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[Fediverse]テーマ鯖運営のススメ

この記事は Fediverse Advent Calendar 2022 - Adventar の4日目の記事です。

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はじめに

今年はFediverse/Twitter界隈でいろいろなことが起きましたね。

  • トランプ元米大統領がMastodonベースのSNS「Truth Social」をリリース。
  • Twitter社元CEOのジャックドーシー氏が新規分散SNS「Bluesky」の開発に本格着手。
    Blueskyの分散プロトコル名をAT Protocolに改称。
  • テスラ社CEOのイーロンマスク氏がTwitterを買収

上に挙げたニュースはFediverse界隈でもかなり話題になったところです。

特にイーロンマスク氏のTwitter買収は、「既存の従業員を大量に解雇した」「イーロンマスクにTwitterを壊される」みたいな風説でTwitterユーザの不安を煽ることになり、Fediverse界隈にアカウントを作成するユーザが多数出てきました。

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こちらのグラフは僕の運営しているマストドン鯖「Abyss.fun」のsidekiqによる直近3ヶ月の処理キュー数推移です。
Twitterの経営がイーロンマスクに移った11/1から処理数が上がり、もともと250~300K程度だったものが最大で533Kまで膨れ上がりました。

弊鯖の登録ユーザは増えてませんが、他鯖(特にJPとFedibird)のユーザ増による連合からの投稿が増えたことが原因ですね。
単純にユーザ数が増えた鯖はもちろんのこと、それ以外の鯖にも影響が出ていることがわかります。

正直こんなに事が大きくなるとは思っていませんでした。まさかこんなにFediverseがフィーチャーされる時代が来るとは……世の中何が起こるかわからないですね。

今回の記事について

さて、そんなこんなで師走も相まって世間が騒がしい昨今ですが、今年のアドベントカレンダーで僕が取り上げるのは「テーマ鯖運営のススメ」です。

今回のアドベントカレンダーを登録したのがこの騒動が起こる前で、普段から考えてるテーマ鯖運営のことをつらつら書こうかな。となんとなくで考えてただけでした。

予想外にも時勢にあってしまいましたね。新しくマストドンを運営してみたいと思う人も多いことでしょう。

最初のマストドンブームが来てから5年半が過ぎました。いままで色んな鯖の隆盛をみてきた立場として、鯖を運営すること、テーマを持つということについて改めて考えてみたいと思います。僕の記事が、立ち上げる際の心構えというか、なんというか指針になってもらえれば幸いです。

※注記
記事題名にもある「」とはサーバの俗称で、Fediverse界隈においてはアカウント名をメールアドレスのように「@~@example.com」と表記しますが、このexample.comの部分だと思ってもらえればいいと思います。
最初のころは「インスタンス」と呼ばれていましたが、数年前に「インスタンスじゃなくてサーバって呼ぶようにしようぜ」と公式からアナウンスがあり呼び方が変わりました。インスタンスの方がわかりやすいという理由で使ってる人もまだ多いですね。
当記事では個人的になじみの深い「鯖」を、また鯖の管理者のことを「鯖缶」として統一させていただきます。別に焼いたり煮たりして食ったりはしませんのでご安心を。

テーマ鯖とは何ぞや ~定義を改めて見直してみる~

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Fediverseという言葉が、Federation(連合) + Universe(宇宙) の組み合わせで出来た造語であることからもわかる通り、宇宙の星のように多数の鯖が世界中に存在し、お互いに連合して運営されています。

そしてそれぞれの鯖は何も考えなしに運営されているわけではなく(中にはそういう鯖もあるかもしれないが)、特定の目的をもって運営されています。

その中でも、特定ジャンルの交流を目的として立ち上げられた鯖というものがあり、それらの鯖は一般的に「テーマ鯖」と呼ばれています。

例えば有名どころでいえば、日本のテーマ鯖最大規模となっている「ボカロ丼」ですね。初音ミクをはじめとしたボーカロイドの曲、絵、3Dモデル等が好きな人が集まることを目的とした、マストドン初期から存在する鯖です。

