今回は、WindowsのWSL2(ubuntu)でGemini CLIのインストールと、MCPサーバ経由でimagenを利用するまでをまとめていました。
Linuxのコマンドなどはわかっている方で、初めてGeminiCLIやMCPサーバを使用する人を対象としています。
引っかかりポイントもいくつかありましたので、ご参考いただけると嬉しいです。
きっかけ
XでGemini CLIが話題に上がっていて、自分でも勉強のために少し試さないとな、と考えていた時に、たまたま下記の記事を目にしました。
爆速プロトタイピング、バッチ処理が神、パイプライン連携、プログラマブルな画像生成など、CLIで実現できたら便利になりそうな内容で、自分でも試さねばと思ったのがきっかけでした。
Gemini CLIとは?
2025年6月25日、Googleは開発者向け公式ブログで「Gemini CLI」を発表しました。これは、最新の生成AI「Gemini 2.5 Pro」を搭載し、最大100万トークンのコンテキストを扱えるオープンソースのコマンドラインAIエージェントです。自然言語によるターミナル操作でコード生成や調査、タスク管理が可能であり、無料で最大1日1,000リクエストまで利用できます。
Imagenとは?
Google DeepMind(旧 Google Brain)が2025年5月20日に発表した「Imagen」は、自然言語プロンプトから高解像度・高精細な画像を生成する最先端のテキスト→画像AIモデルです。特に最新バージョンのImagen 4では、文字表現の精度向上やリアルタイム生成能力が飛躍し、写真品質の画像を短時間で生成可能になりました。また、文中の文字をくっきり描く“優れたタイポグラフィ”性能も評価されており、挨拶カードやポスター、マンガ素材の制作にも適しています。生成はGemini APIやGoogle AI Studio、Vertex AIなどを通じてプレビュー利用可能です。
Gemini CLIのインストール
では早速インストールしてみましょう。コマンドラインで下記を実行します。
# npm install -g @google/gemini-cli
インストール後、geminiを実行します。
# gemini
試しに「あなたの名前はんですか?」と聞いてみたところ、「私はGoogleによってトレーニングされた、大規模言語モデルです。」と回答がありました。
なお、インストールにはNode.js のバージョン18以上が必要です。ご注意ください。
MCP Servers for Google Cloud Genmedia APIsのインストール
MCP Servers for Google Cloud Genmedia APIs のリポジトリからインストールします。
# git clone https://github.com/GoogleCloudPlatform/vertex-ai-creative-studio.git
# cd vertex-ai-creative-studio/experiments/mcp-genmedia/mcp-genmedia-go
# ./install.sh
Cloning into 'vertex-ai-creative-studio'...
remote: Enumerating objects: 5443, done.
remote: Counting objects: 100% (1051/1051), done.
remote: Compressing objects: 100% (203/203), done.
remote: Total 5443 (delta 961), reused 860 (delta 848), pack-reused 4392 (from 3)
Receiving objects: 100% (5443/5443), 151.75 MiB | 2.31 MiB/s, done.
Resolving deltas: 100% (4002/4002), done.
Go is not installed.
Please install it from the official website: https://go.dev/dl/
After installation, make sure that the Go binary is in your PATH, then run this script again.
Go is not installed.
ということなので、GOをインストールします。
GoenvとGOのインストール
GOを使って開発する場合はGoenvが便利です。複数のGoバージョンを簡単に切り替えることができます。Ruby の rbenv や Python の pyenv のようなものです。新しい技術のため、最新バージョンが必要になることが予想され、aptでインストールできるものは古い可能性が高いので、今回はGoenvを使用することにしました。
まずは、必要な依存関係をインストールします:
# sudo apt update
# sudo apt install build-essential libssl-dev zlib1g-dev libsqlite3-dev
Goenv をクローンします:
# git clone https://github.com/go-nv/goenv.git ~/.goenv
Goenv の環境変数を設定します:
~/.bashrc (zsh を使用している場合は ~/.zshrc) ファイルの末尾に以下の行を追加します。
echo 'export GOENV_ROOT="$HOME/.goenv"' >> ~/.bashrc
echo 'export PATH="$GOENV_ROOT/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
echo 'eval "$(goenv init -)"' >> ~/.bashrc
変更を適用するために、ターミナルを再起動するか、以下のコマンドを実行します。
source ~/.bashrc
Goenv のインストールを確認します:
goenv --version
Goenv を使って Go をインストールします
まず、インストール可能なGoのバージョンを確認します。
goenv install --list
次に、インストールしたいバージョンを指定してインストールします。(例:最新の安定版をインストール)
特定のバージョン
# goenv install 1.22.4
または
# goenv install latest (最新の安定版をインストール)
でインストールできます。今回は最新の安定板をインストールしました。
最後に、使用する Go のバージョンを設定します:
グローバルに設定 (システム全体)するか
# goenv global 1.22.4
現在のディレクトリ(プロジェクトごと)のみ設定にするか選べます。
# goenv local 1.22.4
今回はグローバルに設定しました。
インストールを確認します。
# go version
MCP Servers for Google Cloud Genmedia APIsのインストール(再)
では、 MCP Servers for Google Cloud Genmedia APIsのインストールに戻ります。
先ほどのフォルダに戻り、install.shを実行します。
# ./install.sh
WARNING: Your PATH does not include the Go binary directory (/home/XXXXXXX/go/bin).
