この記事は、and factory.inc Advent Calendar 2024 23日目 の記事です。
はじめに
みなさんは『計画的偶発性理論』というのを聞いたことがあるでしょうか?
私は、少し前にキャリア形成について調べていたときに『計画的偶発性理論』について知る機会があったのですが、会社のマネジメント研修でもたまたま紹介され、併せて『その幸運は偶然ではないんです!』という書籍が紹介されていたので読んでみました。
この記事では、計画的偶発性理論についての紹介と、上記の書籍に書かれていたことから重要そうなところをピックアップして紹介したいと思います。
計画的偶発性理論とは
キャリアの8割は、本人の予想しない偶然によって決まるというキャリア理論です。
この8割というのは、ビジネスに成功した人のキャリアを調べた結果、8割は本人が予想しなかった偶然の出来事がターニングポイントだったという調査結果によるものだそうです。
もちろん、ただ偶然なにかが起こるのを待っていれば良いというわけではなく、積極的にチャレンジ・行動をしていくことが必要です。
何かしらの出来事をチャンスと捉えるマインドと、そのチャンスを掴むために行動を起こすことで、それが後々のキャリアにつながっていくという考えです。
5つの行動原則
チャンスを掴むために、日々心掛けるべき5つの行動原則があります。
好奇心
新しい知識・経験・出会いなどに好奇心をもつ。
持続力
好奇心に向き合い、それに取り組み続ける。
失敗しても良い。失敗は学びの機会であり、次に繋げていくことが大事。
楽観性
自分の力や考え方を信じて前向きに可能性を追求する。
チャレンジ
不確実なものや自分のできる範囲外のことでも、リスクを恐れずにチャレンジする。
柔軟性
アンラーニングやオープンマインドを大切にし、今までの価値観とは違う物事を受け入れる。
記事を書いていて、それぞれの行動原則は密接に関連していると感じました。
例えば、好奇心だけあっても今の自分のスキルに見合わないと判断してチャレンジしなければ結果として偶発的なチャンスを逃すことになります。他にも、柔軟性とチャレンジは規定の概念に囚われず新しいことを受け入れる/新しいことにチャレンジしていくという点で似ています。
柔軟性と持続性に関しては、新しいことを受け入れる/粘り強くチャレンジし続けるという点が、一見すると相反するところもあるように感じるかもしれません。
柔軟性は「一度決めたからといってそれに固執する必要はない」ということですが、コロコロとやることを変えれば良いというわけではなく、例えば「法律を学ぶ学校に行ったから法律家にならないといけない」というような発想は捨てるべきという考えです。
持続力は「最初はできなくて当たり前、スキルが身につくまでには相応の時間は掛かるものだし、失敗しながら学んでいこう」という感じなので相反しているわけではなさそうです。
書籍について
私が読んだのは以下の書籍です。
書籍名 : その幸運は偶然ではないんです!
著者 : J.D.クランボルツ、A.S.レヴィン
発売日 : 2005/11/17(第1刷)、2023/11/6(第19刷)
まず前提として、書籍の中で『計画的偶発性理論』という言葉は使われておらず、あとがきで少しだけ『ハプンスタンス論』として記載されていました。調べてみたら『計画的偶発性理論』は『プランドハプンスタンス理論』とも言うみたいです。
同様に5つの行動原則についても、あとがきで少し紹介されていた程度で、きちんとした定義は書かれていませんでした。
またエンジニアに特化した書籍ではありません。
重要項目のピックアップ
前述のように計画的偶発性理論について、その理論を正しく学ぶという類の書籍ではなく、具体的な事例をもとに、良かった点や改善すべき点を解説するという構成でした。
その中で、重要だと感じた点をピックアップし、一部私の考え(エンジニア目線の考え)も交えながら紹介します。
将来のキャリアを柔軟に考える
その時々で目標を決めるのは良いが、目標は自分自身のスキルセット・興味関心や環境の変化によって変化していく可能性がある。
また、自分の今までの経歴に縛られることなく、いろいろな選択肢があることを認識しておくこと。
認識しておくだけでも、今まで無自覚で放棄していたことが実はチャンスだったかもしれないと気付けるかもしれない。
想定外の出来事に備える
想定外の出来事はいつやってくるか分からないので、いつでもそれを利用できるように準備する。
エンジニア目線で考えると、モダンな知識の習得や専門領域外の勉強などが挙げられると思います。
また周囲に自分の興味のあることを話しておくだけでも、プロジェクトのアサインを考えてもらう上で上司の参考になるかもしれません。(偶然を引き寄せる。)
いろいろな活動に参加する
どんな活動でも積極的に参加することで、自身の人脈も広がるし、好きなこと・嫌いなことの発見にもつながる。
エンジニア目線で考えると、各種大規模カンファレンスの運営に参加してみるとか、勉強会に参加してみるとかが挙げられそうです。総じてモチベーションが高い人が多い傾向にあるので、良い刺激になるのではないでしょうか。
たくさんの失敗を経験する
間違いや失敗は重要な学びの材料となる。
自分に足りないものが何なのかを客観的に判断する材料にもなるし、次に失敗しないために工夫することが総じて成長につながる。
学校や試験などの場においては間違いは減点対象となるが、仕事においては(もちろんマイナスな側面もあるが)経験が蓄積され、将来の自分のために活かせるはず。
能動的に行動する
受動的な行動ではなく、能動的に行動すること・積極的に活動することで想定外の出来事を作り出すことができる。
受動的な行動とは、人が教えてくれるのを待つとか、テレビをダラダラ見るとか、自身で何かを考えなくても勝手に物事が進む状態のこと。
内面的な障害を克服する
障害には外面的な障害と内面的な障害がある。自分の意志でコントロール可能な内面的な障害を克服するために、新しい考えや経験にオープンであり続ける。
皆さんはどうでしたか?
皆さんの今までのキャリア形成において、思い当たるフシはあったでしょうか?
私自身の経験をよくよく振り返ってみると、やっぱり偶然起こった出来事が自分のキャリアに影響しているなぁとしみじみ感じます。
特にエンジニアを目指そうとしたタイミングでスマートフォンというデバイスが登場したのは、自分にとっては大きな偶然だったと思います。
(とはいえ、スマートフォンがなくても別でエンジニアになっていたかもしれないので、こじつけ感はありますが)
ただ、やはり自分から行動を起こすことは本当に重要だと思いますので、皆さんも自分の興味の幅を広げて、いろいろなことにチャレンジしてみてください!
もしかしたら、そのチャレンジがきっかけで新しいキャリアにつながっていくかもしれませんよ。