他にも、僕が運営している「Abyss.fun」はメイドインアビスの好きな人が集まるテーマ鯖で、ぐんますとどんイワテドン北海丼など、地名を関した「地域丼」と呼ばれるものもテーマ鯖と言われているものの一つにしてよいでしょう。

つまり特定のジャンルに特化した鯖のことをテーマ鯖、と一般的にはいうわけです。

これに対して、ジャンルに縛りのない鯖のことを「一般鯖」「汎用鯖」などと呼ばれていたりします。mstdn.jpFedibird、最近ではmastodon-japan.netもそうですね。

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で、ここまでは皆さんご存じの知識を書いたわけですが、ここから僕の考察に入ります。

結論から言いますと僕としては、このテーマ鯖や汎用鯖として分類されているものを作り変えたいわけです。

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一般的に、「テーマ鯖は廃れやすい」という言説があります。

実際問題として、思ったようにユーザが集まらずLTLの投稿も減り、安くはない鯖代を払い続けてまで維持をするメリットが減って最終的に鯖を閉じるという事例はいくつも見てきました。

これは管理人がそのテーマのジャンル作品等に対する情熱がなくなったのであれば仕方ないことかもしれませんが、まだ好きなのに閉じざるを得ない状況になってしまっている場合を考えると、とても勿体ないことのように思います。

せっかく立ち上げたのにだれも使ってくれない。閉じたら「やっぱりテーマ鯖は…」となる。テーマ鯖の印象が悪くなる。新しく立ち上げてもユーザが集まりにくくなる。こういう負のスパイラルになってしまっていると思っています。

こういった悪印象を取り除くためにも僕は見方を変えてほしいと思っています。

そもそも僕がこう思っている理由ですが、自分自身がテーマ鯖を二つ運営していることにあります。

先にも挙げましたが、一つがメイドインアビスのテーマ鯖「Abyss.fun」、もう一つが群馬県のテーマ鯖「ぐんますとどん」です。

Abyss.funは今年6年目に入りました。数名ではありますが長い間積極的に投稿してくれるユーザがいます。一方でぐんますとどんはたまに投稿してくれる人もいますが、一週間に数Postあるかないかくらいの頻度です。これだと積極的に投稿したいと思ってくれているユーザもLTLを見て引け目を感じてしまう人がいるんじゃないでしょうか。
(考えすぎ!と感じる人もいるかもしれませんが、少なくとも僕は引け目を感じるタイプですし、同じような人はいると思っています)

たった2鯖を運営した僕の経験だけからではありますが、これらの事例を参考にして、廃れやすい鯖というものをどうにかしたいのが日々感じているところです。

鯖を盛り上げるための2つの要素

生き残っている鯖を眺めていると、鯖缶自身の投稿が多い傾向が強いことがわかります。

漠然とそういう感じに気づいている人は結構いるかと思いますが、僕はそこから更に掘り下げて、具体的に何が違うかを考察してみました。

鯖缶が積極的に投稿することで、LTLを気にせずに投稿することができたり、新しい話題が生まれたり、場合によっては鯖缶自身をネタにして話題ができることもあります。

これらの役割を抽象化してみました。整理してみると、最終的に2つの要素にまとめることができると考えています。

  1. 鯖のルールを作る人
  2. 鯖の方向性を作る人

「方向性を作るっていうのはルールを作るのと同じでは?」と感じる人もいるかもしれませんが、こちらは実際に行動に移すことができることを示しています。

わかりやすくすると、「スパムは見つけ次第アカウント停止します!」とか「他のユーザに悪影響のある発言をした場合サイレンスとします」とやってはいけないことを書いたり、反対にローカル気にしてマストドンやってられるか!」とか「他鯖は長文気にするけどうちはそんなことないよ。なぜなら(以下5000字つづく)」みたいに推奨することを書き、実施してみせるということです。

特に後者は登録ユーザが「こういうことを書けばいいんだ」という指針になります。お絵かきやプログラミングをする場合でもそうですが、なにかを表現する時に0→1をするのは難しいけど1→10にするのは得意。という人もいます。そういう人の指針になってあげましょう。

