#なんで Prusa Mini
3Dプリンターって、面白そうだなと考えて色々調べてみると安いけど色々自分で設定したりとか試行錯誤することが多くてプリントするところまでたどり着く頃にはジェダイマスターになれそうだったので、比較的初心者だけどなんとかなりそうな3Dプリンターってないですか?と3Dプリンターそのものを自作されている友人に尋ねたところ、紹介されたのがPrusaでした。
Amazon では、Original Prusa i3 Mk3S というのが日本正規品として販売されていますが、私の目を引いたのが Original Prusa MINI でした。小さいけど、静かでいいよ!と YouTube で言ってたので、本家 Prusa からポチってみました。結局届くのに5週間ほどかかったんですが、ちょうど Mini から Mini+ にアップグレードするところで、発表待ちだったようです。とはいえ、1ヶ月くらい待つのは当たり前状態みたいです。ポチったら後は気長に待ちましょう。私は待ちきれず追加で Amazon で Mk3S をポチってしまいました。今自宅では2台の Prusa がせっせといろいろなものをプリントしています。
箱から出したり、組み立てたりってのは他の記事や動画がありますので、ここでは初期設定で苦労したことをつらつらとメモっておくことで誰かのお役に立てばと思います。
#組み立て完了!さぁ、プリントするぞ!あれ?
Prusa のいいところは、付属のマニュアルと YouTube の公式動画を見ながら、慎重に確認しつつ組み立てればきちんと動いてくれるというところだと思います。実際、待ちきれず血迷ってポチった Mk3S は組み立てには24時間くらい使いましたが、マニュアル通りに設定して、何回か微調整しただけできれいなプリントをできるようになりました。しかし、Prusa Mini+ は半組み立て済みのモデルを買ったことにも起因しているのかもしれませんが、組み立て自体はネジを5本くらい締めただけで完成したんですが、私の個体はそのままではうまくプリントできませんでした。
余談ですが、3Dプリント界では、一枚目のレイヤー(First Layer と言います)がプリントの結果を握っていると言っても過言ではありません。うまくプリントできないよ、って方は First Layer がきちんとできているかとか調べてみるといいと思います。このプリントの結果を握る一枚目のレイヤーをきちんとプリントするために調整をするのが First Layer Callibration という作業なのです。結果どういう風になればいいのかについては、こちらの動画(link)を御覧ください。これ、きちんと印刷できると、動画に出てくるような一枚のしっかりとした紙のようになるんですが、その設定ができて一枚になったプリントができたときの喜びはひとしおです。
さて、ちょっと脱線しましたが、Mk3S ではできていたのですが、Mini+ だとどうしても First Layer Callibration がうまくいきません。うーんうーん、なんでだろう?って色々調べていたところ、どうも半組み立て済みのモデルの場合に結構なみなさんが問題にぶち当たっていることを知りました。特に、フィラメントというプリントする素材を出力するための部品であるエクストルーダー(Extruder)周りに問題が発見されることが多いようです。
ここからは、私のやったことになります。
ぶち当たった問題の一つとして、プリント時にフィラメントが焦げ付いて黒い塊ができてしまったり、印刷が途中で剥がれてしまったりすることでした。10分ほど離れていたら、エクストルーダーにでっかい塊ができていて緊急停止したりするようなケースもあり、Mk3S の順調さとは正反対の状況になっていました。この問題は、私の個体の場合はエクストルーダーの組み立てにありました。エクストルーダーは、まずフィラメントを射出する「Hotend (Nozzle)」があり、そこから「PTFE チューブ(テフロン製)」を経由してエクストルーダー上部のフィーダーにつながっています。これらがスムーズに繋がっていれば、フィラメントが途中で引っかかったり、隙間に溜まって焦げ付いたりとか言った問題を回避することができます。けど、届いたものをそのまま組み立てただけではそんなことはわかりません。こういった問題も、実は Prusa ではいろいろなドキュメントが公開されており、それを調べれば正しい状態に戻すことができるのですが、結構な量のドキュメントから自分の状況を見つけるところで苦戦しました。なお、PTFE チューブの交換の手順を踏んで PTFE チューブをしっかりと合わせ直して各部の隙間がないようにしたところ、今までの不調が嘘のようにきれいなプリントを行うことができるようになりました。
エクストルーダーをいじったり、印刷板を変更するなどした場合は、ノズルと印刷面の距離を測定する作業を必ず行いましょう。これをきちんとやらないと、ノズルで印刷面を削ったりしてしまい、悲しいことになります。Mini+ の場合はこちらの記事を参考にします。ここで出てくる SuperPINDA は距離センサーで、ノズルが印刷面に当たらないようにしてくれる大切な部品です。SuperPINDA の位置をうまく設定しておくと、First Layer Callibration の際に調整する回数が少なくてすみます。なお、ノズルと印刷面の距離が0.2ミリくらいになるようにするといいようですが、説明書だと、クレジットカード一枚分にするのがいいよ、と推奨されています。そこから First Layer Callibration を行なってチューニングしていくことになります。
次に、プリントしたいものが必要としている強度などから、PETG と呼ばれるフィラメントを使いたいという希望があったのですが、通常は PLA(プラモデルのプラスチックに近いです)から始めるのがおすすめとなっています。他にも ABS やいろいろなフィラメントがあります。この PETG、ペットボトルに非常に近い素材なのですが、軽くて丈夫という特徴を持っています。3Dプリントする際には、3Dのデータをスライサーと呼ばれるソフトウェアを使って3Dプリンターがプリントできるデータに変換します。このスライサー、Prusa が提供する PrusaSlicer というソフトウェアを使っていますが、使いやすいのでおすすめです。通常は Cura というスライサーソフトを使っている方が多いのですが、個人的には PrusaSlicer が提供する Prusa プリンタの設定テンプレートがとても役に立ちます。いろいろな設定をいじってみたのですが、実は Prusa が提供する PETG のデフォルト設定(またはその他の素材も)をそのまま使うとかなりうまくいきます。Prusa が提供する PETG のフィラメントと、eSun という Amazon で入手しやすいメーカーの PETG フィラメントを使っています(2021年2月20日時点で eSun の PETG が Amazon で在庫切れ、入荷予定無しになっています。Aliexpress では値段が上がりますが販売しています)が、Prusa の設定が一番うまく行ってます。メーカーによってはうまく行かないかもしれませんが、そこは試行錯誤となるかと思います。あと、この動画で、PETG を印刷するときにどういう設定しているかを画面で見せてくれるので、その画面の設定を行うことでさらにきれいなプリント結果が得られるようになりました。僕が一番 PrusaSlicer を使えるんだ、ってなりたい方はこの記事を参考にしていただけるといいかと思います。もちろん設定の柔軟性では Cura が優れており、いろんなこととことん突き詰めてやりたいって方は Cura を使うことをおすすめします。
#3Dプリンティングはそれぞれの楽しみ方で
Prusa は他の3Dプリンターと比較して高価であることや、情報が英語主体であったりするというハードルがあると思いますが、3Dプリンターそのものを作ったり使いこなすことが目的ではなかった私としては、プリントを始めるまでのハードルが比較的低く、出力結果が良いものを出しやすい Prusa を購入して良かったなと思えます。3Dプリンター沼はとっても深くて楽しいから僕と契約しようよ!となんか変な宇宙うさぎっぽいのが手招きしているのが見えますが、当面は見ないふりをしてプリントしたものを楽しむ方向で行きたいと思います。