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新しいサービスを作り、古いサービスを優しく殺すお話

Last updated at Posted at 2024-02-29

はじめに

私は製造業の現場作業員です。
現場作業員には、手続きが色々とあります。手続きの数だけ担当窓口があり、窓口の数だけ謎ルールがあり、謎ルールの数だけお作法があります。
でもようやく、少しづつ、複写伝票がFAXになり、メールになり、オンラインフォームになり、電子承認が取り入れられたりしています。デジタル化万歳。
さて、これを「せーのっ」と3月31日→4月1日に切り替えができるのか?
できないとしたらどうすればいいのか?なポエムです。

移行したところで新サービスの普及には時間がかかる

便利な新サービスを作ったからといって、全ての利用者が一斉に新サービスへ切り替えて便利に活用してくれる、は幻想です。そんなわけない。

  • 新サービスの存在が認知されない(告知を見ない)
  • 見ても理解しない
  • 先輩に聞いたら複写伝票を渡された
  • 〇〇課は電子承認を採用してない

やらない理由はいくらでも出てくるのです。これを慎重に、丁寧に、1つ残らず摘み取っていくのが新サービスへの移行なのです。

当面の間、新旧両方のサービスをサポートする消耗戦になる

もちろん新サービスのサポートや不慣れな利用者への問い合わせに対応しなくてはなりません。
もちろん旧サービスのサポートは全く減りません。だって利用者がわんさか居るので。
この覚悟と根性がないまま、新サービス開始を告知してはいけません。気力か体力のどちらか、もしくは両方が削られます。

小さく初めて大きく育てる

人も設備もアプリもサーバも最初は不具合だらけです。そういうものです。
テスト環境でどれだけテストしても、〇〇営業所から来たデータだけが順番通りに並ばないと思ったら時計がズレてたなんてことは極まれに良くあります。「5分前行動実践中」などという謎キャンペーンが所長の思い付きで即時実行されてしまうのが営業所です。(NTPサーバのことは一瞬忘れてください)
伝票100件当たりの問い合わせ数が少ない部門や、技術的にレベルの高いナイスな問い合わせをしてきた人をメモしておきましょう。そういう部門や人にレターを書き、お願いだから(カナリアになって)新システムのテストに協力してくれ、あなたは王国の危機を救う勇者(カナリア)なのだと持ち上げて新サービスを試してもらいましょう。
私はテスト中の新サービスから出てきたデータを旧サービスに手動で転記して、何食わぬ顔で処理を走らせるという姑息な手をよく使います。これも小さく始めている(そしてカナリアが協力してくれる)から実現できるのです。

さあ育てよう

立ち上がりの不具合を一通り経験し、レベルを上げ、装備を揃えたら新サービスの正式開始をアナウンスしましょう。カナリア部署が協力してくれた事例をPRに使うのも良い方法です

  • 告知
  • 新サービスのサポート
  • 旧サービスのサポート

これを同時並行で走らせます。気力と体力を十分に養いましょう。新サービス利用者の「便利になったよ」のフィードバックが貰えたら大喜びしましょう。アンケートの初期値を☆5にしておくのも良い方法です。寝れる時に寝ましょう。

寝れる時に寝るためには

告知で

  • 新旧両サービスが並行している点
  • 新サービスは順調に利用者が増えている点

をPRしましょう。具体的には、「旧サービスのサポートを段階的に縮小する」宣言が必要です。1日は24時間しかありませんし、あなたの身体は1つしかないのですから。
段階的に縮小する方法は

  • 曜日で区切る(毎週〇曜日は旧サービスのサポートはお休みします)
  • 時間で区切る(旧サービスのサポートは15時以降は翌日対応になります)
  • 件数で区切る(現在受付番号〇〇番まで対応しています)

これらを上手く組み合わせて、新サービスへの移行を促進していきましょう。

広げた風呂敷の畳み方

新旧サービスの平行稼働、大変お疲れ様です。
利用者をカウントして、新サービスの利用者が51%を越えたら大々的に勝利宣言をしましょう。旧サービスのサポートを一気に縮小しましょう。EOS(End Of Service)を示しましょう。旧サービスの利用者さんに、重い腰を上げてもらいましょう。ここを非情にやらないとズルズルと撤退戦を続けることになります。偉い人からクレームがきても「過半数が既に利用していますので」と押し切れます。私はこれを「51%戦略」と呼んでいます。

おわりに

技術的な話でもなんでもないポエムを読んでくれてありがとうございます。
私は「良い回答は良い質問が作る」と信じて、「社内ヘルプデスクのヘルプデスク」を勝手に作って活動をしています。利用者からも情シスからも奇異な目でみられていますが、デジタルで職場が愉快になったらいいなと思って活動しています。qiita記事にできるほど気の利いたことが言えない時は、Xやブログに色々書いています。Xをフォローしてくれるととても嬉しいです。
https://twitter.com/1RRhcSB6HSUu9hF
それではまた。愉快に行き当たって楽しくばったりお過ごしください。

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