7
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

TOPPERSAdvent Calendar 2020

Day 7

TOPPERS BASE PLATFORMを改造してESP32をATコマンドで使ってみる

Last updated at Posted at 2020-12-07

Wi-Fi接続に対応したい

Azure IoTに接続するアプリを作ったのですが、有線LANで接続するものしかなかったのでWi-Fiでも接続したいと思い、手元にあったESP32を使用することにしました。
ESP32自体でもArduino IDEやIDFを使って単体でソフトを作ることができますが、TOPPERSのRTOSはESP32のCPU(Xtensa)には移植されていませんので、直接ESP32でTOPPERSを動作させることは現状出来ません。
そこで、ESP32のファームウェアとして提供されているATコマンドファームウェアを使い、外部CPUからのWi-Fi接続を実現することにしました。

TOPPERS BASE PLATFORM

TOPPERSプロジェクトでは、組込み技術者養成用の教育コンテンツを提供していて、そのコンテンツで使用するソフトウェアプラットフォームとして、TOPPERS BASE PLATFORMというのを提供しています。
そのTOPPERS BASE PLATFORMに含まれるサンプルアプリにEPSのATコマンドをシリアルコンソールを通して、手打ちで確認できるサンプルアプリがあります。
これを改造し簡単なATコマンドパーサーを追加し、Wi-Fi接続とTCPの接続が関数呼び出しで実現できるようにしました。

TOPPERS BASE PLATFORMは下記からダウンロードできます。
https://www.toppers.jp/edu-baseplatform.html

ESP-WROOM-02シールド向けサンプルアプリ

ESPのATコマンド手打ちアプリのパスは、上記のサイトからダウンロードしたasp_baseplatformv1.4.1_051120.tar.gzでは、NOCLEO-F401RE向けのサンプルアプリで、下記のフォルダにあります。
asp\OBJ\STM32F401NUCLEO_GCC\espshield
このフォルダにあるesptest.cのヘッダーコメントに書いてありますが、ESP-WROOM-02シールド向けのコードになっているようです。
シリアルを接続するピンなどは、このシールドに合わせてあるようです。
余談ですが、TOPPERS BASE PLATFORMのリリースでは文字コードに「EUC-JP」が使われているので、「UTF-8」変換して使っています。

シリアルコンソール

TOPPERS BASE PLATFORMではシリアルコンソール(モニター)が実装されていて、このサンプルアプリでATコマンドを入力すると、ESP32へコマンドが転送され、応答が表示されます。
ESP32のATコマンドはここにあるように、AT+GMRのように入力し、改行コードもCRLFを使用しますが、シリアルコンソール経由では、下記のように入力し、形式が違っているので注意が必要です。改行コードもLFのままです。

mon> AT GMR
AT+GMR
ver ...

初めのAT+スペースまでが、シリアルコンソールのコマンドで、引数としてGMRを渡しています。ESP32にはAT+GMRが渡されるようになっています。
ESP32のATコマンドを試してみるには便利ですが、通信ソフトを組み込みたいときには機能が足りません。

ATコマンドパーサーの追加

TOPPERS BASE PLATFORMのサンプルアプリでは、ATコマンドの仲介をするだけのコードしかないので、ATコマンドの応答を読み取り、Wi-Fiの接続状態やTCPの接続状態を遷移させるような処理を実装を追加しました。
ESP32と接続したシリアルからの入力を処理するメインタスクと、入力コマンドを処理するモニタタスクの2つがあり、リングバッファを介して繋がっています。
この改造では、ESP32からのシリアル入力をユーザーへの表示ではなくATコマンドの解析処理をするコマンドパーサーに渡して、応答を処理します。
一方ユーザーからのコマンド入力で、Wi-Fi接続やTCP接続を行うので、ATコマンドを発行する側はモニタタスクになります。
ATコマンド発行を含むコマンドは、以下のようなコマンドがあります。

mon> device wifi ssid password
mon> device csgen mqtt scopeid deviceid key
mon> device setcs connection_string
mon> device iot

2つのタスク間のデータのやり取りにはタスク間通信が必要で、データはリングバッファで、通知はデータキューを使っています。

改造部分を含むソースコードは下記のサイトにあります。
https://dev.toppers.jp/trac_user/contrib/wiki/azure_iot_hub_riscv

ATコマンドパーサーとAzure IoT SDK for Cを繋ぐ

ATコマンドを使ったTCP接続を行うアプリとして、Azure IoT接続サンプルアプリを使います。
ATコマンドパーサーは自前で作ったものなので、Azure IoT SDK for C には繋がるコードはありません。
GR-LYCHEEというmbed対応基板のもESP32が付いていて、それを使った経験から、mbed向けのコードから改造することにしました。
TCP接続の実装部分のファイルsocketio_mbed_os5.cを元に、socketio_esp_at.cを作って、関数名のプリフィックスtcpsocketconnectionesp_at_socketにリネーム、このファイルから呼ばれる下記の関数をATコマンドパーサーのファイルesp_at_socket.cに実装しました。

関数名 実装内容
esp_at_socket_create TCP接続用の領域確保
esp_at_socket_destroy TCP接続用の領域解放
esp_at_socket_connect AT+CIPSTARTコマンド発行し、応答があるまで待機
esp_at_socket_close AT+CIPCLOSEコマンド発行、応答があるまで待機
esp_at_socket_set_blocking 設定を保存
esp_at_socket_receive バッファにデータがある場合は読み込む、バッファにはESPからのシリアル受信時にデータが入る
esp_at_socket_send AT+CIPSENDコマンド発行、応答があるまで待機

詳しくはAzure IoT SDK for Cのポーティングガイドを見てください。
https://github.com/Azure/azure-c-shared-utility/blob/master/devdoc/porting_guide.md

SSL/TLS

クラウドサービスにはSSL/TLSも必要です。ESP32のATコマンドでもSSL/TLS接続ができますが、ESP32と本体側CPUとはシリアルで通信しているので、簡単に読み取られてしまいます。
セキュリティを考えて本体側CPUにSSL/TLS通信部分をを実装し、それにwolfSSLを使っています。Azure IoT SDK for Cにも対応するコードが入っているのですぐに使えます。また、セキュリティ意識の高いAzure Sphereでも使われているので、安心かと思います。クローズドソースの商用向けには有償なようですが、GPLを組み込んでもいい公開用のサンプルアプリなら問題ないです。

動作確認したデバイス

実際にESP32とシリアル接続したデバイスは、STマイクロの「NUCLEO F401RE」と「NUCLEO F767ZI」、Sipeed社のRISC-Vボード「Maix Bit」です。

ESP32のピン

ESP32.png

NUCLEO F401RE

NUCLEO_F401RE.jpg

  • GND ⇔ GND
  • D8 ⇔ U2 RXD
  • D2 ⇔ U2 TXD

NUCLEO F767ZI

NUCLEO_F767ZI.jpg

  • GND ⇔ GND
  • TX D1 ⇔ U2 RXD
  • RX D0 ⇔ U2 TXD

Maix Bit

MAIX_BIT.jpg

  • GND ⇔ GND
  • 6 ⇔ U2 RXD
  • 7 ⇔ U2 TXD

その他

また、Azure IoT Centralに接続するまでの動画もありますので、参考になればうれしいです。
https://www.youtube.com/watch?v=EAdgV0TPsZY

7
3
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
7
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?