みなさんこんにちは〜!
ただNFTにするだけだと面白くないですね。
そこで、「まうふちゃん」NFTに、暗号資産であるイーサリアムを埋め込んでみましたw
mintするとき(「まうふちゃん」NFTを生成するとき)にイーサリアムが「まうふちゃん」NFTのコントラクトアドレスに格納されます。そして、「まうふちゃん」NFTがburnされるとき(「まうふちゃん」NFTのtokenIdをdeleteするとき)、イーサリアムがそのときの「まうふちゃん」NFTの保有者に返ってくるという仕組みになっています。
(今回のコードはこちら
https://github.com/gurunbox-contracts/contracts/tree/main/embeddingNFT)
例えば、私がこの「まうふちゃんNFT」をmintするときにイーサリアムを格納します。そして、ヴィタリックに「まうふちゃんNFT」を送信したとします。ヴィタリックは「まうふちゃんNFT」をburnすることで、「まうふちゃんNFT」の中にあるイーサリアムを受け取ることができるということです。
実際にmintしてburnするところまで見ていきましょう。「まうふちゃん」NFTをmintするためのコントラクトアドレスはこちらに用意してあります。
https://polygonscan.com/address/0xA3D4c16B82b5247100F0c7258419b20875eb5163
まず、このコントラクトアドレスがwETHを受け取れるように、wETHのコントラクトアドレスでapproveを呼び出します(今回はetherscanを使いますが、良い子のみんなは面倒くさがらずに自分のSDKからやりましょう)。
approve成功です!
次にmintします。今回は0.0001 ETHを埋め込みましょう。
mintに成功しました!
「まうふちゃん」NFTが生成されています。
0.0001ETHがコントラクトアドレスの中に埋め込まれてますね笑
tokenIDは0です。
まうふちゃんが表示されるか確認してみましょう(めんどくさくてtokenURIを入力したら直接URLが出てくるようにしてますが、NFTの画像は、openseaなどで見れるようにjsonファイルで管理しましょう)。
まうふちゃん見れましたね!
それではburnしてみましょう。
成功しました、、、!
ちゃんと「まうふちゃん」NFTの保有者にETHが送られていますね。
tokenID = 1 のNFTにも、まうふちゃんがいますので確認してみてくださいね笑
https://polygonscan.com/address/0xA3D4c16B82b5247100F0c7258419b20875eb5163#readContract
ちなみにburnしたらトークンが出てくるNFTの例としてはAshなどが開発されているようです!
さて、ここからは法律のお話です。
以下は私の所属団体の見解ではないです。単なる個人的見解です。
注意してください、、、!
イーサリアムは日本の資金決済法上、「暗号資産」にあたると考えられています(資金決済法2条5項1号)。他方、事例にもよりますが、NFTは「暗号資産」にあたらないものが多いと考えられています。
それでは、イーサリアムを埋め込んだ「まうふちゃん」NFTは、「暗号資産」にあたるのでしょうか?
ここで、まず資金決済法2条5項を確認してみましょう。
資金決済法2条5項
この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
これを読むとたしかにイーサリアムは1号の暗号資産に該当しそうです。他方、一品物のアートNFTなどの単なるNFTは、通常、代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができないので、1号の暗号資産には該当しなさそうです。
ここで、条文だけ読むと、単なるNFTは2号の暗号資産に該当してしまうようにも思えます。
しかし、令和元年9月3日金融庁「『事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)』の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果について-コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」には、以下のような記載があります。
「物品等の購入に直接利用できない又は法定通貨との交換ができないものであっても、1号仮想通貨と相互に交換できるもので、1号仮想通貨を介することにより決済手段等の経済的機能を有するものについては、1号仮想通貨と同様に決済手段等としての規制が必要と考えられるため、2号仮想通貨として資金決済法上の仮想通貨の範囲に含めて考えられたものです。したがって、例えば、ブロックチェーンに記録されたトレーディングカードやゲーム内アイテム等は、1号仮想通貨と相互に交換できる場合であっても、基本的には1号仮想通貨のような決済手段等の経済的機能を有していないと考えられますので、2号仮想通貨には該当しないと考えられます。」
このパブリックコメントでは、2号の暗号資産該当性について、「決済手段等の経済的機能」の有無を重要な要件としているようです。一品物のアートNFTなどの単なるNFTについては、決済手段等の経済的機能がない場合がほとんどだと思いますので、2号の暗号資産にもあたらない場合がほとんどでしょう。
以上の議論を前提にすると、イーサリアムを埋め込んだ「まうふちゃん」NFTについても「決済手段等の経済的機能」があるかどうかは重要なポイントになると考えられます。
「まうふちゃん」NFTは、一応、ERC721のNFTなのでUniswapなどで交換することはできません。また、「まうふちゃん」NFTをコンビニに持って行ってもおにぎりを買うことはできませんし、イーサリアム決済を受け付けているお店でも「まうふちゃん」NFTで支払いをすることはなかなか難しいかもしれません。このように考えると、「まうふちゃん」NFTは決済手段にならないのではないかとも思えます。
しかしながら、「まうふちゃん」NFTの保有者は、「まうふちゃん」NFTをburnすることでイーサリアムを取り出すことができます。「まうふちゃん」NFTのburnはイーサスキャンで簡単に行うことができますし、多少のプログラミング知識があれば、「まうふちゃん」NFTの保有者は誰でも、イーサスキャンを使わずにburnすることができます。これを前提にすると、「まうふちゃん」NFTは、単なるイーサリアムの殻になっているだけで、実質的にはイーサリアムと同等の価値や経済的機能を有しており、「決済手段等の経済的機能」を有しているとも考えられます。
実際のところどうなんでしょうね。私自身の結論はありますが、みなさんも是非考えてみましょう〜!
もちろん、「決済手段等の経済的機能」だけで暗号資産該当性は判断されないので、その点は注意してくださいね。
それでは、良いクリプトライフを〜!
今回のコードはこちら
https://github.com/gurunbox-contracts/contracts/tree/main/embeddingNFT
参照
令和元年9月3日金融庁「『事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)』の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果について-コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」
(https://www.fsa.go.jp/news/r1/virtualcurrency/20190903-1.pdf)
長瀬威志「NFTと法 第1回 【弁護士が解説】 NFTとは? 法規制と実務上の留意点」(BUSINESS LAWYERS, 2021)
(https://www.businesslawyers.jp/articles/942)
佐野史明「詳解デジタル金融法務」(きんざい、2021)
COINPOST 「新たなNFTトークン運用法、人気デジタルアーティストPak氏が計画」
(https://coinpost.jp/?p=236296)
Solidity latest
(https://docs.soliditylang.org/en/latest/index.html#)