです。」

彼のいう、R先輩はうちの会社の中でもダントツで早く昇進している私の後輩だ。私も階級ではすでに抜かれてしまっている。

「あ~…たしかにRさんは凄い人だね。でも、実はRさんも最初は失敗続きだったんだよ。」

「えー、そうなんですか?あんなに完璧な仕事をするのに?」

「今はね。実は君が入社する少し前だって、顧客のデータをあやまってメールで…って、あまりこういう話はするもんじゃないな…」

「意外でした。A先輩でも失敗したりするんですね。」



そこで、私は彼の言葉に違和感を覚えました。当たり前ですが、ミスをしない人間はいません。新入社員の彼らにとって、我々先輩は完璧な存在とされているのではなかろうか、と思ったのです。



「俺は、そんなに活躍してないけどね」

「まぁそうですね」

「(そうなのかよ)」

「でも先輩だって、すごいと思いますよ!」

「ありがとう。今日も設計が甘いって怒られたよ。」

「ちょっと聞いてました(笑)。まぁでもそのおかげで話やすいですよ!」

「それはよかった。今も2人で飲みに来ているわけだしね。」



私はふと、「まぁでもそのおかげで」というのはどういうことなのか気になった

「なぁ、さっきの…」



「ラストオーダーの時間です。」

若い女の店員がこちらを見ていた。

「(もうそんな時間なのか、これ以上遅くなるワケにもいかないか…)」

「あ、私はいいです。E君は最後になんか飲む?」

「いえ、私も大丈夫です!」



そして、会計を済ませ、たわいもない会話をしながらE君と別れた。



しかし、家に帰ってからも「まぁでもそのおかげで」が私の中でひっかかっていた。



「まぁでもそのおかげで」とはどういう意味だったのか

気になっているからといって、今さら、あの時の話をすることはできません。私は、飲みの席の話は覚えてないことにしているからです。

なので、自分なりに解釈するしかないのですが、そういえば、私にも同じような経験があるなと思いました。「上司がミスをしていると安心したなぁ」っと。



例えば、教育係の先輩が風邪で休んだとき「先輩だって人間なんだから風邪くらいひくよな」と安心したし、部長が役員に「お前ら!何年やってきてるんだ!」って怒られてるのをみて「部長でも怒られることあるんだ」と思ったものです。

そして、私は今でも部長クラスの上司は完璧な存在だと思ってしまっているなぁと思いました。何でも教えてくれるし、自分だけでは解決できない課題にも、最高のアドバイスをくれる。

「いやー。うちの部長マジで凄いわ!」と私も思っちゃってるんですよね。「なんだか自分とは違う人だなぁ」と。



なるほど、これか、とその時に思いました。



ミスがメリットになることがある

話は変わりますが、私の先輩に一人とても厳しい方がいます。どんなプロジェクトでも果敢に挑戦しながらも、無駄なリスクは取らない。絶えず自分自身とチームに高い基準を求めていました。

ある日、先輩はプロジェクトで大きな失敗をし、多額の損失を被ってしまいます。しかし、それで彼への信頼がなくなったのかというと、そうではありません。むしろその逆で、彼が素直に失敗を認め、メンバーにリカバリーをお願いしたとき、それまで恐縮していたメンバーからの信頼がより深まったと言うのです。



子育てにも同じような話があります。

厳格な父親をもった子どもは、その期待に応えることができず、自分の能力に悩んでいました。ある日、子は友人と一緒に禁止されていた場所に行き、問題を起こしてしまいます。委縮する子に、父親は怒るわけではなく、笑ってこう言ったそうです。

「お前は本当に俺の子だな!俺もお前くらいの時に同じことをやったよ!当時、叔父にバカみたいに怒られたものさ!」



子は驚きました。

「父さんも同じことを?」

父親の方針は変わりませんでしたが、その1件以降、子は父親に委縮することなく勉学にはげむことができたということです。



これらは、自分よりも上位の人間のミスがいい方向に転がるいい例です。むしろ、それがあって成功する性質のものだといえます。



完璧じゃないことに意味がある

話は、後輩の「まぁでもそのおかげで」に戻ります。

彼にとって、私は相談しやすい先輩なのでしょう。私が完璧な存在ではないと分かっているから、立場の違いはあれど「あの人は自分とは違う、だから全然参考にならない」とは思われていないと思います。

私としても、純粋に後輩に頼られるのは嬉しいです。



『こういうのって大事だなぁ』と思ったわけですよ。



**



「まぁ、でも上司が失敗したら気が楽になりますよ。ぶっちゃけ、失敗して欲しいなって思うときもあります。」

この気持ちを誤解を与えずに的確に表現するのは難しいのですが、そういうことです。



「先輩!全社宛にメール送っちゃってますよ!」

「ぇ…あ、やべぇ!」



まぁ、ミスし過ぎるのも、あまり良くないと思います。



以上です。

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