#はじめに
ファジィ推論(制御)について、数回に分けて説明しようと思います。
今回は、ファジィ推論についての概要をざっくり説明します。
##ファジィとは
辞書によると、”あいまいな”や”境界のぼけた”という意味だそうです。
例えば、「暑い」「速い」「重い」など、主観的な感覚で使用する表現のことをファジィと言います。
##推論とは
推論とは、あるいくつかの命題(前提)から、一つの結論を導くことを指します。
基本は、アリストテレスの三段論法。
前提:ソクラテスは人間である。
前提:人間は死ぬ。
結論:よって、ソクラテスは死ぬ。
つまり、何らかの既知の事象から未知の事象を導くことを推論と言います。
#ファジィ推論とは
ファジィ推論は、人間の主観的な感覚や思考を数値化するために提案された手法です。
例えば、
前提:暑ければ、室温を下げる。
前提:暑い。
結論:室温を下げる。
といった推論があるとします。一見当たり前のような推論ですが、これはあいまいな推論です。
人によって暑さに対する感覚が違います。一般的に暑いと言われる気温は28℃から37℃ですが、それより低い気温から暑いと感じる人もいるでしょう。また、室温を何℃下げるのかも人によって違います。
そこで使われるのがファジィ推論です。
ファジィ推論では、「暑い」と「下げる」について、その度合いを表現します。つまり、暑さの度合いが0.8ならば、室温を下げる度合いは0.6であるといった表現も可能となるわけです。
##ファジィルール
ファジィ推論では、このような推論をIF - THEN形式(もし~ならば、~である)のルールにして表現します。
上の例では、
もし、暑ければ、室温を下げる
となります。一般形にすると、
もし A ならば B である
のようになります。また「もし~ならば」を前件部、「~である」を後件部を呼びます。
前件部は複数用いる場合が多いです。その場合、
もし、AがXで、BがYならば、CはZである
というような形になります。
ファジィ推論のルールは、対象の問題によって設計されます。また、ルールの個数も決まってはいません。
ここでは、3つのルールを設計しました。
① もし、暑ければ、室温を下げる
② もし、寒ければ、室温を上げる
③ もし、暑くもなく、寒くもなければ、室温はそのまま
この推論をもとに、暑い、寒いの度合いの決め方と室温を何℃上げるのか、下げるのかの演算についてまとめていきます。
#まとめ
今回は、ファジィ推論についてかなりざっくりまとめました。
とりあえず、ファジィ推論は主観的な表現を数値化するということを覚えていて欲しいです。
また、なぜ度合いが0.6や0.8なのかやその後の処理についての疑問があると思いますが、次以降に解説できたらなと思います。