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NSSOLAdvent Calendar 2021

Day 19

【AIのべりすと】とうとうAIが面白い小説を書けるようになってきた!! ~AIによる小説の自動生成の最前線~ 

Last updated at Posted at 2021-11-03

概要

本記事はAIによる文章の自動生成サービスであるAIのべりすとの紹介をする記事です。
冒頭の数文を書くことで続きを自動生成してくれるAIサービスなんですが、それがめちゃくちゃすごい出来だったので、紹介したいと思います。
論より証拠、さっそく生成した小説を見てみましょう。

生成した小説

実験の設定

以下の小説はAIによって生成された小説です。
黒い部分は人間が適当に書いた文章で、それ以降はAI が生成しています。
AIが書いている部分は__一切__人間が手を加えてません。
設定として、主人公の名前とヒロインの名前だけAIに与えています。

小説1 オリジナルの冒険学園物の小説

本文

「セフィ、どうしたの?」

古い、古い記憶だ。
目の前で女の子が泣いている。
長い黒髪、少しだけ尖った耳、利発そうな端正な顔立ち、まだ少女の姿。

「またあいつらに何か言われたの?」

背を向ける彼女に近づき、語り掛ける。

「は、半エルフって…… お前は耳なしのエルフだ、なんでこんなところにいるんだって……」

ぐずりながらそう漏らす彼女を、背中からゆっくり抱きしめる。

「そんなこと気にするなって。あいつらはただ嫉妬しているだけだから。大丈夫、俺がついてる。」

ゆっくりと頭を撫でながら慰める。
昔の彼女は、よくこうやって泣いていた。
半エルフ、半エルフ、って、実際には8分の1しか引いていないエルフの血を、それでも侮辱されて泣いていた。
そのたびに慰めていたことをよく覚えている。

「ほんと……? じゃあ約束して。ずっと、私のそばにいるって。ずっと一緒にいてくれるって。」

振り向き、涙の残る顔のまま彼女はどこかおびえた表情で問いかける。
それを見て、俺は―――
俺は、なんていったんだったか。



PiPiPiPiPi

目覚ましの音が鳴り響く。
瞼を開け、上体を起こす。
どこかぼんやりとした心地の中、瞼を開けて意識をはっきりさせる。
そうだ、今日は高校の始業式の日だった。
冒険学校。
文明が発達した今の時代でもなお残り続けるダンジョンを攻略・管理する冒険者。
それを育成する学校だ。

昔は自衛隊や警察などが対応していたらしいが、今は国も冒険者を育成し、ダンジョンの管理を任せるようになった。
そして、俺もその一人だ。
『朝ですよー!起きてください!』
スマホに表示されたアプリを立ち上げ、声をかける。
「おはよ、ナビちゃん。」
『おはようございます!マスター!』
音声案内機能付きのナビゲーションAI、通称ナビちゃん。この世界にはダンジョンがある。
ダンジョンコアと呼ばれる核を破壊することでエネルギーとして活用できるそれは、現代社会においてなくてはならないものだ。
しかし、ダンジョンの中にはモンスターが存在し、侵入者に襲い掛かる。
そのため、ダンジョン探索を行う冒険者は必須となる技能だ。
だからこそ、ダンジョン探索に必要な知識・技術を教えるために設立されたのがこの冒険学校である。
『今日の予定を確認しますね~』
ナビちゃんが画面に表示される。
『本日の予定です。9:00に校長先生によるホームルーム、10:00から体育館にて入学式が行われます。12:00から全校生徒での昼食会、14:00より校内探索が開始されます。』
「了解。ありがとう、ナビちゃん。」
『いえいえ、これが私の仕事なのです!』
画面の中で胸を張るナビちゃん。
「さて、そろそろ準備しないとな。」
ベッドから降り、洗面所に向かう。
顔を洗い、歯を磨き、寝癖を整える。
「よし!」
鏡の前で気合を入れる。
「行ってくるね、母さん。」
写真立ての中の母親に声をかけ、家を出る。
『行ってらっしゃいませ、マスター。』
ナビちゃんの声を聞きながら、俺は歩き出した。