三本柱と分業

前項では鯖を盛り上げるための事柄に注視して説明しましたが、鯖運営の全体として見渡したら、当然これだけでは成り立ちません。

鯖を運営していくには当然ながら、システムを維持する技術者が必要になります。初期構築をするのは当然のことながら、システムアップデート対応、障害対応をするにはある程度高度な知識を必要とします。

この技術者を前項で掲げた2つの要素に加えます。

  1. 鯖のルールを作る人
  2. 鯖の方向性を作る人
  3. システムを維持する人

この3つの役割を総称して「鯖運営の三本柱」と定義したいと思います。

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この三本柱を意識することで、ある程度安定した運営体制を計画して作ることができるようになると考えています。

今あるほとんどの鯖は、上記3つをテーマ鯖汎用鯖関わらず一人の鯖缶が担っていますが、一人でする必要はありません。それぞれをチームを組んだ人達で分担することができるはずです。

また、これらはキレイに三分割する必要はありません。例えば2.を務める人と3.を務める人がコンビで運営して、1.は二人で相談しながらやってもいいと思います。

いろいろな鯖を見ていると、2.と3.のどちらか片方だけ強い人が多いように感じます。鯖をいじるのは好きだけど、自分が目立つのは得意ではない(某代表鯖の元管理人)とか。目立ちたがりだけど技術的なことはよくわからない(某おにいさん)とか。

それぞれの得意分野を補いつつ、タッグを組んで鯖を運営したほうが、技術的にもユーザ層的にも強い鯖になるんじゃないかと思います。

これを書いていて、それぞれ立法・司法・行政と三権分立みたいだなぁと思ったりはしましたが、別に意識して考えたわけではありません。たまたまです。ぐすくまには政治がわからぬ。ので。

鯖の方向性とテーマ

三本柱の2つ目、方向性を決めることについてもう少し深掘りしたいと思います。

方向性を決める上で何を軸にして考えればいいでしょうか。

サイコロを振って考えますか?該当インタビューをしてその人の意見を汲んで考えますか?……恐らく、自分の動機や考えを汲まずにノリで方向性を考える人はほぼいないでしょう。

方向性の軸を決める。恐らくこの議題に直面した時に最初に思い浮かべる言葉が「テーマ」だと考えています。〇〇について語りたい。〇〇好きが集まるサーバにしたい。…そういった自分の情熱とも言える感情が鯖の方向性になるでしょう。

……と、いうのが大きな勘違いだということをはじめに指摘しておきます。
最初にテーマを掲げて方向性を決めてしまうのは悪手です。よくない軸です

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鯖を盛り上げるためには、登録ユーザがその方向性に賛同してついてきてくれることが重要になってきます。

ユーザの理解が得られていないと「この鯖は自分の肌に合わない」という結論に至り、離れてしまう原因になってしまいます。

せっかく鯖を立ち上げたにもかかわらず、誰も寄り付かなくて結局おひとりさまみたいになってしまう原因をまずは解消する必要があります。

そのために登録ユーザに歩み寄り、ある程度の交流を持つことは大事です。

まず、鯖の方向性を決めるのはユーザだと考えてください。ユーザを中心として鯖がどういう方向性を持つか考えてください

「そんなこと言ったって自分に合わないユーザが来るかもしれないし」と思うかもしれません。その通りです。しかし私はそれは起きて然るべきことだと思っています。それに従ってください。

例えば争いのない平和な鯖を作りたいと思っていたのに好戦的な人が登録してきたとします。思っていたものと違うものでしょう。しかし、まず最初はユーザを尊重する態度で接してあげてください。頭から否定してあげないようにしてください。

テーマを考えるのはその後からでいいです。うちは争いを増やしたくない。穏やかにいたい。と管理者の意思表明をしてください。そうすることでユーザという軸を中心とした鯖の方向性が自ずと決まってきます。どういう雰囲気にしていきたいかが管理者本人の自覚にもなり、登録ユーザにも伝わります。

