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情報処理安全確保支援士試験(SC)合格体験記

Last updated at Posted at 2021-12-18

概要(もしくはTL;DR)

  • 情報処理安全確保支援士試験に1ヶ月で合格したよ
    • 1ヶ月しか勉強しなかったのは単純に自分が怠惰だったからだよ
    • これから勉強する人は3ヶ月〜半年ぐらいは勉強した方が確実だと思うよ
  • 勉強は午前IIの対策に7〜8割を費やしたよ
    • 過去問を解いて分からない点を参考書で調べる勉強法をやったよ
    • 午前Iも対策すべきだったよ
  • 午後対策は勉強時間の2〜3割ぐらいを充てたよ
    • 学生時代に国語のテストに苦手意識があった人以外、午後対策はそこまで熱心にやる必要はあまりなさそう
    • 普段文字を手書きしない人は、頻出する漢字を何も見ずにスラスラ書けるかどうか確認しておいた方が良いよ
  • 試験当日は朝早いから注意だよ
    • 特に夜型の人は起床が第一の難関だよ
    • 試験会場まで歩いて行くと目が覚めるからお薦め
  • スマートウォッチは受験時に時計として使えないよ
    • 普段スマートウォッチをしている人は、別途時計を持っていこうね
  • 飲み物・昼食・間食はきちんと持っていこうね
    • 個人的にはおにぎりとスニッカーズがお薦め
  • 飲み物は多めに持っていこうね
    • カフェイン入りの飲み物はトイレが近くなるかも知れないよ
  • 解答時間には余裕があったよ
  • 問題冊子は書き込み可なので、ルールを決めて印を付けておくと後で見直しがしやすいよ
  • 試験の合間の休憩時間は意外と短いよ
    • トイレはめっちゃ混んでたよ
    • トイレには戦略的に行こうね

はじめに

先日、情報処理安全確保支援士試験(SC、いわゆるセキスペ)を受験しました。

その結果が12/17に公表され、なんとか無事合格していたので、その体験記を投稿します。

スコアは下記の通りでした。

スコア

午前Iと午後Iが合格点ギリギリで、ちょっと危なかったですね

筆者について

  • 新卒で現在の会社1に入社以来、開発職に従事。現在3年目
  • 普段は主にJavaとJS/TSを用いたウェブアプリやデスクトップアプリ2の開発・保守・運用に従事
  • 学生時代は学部・大学院ともに非情報系
  • 学部1年の時に応用情報技術者の資格を取得済み

受験に向けた勉強

過去問を解き、不正解だったり分からなかった箇所について参考書で関連する記述を調べる、という勉強法を繰り返しました。

この試験は過去問とよく似た問題がくり返し出題されるケースが多いように感じたので、過去問を中心に解く勉強法は有効なのではないかと個人的に考えています。

勉強に取り組んだ期間はおよそ1ヶ月でした。
ただし、これだけ短期間になってしまったのは単純に筆者自身の怠惰によるものですので、これから受験を考えている方は3ヶ月〜半年程度の準備期間を見込んだ方が良いかと思います。

午前対策

勉強した期間のうち、7〜8割は午前対策に充てました。
午前は知識中心の問題で、なおかつ問われる範囲が広いためです。

実務、特に運用に長く携わっている方ならばマネジメント面や法制度にも馴染みがあるかと思いますが、筆者は実務経験がまだ浅く、携わった業務が開発中心であり運用の知識が浅かったため、特にそういった点を中心に勉強しました。

過去問

IPAの公式でも過去問が公開されていますが、筆者は情報処理安全確保支援士過去問道場というサイトを使用しました。

スマホでの表示にも対応しており、PWAとしても動作するので、ちょっとした空き時間や移動時間にソシャゲを周回する感覚で気軽に勉強できました。

ユーザ登録にも対応しており、ユーザ登録をすることで学習履歴(どの年の過去問をどこまで解いたか、まだ解いたことがないのはどの年かなど)や自分の回答傾向(得意分野や苦手分野、合格ラインに達しているか等)を閲覧できたのが、とても役立ちました。