The MCP server binaries will be installed there.
To run them from your command line, please add the following line to your shell configuration file (e.g., ~/.bashrc, ~/.zshrc):
・・・・・省略・・・・・
You will need to restart your shell or run 'source <your_config_file>' for the change to take effect.
Press Enter to continue, or Ctrl+C to exit and configure your PATH.
Please choose an MCP server to install:
1) mcp-avtool-go
2) mcp-veo-go
3) mcp-chirp3-go
4) mcp-imagen-go
5) mcp-lyria-go
6) Install All
7) Exit
#? 4
Installing mcp-imagen-go...
最初のWarningは、Goenvを使用していると出力されるのですが、インストールには影響ないのでそのまま進みます。選択肢が1)-7)までありますが、今回はimagenを使用したいので4)を選択します。
しばらくするとインストールが終わります。
次にMCPサーバを使用するために認証を行います。MCPサーバーはGoogleのアプリケーションデフォルト認証情報(ADC)を使用して認証を行います。
# gcloud auth application-default login
Command 'gcloud' not found, but can be installed with:
sudo snap install google-cloud-cli # version 528.0.0, or
sudo snap install google-cloud-sdk # version 528.0.0
See 'snap info <snapname>' for additional versions.
デフォルトでは関連するコマンドがインストールされていませんので、インストールを行います。
gcloudをインストールする
下記コマンドを実行します。
# sudo snap install google-cloud-cli --classic
google-cloud-cli 528.0.0 from Cloud SDK (google-cloud-sdk✓) installed
--classic オプションについて
snap パッケージは通常、厳しく隔離された環境("strict confinement")で動作します。しかし、Google Cloud CLIのようにシステムと広範に連携する必要があるツールは、この隔離を無効にする「クラシック」モード(--classic)でのインストールが必要です。このオプションを付けないと、機能制限される場合があります。
次に初期化を行います。
gcloud を初めて使う際は、あなたのGoogleアカウントで認証し、デフォルトのプロジェクトを設定する必要があります。
# gcloud init
このコマンドを実行すると、対話形式で以下の設定を求められます。(キャプチャ取り損ねました)
- Googleアカウントでの認証(ウェブブラウザが開きます)
- Google Cloudプロジェクトの選択または作成
- デフォルトのCompute Engineゾーンの設定(オプション)
2番目で作成(選択)したGoogle Cloud プロジェクト ID はMCPサーバの登録で必要なため、メモをしておきます。これらの手順を完了すれば、gcloud コマンドを使ってGoogle Cloudサービスを管理できるようになります。
MCPサーバの登録
~/.gemini/settings.jsonに MCP サーバーの設定を記載します。
{
"mcpServers": {
"imagen": {
"command": "mcp-imagen-go",
"env": {
"MCP_SERVER_REQUEST_TIMEOUT": "300",
"PROJECT_ID": "プロジェクトID"
}
}
}
}
セキュリティー強化のため、環境変数でプロジェクトIDを設定したい場合は
export PROJECT_ID=$(gcloud config get project)
などと、PROJECT_IDを設定したあと、先ほどのJSONの設定で"PROJECT_ID": "{PROJECT_ID}"
のように変更してください。
gemini再起動
こんな画像が表示されました。使えそうですね。
エラー1:Vertex AI API が有効化されていない
試しに、プロンプトに「飛んでる狸の絵を生成して」と入力すると、またまたエラーが・・・
Vertex AI
APIが有効になっていないため、画像を生成できませんでした。お手数ですが、以下のURLにアクセスしてAPIを有効にしてください。
https://console.developers.google.com/apis/api/aiplatform.googleapis.com/overview?project=gemini-mcp-20250628
APIを有効にした後、再度お試しください。
ということで、上記URLにアクセスしVertex AI APIを有効にしてください。
エラー2:請求アカウントが正しく設定されていない
geminiを再起動し、同じプロンプトで実行すると、またまた下記のようなエラーが。
請求先アカウントが正しく設定されていないようです。表示されているURLにアクセスすると、請求先アカウントの設定ができます。
なお、カード情報登録が必要になるものの、初めて使う人は、無料トライアルのクレジットが$300相当ついているようです。
最終的に・・・
さて、これで大丈夫でしょう。
geminiを再起動し、先ほどと同じプロンプトを入力します。
画像が生成されたようです。
なお、プロンプトでは出力ファイルパスを指定してみましたが、ファイル名が異なっていました。
まとめ
簡単にできます!と書いてあるサイトなどが多かったですが、1からとなると引っかかるところが意外に多かった印象でした。
とは言いつつも、無料でここまでできてしまうので、使いこなさないのはもったいないです。
本記事をインストールのご参考にしていただければと思います。
参考サイト
下記記事を参考にさせていただきました。