「おはよー!クロア君!」
「おう、おはようセフィ。」
教室に入り、自分の席に着くと横から声がかかった。
幼馴染の女の子、セフィだ。
「今日は早いな、いつもギリギリなのに。」
「うん、ちょっと早く目が覚めちゃって。それで、せっかくだから早めに来たの。」
「へぇ、珍しいこともあるんだな。」
「もうっ、そういうこと言わないでよぉ。」
笑いながら会話をする。
「あ、そうだ。今日の放課後、空いてる?」「ん?ああ、大丈夫だけど?」
「なら、久しぶりに買い物に付き合ってくれないかな?新しい服買うつもりなんだ。」
「いいぜ、荷物持ちくらいいくらでもやるよ。」
「え~、そこは一緒に選んでくれるだけでもいいんだけど?」
「おいおい、女子の買い物に男が入るとろくなことにならないぞ?まあ、どうしてもって言うなら別だが?」
「むぅ…… 分かったわよ、じゃあ自分で選ぶことにする。」
「そうしてくれ。」
「その代わり、クロア君の奢りでね♪」
「はぁ!?なんでそうなるんだよ!」
「だって、私は荷物持ちしてくれるって言ったじゃない。それに、男の子が女の子に奢るのは当然でしょ?ほら、お金払ってくれるんだからむしろ感謝してよね。」
「お前なぁ……」
「ふふっ、冗談だよ。半分こでどう?私の分も出すからさ。」
「……分かったよ。ただし、高いものは却下だからな。」
「分かってるって。じゃあ決まりね。」
嬉しそうに笑う彼女を見て、思わず笑みをこぼす。
「じゃあまた後でね。」
「ああ、またあとで。」
手を振りながら離れていく彼女を見送り、俺は頬杖を突きながら窓の外を見た。
そこにはどこまでも青い空が広がっていた。

『―――であるからして、我が校の生徒として誇りを持ち、日々研鑽に励むことを期待する。以上、校長先生のお言葉でした。』
壇上で挨拶を終えた校長が頭を下げる。
それに合わせて拍手が鳴り響く。
『続きまして、生徒会長からの新入生への歓迎の言葉です。』
司会役の生徒がアナウンスする。
すると、一人の少女が進み出る。
『在校生を代表して、私、生徒会長リリアナ=ヴェルンハルトが歓迎の言葉を贈らせていただきます。』
少女が一礼する。
『今年の新入生の皆さんは、皆様ご存じの通り、ダンジョン探索士になるための学校に入学されました。』
ダンジョン探索士、それは現代社会においてなくてはならない存在だ。
ダンジョンはエネルギー資源であり、同時にモンスターという脅威が跋扈している。
モンスターはダンジョン内にしか出現せず、ダンジョンコアを破壊することでエネルギーへと変換することができる。
その恩恵により、人類はモンスターの脅威に晒されることなく、文明を発展させることができたのだ。
しかし、ダンジョンには罠や仕掛けがあり、決して安全とは言えない。
そこで活躍するのが冒険者と呼ばれる者たちだ。
彼らはダンジョン探索に必要な技能を学び、ダンジョン探索を行っている。
『この学校では、ダンジョン探索に必要な知識・技術を学ぶことができます。』
ダンジョン探索士は国によって保護されており、ダンジョン探索に関するあらゆる費用が国で負担される。
そのため、ダンジョン探索に関する知識や技術を無償で学ぶことができる。
『あなたたちはこれから、ダンジョン探索士を育成するための学校に通うことになります。』

感想

どうですか! この文章の精度!
細かい部分を見てみましょう。
まず冒頭の自分が書いた部分の一番最後
冒険学校。 文明が発達した今の時代でもなお残り続けるダンジョンを攻略・管理する冒険者。 それを育成する学校だ。
の後に続く文章に以下の内容が書かれています。

昔は自衛隊や警察などが対応していたらしいが、今は国も冒険者を育成し、ダンジョンの管理を任せるようになった。

AIが自分で上述された文章の設定につながるような設定を追加してくれているんです!
たぶん学習コーパスの小説の中の近い設定のものを使用しているんでしょうけど、文章のつながりや内容に違和感がまったくないです。

次に、そのあとの今日の予定を確認している部分です。
AIがナビちゃんなんていうそれっぽいキャラクターを用意して、今日の予定を話してくれています。
しかも始業式だから始業式用のオリエンテーション的な内容を!
その前の文章に始業式だ、って言葉があるだけで、今の状態をきちんと認識してそれにふさわしい予定を書いていることが分かると思います。
適当な文章を生成しているのではなく、前の文章を参照してその設定を記憶してくれているということが分かると思います。
今までの文章生成より圧倒的に賢いです。
googleのAIDungeonも賢いと思いましたが、それ以上に賢く作られています。

