今回は、Symbolブロックチェーンを活用してあらゆる価値の拡張を図ろうというお話です。
ブロックチェーンを使ったからといって、それだけで価値が拡張されるわけではありません。
価値を拡張するための設計や仕掛けが必要で、そこにブロックチェーンを活用することで実現されます。
あらゆる価値のトークン化(モザイク化)
世の中の価値には、
絶対的価値
相対的価値
の2種類があります。
- 絶対的価値
時間や場所や場合に左右されず、誰においても変わらず、数値で表すことのできない、
他の何かに決して代えることのできない価値
(例) 命
- 相対的価値
時間や場所や場合によって変化し、対する人によって変わってくる、数値で表すことができ、
他の何かと交換することのできる価値
(例) 売買など経済活動においてやり取りしている価値
現在のブロックチェーン業界においては、そのほとんどが経済活動と結びついており、相対的価値を扱っています。
衣服
食料
住居
など、私たちは生きるために必要なものや日々を楽しむためのものをお金と交換して生活しています。これらはすべて、相対的価値のやり取りです。相対的価値についてのトークン(モザイク)活用はこれまで、投資や金融、ゲームなどでの活用が多い状況でした。今後はさらに、生活に密着したブロックチェーン活用やトークン(モザイク)活用も加速していくことでしょう。
また、私が経営する会社のAtomos-Seedでは、「Heartlog」というサービスにおいて、NFTを使い「人の心」を形にして、ほぼ恒久的に保存し大切にしながら、楽しんだり贈り物にしたり受け継いだりすることを実現しています。目には見えない、儚い、かけがえのない思いや願いを、ブロックチェーンを活用することで可視化・価値化して、Symbolが生きている限り存在し続けます。そのため、絶対的な存在へ近づけているとも言えます。ブロックチェーンによる価値拡張の一つです。命の記録・歴史にもなっています。
工夫すれば、絶対的価値も相対的価値もブロックチェーン上で表現できます。何らかの形でデータ化ができれば、あらゆる価値をブロックチェーン上でトークン化(モザイク化)することが可能です。
価値の向上
価値経済工学において、
価値の正体は価値観
価値観の正体は情報体
であるとされています。
言い換えれば、情報の認識・理解によって価値観が決まり、人はその価値観でもって対象物の価値を認識・理解します。
また、情報体は、
情報の形
情報の量
情報の質
によって変容するので、価値の認識や理解に直接的に影響を与えます。
わかりやすい適切な「情報の形」、わかりやすい適切な「情報の量」にすることで、価値は高まります。
また、「情報の質」は、組み合わせによって性質を変えることで、質を高められます。さらに、TPO(時・場所・場合)によって情報の質は様々に変化します。適切または必要となるタイミング・場所・場合において「情報の質」は高まり、人と対象物との「関係性」は深まります。
「情報の質」を高め「関係性」を深めると、価値が高まるのです。
これらが、「価値の向上」です。
対象物をトークン化(モザイク化)することは、「情報の形」をトークン(モザイク)という一定の形式に整え、認識・理解するに足る「情報の量」をその中に収めて可視化・価値化する、ということになります。この意味では、トークン化(モザイク化)によってわかりやすく扱いやすくなり価値が向上する、と言えます。
価値の拡張
経済学の価値の種類には、
使用価値
交換価値
以上の2種類があります。
- 使用価値
モノを使う際の、機能を達成するための手段の適合性や有効性
- 交換価値
他のモノの一定量と交換できる価値
ある種類の使用価値をもつモノAと、他の種類の使用価値をもつモノBとの交換比率として現れる
価値工学では、2種類の価値のうち「使用価値」を扱っており、その価値を向上させることを考えていきます。使用価値の向上には2つのパターンがあります。
機能向上を図って価値を上げるパターン
コストを下げて価値を上げるパターン
使用価値の向上とトークン(モザイク)活用を考えると、まず、対象物の機能を上げるためにトークン(モザイク)を活用することができます。また、対象物の取り扱いコストを下げるためにトークン(モザイク)を活用することができます。このようにして「使用価値」を上げると、「交換価値」が上がります。
トークンやブロックチェーンを活用して価値を上げることを、私は「価値の拡張」と呼んでいます。価値を拡張するには、対象物の価値を上げることとともに、対象物に伴う「体験の価値化」を図ると、より一層の効果が得られます。
対象物の価値の向上
対象物の体験の価値化
体験の価値化によって人とモノとの関係性が深まり、自ずと対象物の価値が向上します。ここにトークンを組み込むことが非常に重要です。
体験の価値化は、対象物のファンやリピーター、コミュニティの形成や醸成にも有効です。
以上のように、ブロックチェーンやトークン(モザイク)を活用して、モノの価値たる情報の形や量を適切に整え、モノの性質を向上させ、人とモノとの関係性を深めることによって、価値を拡張することができるのです。
Symbolには、
- 「トークン(モザイク)の作成・発行」が非常に容易で安価で可能
- ネームスペースによるトークン(モザイク)の「名付け」が可能
- メッセージ領域やメタデータ領域を活用して、トークン(モザイク)の多彩な表現や意味付け、機能性向上が可能
- マルチシグやアグリゲート・トランザクションによって、価値交換の多彩なスマート化が可能
- クロスチェーン・スワップによる他チェーンとの価値交換が可能
といった特徴があります。また、NFT-DriveやCOMSA、Metalなど、データのフルオンチェーン(オールオンチェーン)保存がSymbolではすでに定番になっており、デジタル資産としてハイレベルな価値保存が実現されている状況にあります。
トークン活用やトークン運用がとてもしやすいブロックチェーンです。これを利用しない手はありません!
価値の循環へ
あらゆる価値をトークン(モザイク)という一定の形に仕立てると、取り扱いがスムーズになり、価値保存や証明、移動や交換がしやすくなります。経済的な価値も非経済的な価値も、保存され、使用され、交換され受け継がれ、循環してこそです。
フード業界において適用した実例が、私が共同会長を務める「フードNFTコンソーシアム」です。
トークンの価値本体と価値の表し方、使用価値や交換価値、流通、循環までを考えて構成を作っていくことを「トークン・デザイン」と呼んでいます。トークン・デザインが私の重要な仕事の一つになっています。フードNFTコンソーシアム、サイアムレイワ/Medikhanaほか、複数の事業やプロジェクトで進めています。
ブロックチェーン活用やトークン(モザイク)活用によってあらゆる価値をトークン化し、それらの価値を拡張し、ボーダレスかつダイレクトな価値の循環を促進していきたいところです。
ちなみに、個人的な最終目標は、「笑顔の価値化(トークン化)と循環」です。Symbolベースで、複数チェーンと連携させて。生きているうちになんとしても、せめて土台だけでもしっかりと構築したいです。いや、する!😁