また、有料のアプリなども数多くある中で、無料で利用できたのも嬉しかったです。

注意点としては、上記サイトの注意書きに

(この問題集には区分ごとの専門知識が中心の午前Ⅱ問題のみを収録しています。午前Ⅰ対策には姉妹サイトである「応用情報技術者試験ドットコム」の過去問道場をお役立てください。)

とあるとおり、このサイトだけでは午前IIしか対策できません
そのため、午前Iは別途対策・勉強する必要があります3

筆者は試験まで時間がなかったのと、「応用情報は既に持ってる4し、多分大丈夫でしょ」と甘い考えの元、午前Iの対策はゼロで臨みました。その結果、合格基準点60点以上のところ68点という、合格ラインギリギリになってしまいました。

これから試験を受ける方で午前Iが免除になっていない方は、午前I対策もしっかりと行う(もしくは先に応用情報等を取得し、免除を受ける)ことをお薦めします。

免除を受けると午前I対策が不要になり、試験当日も朝1時間程度遅く起きることができるので、そちらの方が楽かも知れません。

参考書

情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2021年版』の物理書籍版を使用しました。

参考書として本書を選んだ理由は特になく、Amazonでたまたま目に入ったから買った程度の理由なのですが、実際に使ってみた感想としては

  • 良いと感じた点
    • 分野別に用語の解説を中心に丁寧に解説されている
    • 図表が豊富
    • 索引も細かく、「過去問の分からない点を調べる」という自分の使用法に適していた
    • 物理書籍版には「試験直前チェックシート」という、要点をまとめた小冊子が付属している。
      • 実際に試験直前に使用してみたが、忘れていた点を思い出したり短期記憶に留めたりすることができた。
  • 欠点と感じた点
    • 物理書籍版はとにかく厚くて重く、持ち運びには不適
      • 「電車での移動中にちょっと過去問を解く」のような時間が多かったので、そういった際に不便でした。
      • 電子書籍版を買えばよかったかもしれないです。
    • 午後の問題に触れられておらず、これ1冊では午後対策ができない
      • 午後対策には別途参考書(後述)を買う必要がありました。
    • 図表の1部に、要点や本文との関連性がいまいち分かりにくいものがあった
  • 人を選ぶと感じた点
    • ある程度の知識や実務経験がある人を前提とし、そういう人が試験に向けて細かい知識を覚えるような用途を想定していると感じた
      • 例えば「新卒でIT未経験です」のような人がこれ1冊で勉強するのには向いていないだろうな、と感じました5

午後対策

筆者は午後対策はあまりやりませんでした(学習時間全体の2〜3割)。

午前が細かい知識を問う選択問題なのに対し、午後はそこまで細かい知識を要求されない実務ベースの問題が多く、また問題形式も高校時代の現代文のテストを彷彿とさせるような、「n字以内で答えなさい」という形式の筆記問題が中心のためです。

個人的な感想としては、午前をクリアできる知識量と、過去に学校や入試で国語の筆記試験がそこそこできていたという経験があれば、そこまで神経質に対策をする必要はないのでは、と感じています。

ただ、筆者はその結果として、午後Iが合格基準点60点のところ65点とギリギリになってしまいました。なのでもっと勉強するべきだったかもしれない、とは反省しています。

逆にこの手の筆記問題に対して苦手意識がある方は、午後をメインに対策されると安心して試験に臨めるかと思います。

ただし、漢字を手書きで書かないといけないので、普段パソコンやスマホに頼って漢字を入力している人(筆者含む)は注意が必要です。頻出する漢字に対して自分の脳内IMEがどれだけ使い物になるか(i.e. 何も見ずにどれだけスラスラと漢字を書けるか)を事前にユニットテストしておくことをお薦めします6