この時点で合わない人は離れるでしょう。それでも離れたくないユーザは管理人の考えに合わせるなり、自分の意思表明をするなりで留まるでしょう。そうやって、登録ユーザに定住してもらえる場を確保してください。

そこからようやく、特定テーマを持った鯖はそのテーマについて語ることができるようになるでしょう。

基本的に、本当に話したいテーマは添えるだけです。まずは鯖の雰囲気を作ることが大事です。

汎用鯖とテーマ鯖

ここまで読んでいただいてなんとなく気づいた人もいるかと思いますが。いてほしいですが。今回の記事タイトル「テーマ鯖運営のススメ」としていますが、今回の考え方はテーマという軸をやめてユーザ本位の鯖を作りましょうという方針です。これにはユーザがテーマに関係なく自由な投稿をすることを許容しましょう。ということでもあります。

……ユーザが自由に投稿できる鯖、それってつまり皆さんが言っている汎用鯖と同じものじゃありませんか?

どんなテーマが掲げられていようと、一般ユーザが登録出来て自由な投稿をすることができる以上、それは汎用鯖と呼ぶべきです。

ここが今回僕の主張したい部分です。テーマ鯖を盛り上げるためにユーザ本位の鯖にしましょう。という僕の考えは、汎用鯖を含むほぼ全ての鯖に対して適用することができます。初めの方で書いたように、テーマ鯖と分類されていたものを取っ払った感じですね。

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テーマ鯖というカテゴリを汎用鯖と同列にしてしまったのが勘違いの始まりだと考えています。
なぜこの勘違いが生じたのか。前項で書いた通り、方向性を決める時にまず最初にテーマを思い浮かべてしまうことが最大の過ちだと考えています。あくまでテーマは汎用鯖の中にあるラベルの一つと捉えるべきです。

わかりやすい例で言うと、最近できたVivaldi公式鯖とかですね。あれは登録したアカウントに「Vivaldiユーザ」というラベルがつくだけです。だから投稿する内容もVivaldiに限定しない雰囲気を感じるのではないでしょうか。それと同じように捉えるべきだと考えています。

本来のテーマ鯖

じゃあ汎用鯖に相対するテーマ鯖というものがないかと言われると、あります。
今回の記事では汎用鯖のことを、一般ユーザが登録することができ、自由に投稿をすることができる鯖。と定義しました。

つまりこの定義に該当しないものの中で、テーマが決まっている鯖がそれということです。

これも例を挙げると、NERVがこれに該当します。災害情報を中心とした、ニュース速報を流すというテーマに絞って運用されている鯖です。一般ユーザは登録できないので、質の高い情報を提供することに成功しています。

僕としては、今後このようなテーマ鯖が増えてもいいんじゃないかと思っています。例えばニュースメディアがカテゴリや記者ごとにアカウントを分けて運用するとか、政党が所属政治家ごとに政策を公表するために運用するとか。
管理者の好きなようにアカウント運用ができるし、何よりブランド化できるでしょう。

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まとめ

長々となってしまいましたが、僕のテーマ鯖に関する意見としましては以上となります。本当はもう一つ書きたいことがあったんですが、今年はアドベントカレンダーにもうひと枠確保しているので、そこで書きたいと思います。期待しすぎない程度に期待しておいてもらえればと思います。っていうか間に合うだろうか。。

今回の記事をまとめると以下の点に集約されます。

  • 鯖運営の三本柱を意識して盛り上げていこう
  • 方向性を決めるための軸は登録ユーザにしよう
  • テーマ鯖とは汎用鯖の一つであり、ただラベルが付与されただけにすぎない
  • 汎用鯖でない特殊なテーマ鯖も今後は増えてほしい

今回のこの記事を書いている中で、自分自身いままでなんとなく感じていたことがうまく言語化できたように思います。

テーマ鯖だから、地域丼だから、といったレッテルがなくなり、今後良いテーマ鯖運営をしてくれる鯖缶が増えることを願って今回の締めとさせていただきます。ありがとうございました。

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