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Symbolにおける価値交換の未来

Last updated at Posted at 2021-12-23

ブロックチェーンは基本として価値交換のためのプラットフォームであり、ブロックチェーン上での価値の形式がトークン(電子アセット)と呼ばれるものです。

トークンは、価値の代替性に着目すると2種類あります。

・ NFT (Non Fungible Token : 代替不可能トークン、非代替性トークン)
・ FT (Fungible Token : 代替可能トークン)

パブリックブロックチェーンでは、基軸通貨(暗号資産)としてのトークンが発行されており、ブロック生成時の手数料/報酬などに活用されています。これはFTの一種です。

NEM(NIS1)ではXEM、SymbolではXYMが基軸通貨で、どちらも「Mosaic」(モザイク)という規格のトークンです。そして、NEM(NIS1)やSymbol上で独自発行するトークンも、それがNFTであってもFTであっても、同じ「Mosaic」というトークン規格を使います。

このMosaicを活用することによって、世の中のあらゆる価値は躍動します。そして、Symbolであらゆる価値を誰でも簡単にトークン化でき、フルオンチェーンでその価値が保存される世界が現実のものとなっています。

今回は「価値交換」に焦点を当て、あらためてSymbolを見てまいりましょう。

Symbolの機能と価値交換の進化

Symbolには様々な機能がありますが、特に次の3つが特徴的であり、象徴的です。

1. アグリゲート・トランザクション
・複数の取引をひとまとめにし、特定条件が揃った時点で「一括同時実行」

複数の取引をいっぺんに自動化できるため、ブロックチェーンで実行するコントラクトを高次元へ引き上げています。

2. クロスチェーン・トランザクション
・パブリックチェーン-プライベートチェーン間など、「異なるチェーン間」での取引を実行

価値交換に他チェーンへの広がりをもたらし利便性を高める、重要な機能です。
まだこれを活用した事例をなかなか見かけないので、みなさんぜひ!

3. マルチレベル・マルチシグ
・階層的なマルチシグの運用(3階層まで可能)

社会での価値交換や契約取引の実情に即し、組織における階層的な承認手順をブロックチェーン上で実現、会社内部での稟議などに対応可能。

以上のように、Symbolはコントラクト周りの機能が多彩で充実しており、コントラクトの自動化=スマートコントラクトを数段進化させています。

ここで、スマートコントラクトについて触れておきましょう。

スマートコントラクト

価値のやり取りをする際に、私たちは契約や取引を行います。これを、ブロックチェーンを活用して自動化するのが「スマートコントラクト」です。

一般的にスマートコントラクトというと、Ethereumのように、ブロックチェーン上に契約条件をプログラムとして書き込み、特定条件が揃ったらこれを自動で実行させる形式のことを指すものと認識されています。

ブロックチェーン上にプログラムを書き込む形式は、

・ 契約条件/プログラムが間違っていた際の修正が困難
・ 契約条件/プログラムに含まれていない状況の変化などに対応できない可能性あり
・ 契約条件/プログラムの不備を狙った攻撃の恐れあり
・ プログラミングからリリースまで、手間がかかる

といったリスクがあり、果たしてこの形式が好ましいのか、必要なのか疑問が残ります。

また、これは決してスマートコントラクトのすべてではなく、一つの形式に過ぎないと個人的には考えています。
なぜなら、NEM/Symbolでは別の形式でコントラクトの自動化=スマートコントラクトを実現しているからです。
それが「スマート・サイニング・コントラクト」です。

スマート・サイニング・コントラクト

NEM(NIS1)では、ブロックチェーン上にプログラムを書き込む形式を採用しませんでした。前述のリスクを回避し、署名(鍵)とアセットとの組み合わせで世の中のほとんどのコントラクト(契約・取引)は実行できるはずであると考え、「スマート・サイニング・コントラクト」というコンセプトのもと、この組み合わせをパッケージ化しました。これにより私たちは、NEM(NIS1)でスマートコントラクトに必要な機能を安全かつ容易に利用できるようになりました。スマート・サイニング・コントラクトもスマートコントラクトの形式の一つであると言えます。

これは、NEMの次世代バージョンであるSymbolにも受け継がれています。

さらにSymbolでは先述のように、NIS1にはない特徴的な機能によって、プロトコルレベルで効果的にコントラクトの自動化を充実させ、進化させています。すなわち、ブロックチェーンにおける価値交換が進化したのです。

そしてSymbol界は今年、価値保存についても進化しました。

フルオンチェーンでの価値保存

何年か前から、フルオンチェーンでのデータ保存、価値保存の話は見受けられました。しかし、本格的に実装されたケースは出てきていませんでした。
そんな中で今年、Symbolを使ったフルオンチェーンの価値保存をしてNFTを作成する「NFT-Drive」が、ボー太郎さんの手によって誕生しました。

これまでのブロックチェーン界では、

・ NFTのアセットデータ本体はブロックチェーン上には直接保存しない
・ アセットデータは外部のサーバーシステムに保存
・ 外部サーバーシステム上のアセットデータのURIをNFTと紐付けて記録・保存していく

のが常識でした。しかしこのことは同時に、アセットデータが消える可能性があるというリスクを背負うことでもありました。代替不可能で唯一無二の価値だとするNFTにおいて、儚い価値にしかならない大きな課題でした。

NFT-Driveは、Symbolの各機能を活かすことであっさりフルオンチェーンの保存を実現したのです。そしてそれが既に実装され実稼働しています。

このことは、Symbolを使ったおもしろいツールやサービス、革新的なツールやサービスがまだまだこれからたくさん出てくる可能性を示唆しています。ブロックチェーンによる価値交換の世界は、ここからが本番です。

価値の創造と発掘〜あらゆる価値のトークン化へ

ブロックチェーンにおける価値交換と価値保存の進化によって、そしてNFTの広まりによって、多様な価値がトークン化され、新たな価値が生み出され、埋もれていた価値が発掘されていく流れが生まれています。NFTのみならずFTにも当然波及するはずです。関連するツールやサービスが増えていき、身の回りの価値とトークンがどんどん密接なものになっていき交換されていく、そんな未来へ着実に向かっています。

トークンによる価値同士の交換が、私たちの日常に欠かせないものになっていくことでしょう。Symbolがその大きな一端を担えるよう、私も各種進めてまいります。
全ての価値に、Symbolの力を!

お知らせ

私が理事長を務めておりますNPO法人NEMTUSにて、ゲームをテーマとしたハッカソン「NEMTUS Hackathon Hack+ 2022」(ハッカタス)を開催、2021年12月26日(日) 0:00からエントリー受付を開始いたします!
公式サイトでのお知らせ↓
https://nemtus.com/nemtus-hackathon-hack-plus-2022/
また、エントリーはハッカタス特設サイトにて受け付けます。
特設サイト
https://hackathon-2022.nemtus.com/

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