過去問・参考書

うかる! 情報処理安全確保支援士 午後問題集』の物理書籍版を使用しました。

筆者が確認した中では唯一の午後対策専門の参考書でした。
実際に使ってみた感想としては

  • 良いと感じた点
    • 午後問題について「こういうパターンの問題にはこう答えろ」という傾向と対策が載っている
    • 様々な過去問が出題頻度順に載っている
      • そのため、時間が無い中でも効率的に対策できる
  • 欠点と感じた点
    • 得点を得るための小手先のテクニックの解説に終始しているため、情報セキュリティの学習や、受験に必要な知識の習得は不可能
      • 既に知識がある人が午後問題を対策することに特化した、「試験に受かるため」に使用される参考書だと感じました。
  • 人を選ぶと感じた点
    • 表紙に女の子のキャラクターのイラストが大きく掲載され、本文中にもそのキャラクターがちょくちょく登場する
      • これは本文中でキャラクターが問題に対する疑問を提示し、それを地の文が回答するという形式を取っているため。
      • 親しみやすさを意図しているのだと思いますが、そういう女の子のキャラクターが苦手な人には向いていないと感じました。
      • 電車内等の人目がある場所では取り出すのに抵抗が大きいと感じました。
      • 表紙はカバーを外すことで対処可能でした。

と感じました。

試験当日

試験会場について

試験当日は9:30(実際にはこれより前)〜16:30という長丁場になるため、準備はしっかりとしていきました。

特に試験時間割に記載されている9:30は試験開始時間で、試験監督官による事前の説明等もありますし、それ以前に試験会場によっては場所が分かりにくかったり、道や会場の出入り口、エレベータが混んでいて到着までに時間が掛かったりと様々なトラブルが予想されますので、少なくとも試験開始の30分前には会場に到着していることが望ましいと感じました。

また特に筆者のような夜型人間にとって、朝早く起きるのは試験問題以上の難関です。
前日に早めに寝たり、アラームを何重にもセットしておくなど、充分な対策を取ることをお薦めします。

筆者は会場が自宅から3km程度の近距離でしたので、往復共に徒歩で行きました。
歩くことで目が覚めたり、途中のコンビニで昼食が買えたりと、メリットが大きいと感じました。

持ち物について

コロナ対策について

今回はコロナ対策として、受験票の他に当日の検温結果を記入する用紙がありました。

筆者は朝に事前に記入して持って行きました(事前の検温を忘れた場合に会場で検温できたのかは不明ながら、他の受験者が大量にいたので事前に記入して良かったと感じました)。

筆者の受験した会場は受験者数の割に出入り口となる通路やエレベータが狭く、いわゆる「密」になりやすいと感じました。

昨今の情勢を反映したエチケットとして、消毒液やマスク等を持っていくなどの対策はきちんと行った方が良いかな、と感じました。

時計について

机の上に出しておけるものとして時計が認められています。
試験の残り時間やペース配分を確認するためにも、時計は必ず持っていった方が良いと感じました。
また、「スマートウォッチは時計として使用できない7点に注意が必要だと感じました。

筆者は普段はスマートウォッチを腕時計代わりに着けているのですが、試験前日に受験票の注意書きを読んで慌てて近所の百円ショップに腕時計を買いに行きました。

飲み物・昼食・間食について

自宅から会場に行く途中のコンビニで

  • おにぎり2個
  • チョコレート(スニッカーズ)
  • エナジードリンク(リポDとレッドブル)
  • ペットボトルのコーヒー

を買っていきました。

筆者はこういった受験の場ではおにぎりの他にスニッカーズを食べるのがお薦めで、一種の儀式になっています。

  • どこでも売っている
  • 自席で片手で食べられ、手が汚れにくい
  • 音や匂いがしにくい
  • 糖分が大量に含まれており、脳にエネルギーが回りやすい気がする

といったメリットがあると考えています。
昼食はあまり食べ過ぎると眠くなるので、そこらへんは注意が必要かと思います。

筆者は飲み物を計1リットル弱持っていきましたが、少し足りなかったと感じました。水分は多めに持っていった方が良いと感じました。エナジードリンクやコーヒーは筆者がカフェイン大好きなので持って行きましたが、カフェインが含まれる飲み物はトイレが近くなる可能性があるので、あまりお薦めはしません。