そのあとの会話もきちんとなりたっているし、何より生徒会長の言葉がきちんと入学式の挨拶かつ、そのあとの地の文が今まで書かれた世界観を元にそれを補強するように述べられている。
これはそれ以前の文脈をきちんと保持したうえで、文章が書かれているということです。
今までの文を適当に連ねているような小説生成とは全然違う。
これはとてもすごいことだと思います。

これはオリジナルの世界観と登場人物を使用した小説ですが、二次小説(小説や漫画の世界観や登場人物を使用して作られる小説のこと)でも同じことができます。
二次小説の場合はネットにその世界観や登場人物の内容がたくさん存在しているので、設定を追加することなく原作の登場人物みたいに話してくれます。
以下はかなりネットで二次小説の多いFate Grand Orderという作品を元にAIが書いた二次小説です。

追記

このオリジナル小説も短編になるぐらいの長さにまでAIに書いてもらいました。
主人公がくそぼけ鈍感野郎だった……
けっこう冗長だけど短編として形になっていました。
もし読みたい方がいればここに置いています。

小説2 二次小説でFate Grand Order の短編小説

本文

眼を開けると、そこにはトネリコがいた。

「どうしたんですか、藤丸? ふふっ、まだおねむなんですか?」

トネリコが笑いながら尋ねる。
それだ。俺の名前は藤丸立香。人類最後のマスター。
今はなぜか過去に跳ばされてしまって、モルガンに至る前の、トネリコと一緒に救世の旅を続けている。

「もう朝ですよ。そろそろ起きないと、次の町に今日中にたどり着けません。」

そう言って彼女はベッドから降りる。
そして、窓の外を眺めて、朝日を浴びる。
その背中は昨日よりもずっと大きく見えた。

「さあ、行きましょう! 藤丸!」

未来から来た少女の笑顔は、とても輝いていた。

「うん、行こう。トネリコ。」

俺は彼女に向かって手を差し出す。
差し出した手を彼女が握って、二人で部屋を出る。
彼女とならきっと、どこまでも行ける気がする。
そんなことを思いながら、俺たちは街へと向かった。

【2017年】

「先輩…………今更こんなこと聞くのもアレなんですけど、本当に私で良かったんでしょうか?」

マシュが不安げに言う。

「えっと、それはどういう意味かな?」

「いえ、だからですね。私がこの先にいるということは、つまりその、そういうことですよね…………」

マシュの言葉を聞いて、思わず苦笑してしまう。

「大丈夫だよ。マシュがどんな選択をしていようと、俺には関係ないんだから。」

「関係なくはないです!! だって私は先輩の後輩で、先輩は私の大切な人で…………」

顔を真っ赤にして抗議してくる。

「はいはい、わかったよ。じゃあ、こうしよう。これから先、何があっても絶対に離さない。それが答えになるかい?」

少し意地悪っぽく言ってみる。
すると、マシュの顔がさらに赤くなって、「はい…………それでいいです。」と言う。
まったく、可愛い後輩だ。

「ところで、どうして今になってそんな話になったの?」

気を取り直して聞いてみると、マシュは恥ずかしそうに俯きながら言った。

「最近、夢を見るんです。カルデアの夢を。みんなと過ごした日々や、特異点で出会った人たちのことを。

でも、そこには必ずあの人がいて…………」

「ダ・ヴィンチちゃんのこと?」

「はい。でも、それだけじゃないんです。私の隣にはいつもドクターがいました。楽しそうな表情を浮かべて、笑っていました。まるで、今も生きているみたいに…………」

マシュは顔を上げてまっすぐこちらを見つめてくる。

「もしかしたら、これはただの夢ではないんじゃないか。もしも、これが現実だったら。そんな風に思うことがあるんです。」

彼女の瞳からは強い意志を感じる。

「たとえ、今の話が全部夢であったとしても、それでも私は、今度こそ自分の意思で選びたいと思います。

先輩、私も一緒に戦わせてください!!」

「もちろんだよ。よろしく頼む、マシュ!」

そう言って、俺達は握手を交わした。

 
【2018年】

「うわぁぁぁあああ!!!!」

俺は悲鳴を上げながら飛び起きた。
心臓がバクバク言っている。

「なんだ、また夢か…………」

最近はよく同じ夢を見る。
内容は毎回違うけれど、何かしら嫌な予感がするのだ。

「おい! 藤丸!! 遅刻するぞ!」

外から父親の声が聞こえる。時計を見ると、時刻はすでに七時を過ぎていた。

「やべぇ! 寝坊した!」

感想

これは短編の冒頭の部分です。
短編の内容をすべて載せると長すぎる(一万字以上ある)ので、続きの内容はこのページに載せています。
興味のある人は読んでみてください。