筆者が受験した会場は近くにご飯屋さん等がなかったので、昼食を自分で持っていく以外の選択肢がなかったのですが、もしご飯屋さんがあった場合でも、

  • 他の受験者で混み合う可能性が高い
  • 自席で食べると、食べながら復習ができる

といった理由から、自分で持っていくことをお薦めします。

試験について

午前・午後の全ての試験において、解答時間は思ったよりも余裕があり、余った時間で見直し等ができました。
問題冊子にも書き込み可能なため、(よくある受験テクニックですが)「分からない問題は冊子の問題番号に○を付ける」「あまり自信がない問題は問題番号に?を付ける」など自分でルールを決めておくと、見直しを効率的にできると思います。

試験の合間には30分〜1時間程度の空き時間があります。
ただし、試験の15分前(記憶が曖昧なので違うかも知れません)には着席して試験監督官の説明を聞くことが求められるので、実際には休憩できる時間は思ったよりも短いです。
筆者は休憩時間は軽く間食を食べたり水分補給をしたりしつつ、前述の参考書についていた小冊子を使って復習していました。

また、筆者が受験した会場は受験者数の割にトイレのキャパシティが小さかったためか、トイレがとても混んでいました。
おそらく他の会場でも同様かと思いますので、トイレに行く際は戦略的に行かれることをお薦めします。

午後の試験は途中で退出することが可能8になります。
特に午後IIはほとんどの人が試験終了時間よりも早く退出していましたが、筆者は最後の1分1秒まで自分の解答を見直したい派なので、最後まで残りました。

最後まで残ると、試験会場の出入り口やエレベーター等が混む可能性がありますので、ここは一長一短だと思います。

まとめ

冒頭の概要を読んで下さい。

おわりに

筆者が情報処理安全確保支援士(セキスペ)を受けようと思った動機としては、

  • 以前から情報セキュリティ分野に興味があった
    • したがってセキスペも興味のある資格だった
    • 学生時代に応用情報を取ったものの、それ以降は勉強や研究などが多忙になってしまい、以来受ける機会を逃していた
  • 会社の業務で情報セキュリティについて考えなければならない要件や機会が増え、勉強の必要性を感じるようになった
  • 会社の「TLS勉強会」に参加するようになり、こういった情報セキュリティを担保する技術について広範に勉強したくなった
  • セキスペを含む特定の資格試験について、合格した場合に会社が受験料を負担してくれる制度が始まった
    • 上記制度が始まったことで、会社のメンバに「資格取得ブーム」のようなムーブメントや雰囲気が発生した
    • その雰囲気が背中を押してくれた
  • 会社としてこの手のスキルアップを応援してくれる空気があった
    • 会社のMBO(目標管理制度)に「セキスペ合格します」と書いたり、チームの月次の成果報告で「セキスペの勉強してます」という報告をするのを許してくれる空気があった

といったものがありました。

ただ、まさか初回の受験で合格できると思っていなかった9ので、嬉しいと同時に驚いているというのが正直な感想です。

セキスペの受験を考えている方や迷っている方にとって、本稿が僅かでも参考になれば幸いです。


  1. 厳密に言えば、現在の会社が分社する前の会社 

  2. フレームワークとしてElectronを使用 

  3. 応用情報の取得等から2年間は午前Iが免除になります。 

  4. 筆者が応用情報を取得したのは8年以上前だったため、当然ながら午前I免除にはなりませんでした。 

  5. そういう人はいきなりセキスペを目指さず、まずは基本情報や応用情報といった資格の取得を目指すべきだとは思いますが……。 

  6. 頻出する漢字は問題文中にも登場している可能性が高いので、もし漢字が思い出せなくて詰まったら問題文中から探し出すという最終手段もあります。ただし、それだけ時間の無駄になりますし、もし問題文中に登場していない漢字を書かなければならない際には確実に苦労します。 

  7. 公式サイトのFAQに「試験中、机上に置けるもの及び使用できるものは、以下のものです。〔中略〕・時計(時計型ウェアラブル端末は除く。アラームなど時計以外の機能は使用不可)〔中略〕これ以外のものについては、一切使用できません。」とあります。 

  8. 筆者が受験した際は、午前の試験は開始から終了まで退出不可、午後の試験は開始から40分間と終了前の10分間は退出不可でした。 

  9. MBOでも「3年以内に合格します」みたいに書いてた気がする 

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