この冒頭部分で注目するべきは文章が回想形式になっていることです。
詳しくは小説の全文を読んでいただきたいのですが、この短編は非常に美しい構成になっています。
まず冒頭で現在の時系列の様子を描写してからどんどん過去に遡り、そして現代に戻り、なぜトルネコという少女と彼が旅をしているのか、なぜ2017年のころにはいたマシュという人物は今はいないのか、2018年で見た悪夢はなんだったのかについて、語られて行きます。
これはさすがに偶然の部分も大きいと思うのですが、その真相を含めて非常に美しい内容の小説になりました。
この小説は一回目に試しで作成してみた内容なのですが、それがここまで美しいものになるのか、と非常に驚きました。
AI故多少読みにくかったり分かりにくい部分はありますが、小説の内容としては個人的にかなり面白い内容になっています。
さすがに毎回こんなに美しくはならないと思うのですが、それでも短編レベルの長さの文章でもきちんと読み物として面白いものとして成り立つことが驚きです。
とうとうシンギュラリティが目に見える形で始まりだしたんだな、とすら思えます。

AIのべりすとの使い方紹介

概要

生成物の紹介だけだとQiitaの記事としてどうかと思うので、以下ではサービスの使い方も紹介していきます。

AIのべりすとのサイト

AIのべりすと

使い方

AIのべりすとのサイトで使用することが可能です。
お試しならアカウントを作成しなくても適当に文章を入力して試してみることが可能です。
アカウントを作成すると、以下のようなページに文章を入力することで続きをAIが書いてくれます。
アカウントの作成は無料で、メールアドレスのみで作成できます。
画像にあるのは夏目漱石の吾輩は猫であるの冒頭部分ですね。
ここで下の続きの文を書く、というボタンを押すと以下の様に続きが表示されます。
タイプとしては3タイプあって、バランスのいいデフォルト、台詞多めで書いてくれるセリフ、地の文多めで書いてくれるナラティブの3タイプがあります。
デフォルトで続きを書いてもらうと以下の様になります。なんだか面白い状況ですね。

image.png
image.png

このタイプ以外にもこのサービスではパラメータを色々とチューニングできます。
見ての通り色々なパラメータがあります。
この中でも特に(個人的に)注目するべきはストーリー設定やキャラクターブックです。
ストーリー設定では長期記憶として覚えていて欲しい設定や、どんなジャンル(コメディとかシリアスとか)か、だれの視点で書かれるか、など様々な状況を設定することができます。
他にもキャラクターブックではそういった設定をタグとして設定することもできます。
なお、上記の生成された小説ではこれらの設定はほとんど使用していません。
ほとんど使用しなくてもあれだけのものを作成できています。
このような感じで文章の生成の方向を設定することができます。

image.png

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またこれは無料アカウントの話です。
このサービスには無料アカウント以外に有料アカウントも存在します。
無料アカウントでは使用しているサーバーが共有のため、続きを見ようとしてエラーが返ってくることも多いですが、有料アカウントでは回数制限はありますが専用サーバーを使用できるため、ストレスなくサービスを使用できます。
また無料アカウントでは1時間あたり約45出力しか使えませんが、有料アカウントではその制限はありません。
さらに文章として認識してくれる文字量の最大値や、一回の出力で出力してくれる文字量の最大値も有料アカウントにすれば増えていきます。
有料アカウントは最安で月900円から使用できます。
一番高くても2700円で、この場合は専用サーバーを無制限で利用できます。
詳しい内容はこのページに記載されています。
より高精度にするための研究資金や、サーバーの維持費に使われるとのことなので、もし応援したい方がいれば応援する気持ちで課金してみてはどうでしょうか。
有料アカウントだとサービスがすごい使いやすくなりますしね。

さらにクラウドファンディングも存在しています。
サーバーの増強や、よりデータ量とパラメータの多いコーパスのによる学習などを行うための資金集めみたいなので、応援したい方はぜひ支援してください。
こういう研究はお金かかりますからね……

まとめ

以上、AIのべりすとの紹介でした。
正直サービスを使用してみてすごい感動しています。
とうとう文章生成はこのレベルにまで至ったのかと。
この分だとあと数年もしたらゲームのクエストの自動生成や会話の自動生成も可能になってくるのではないか、とすごく期待の持てる技術とサービスだと思います。

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