高専OBOG Advent Calendar 2019参加ということで初Qiitaです。
https://adventar.org/calendars/4238
大した話ではないのですが、
結論からいうと高専生で本当に良かったぁって話をかきます。
#新卒で入社した会社
学生時代、神戸高専を経て某大学の情報工学専攻に編入しました。
大学では人の行動と脳波パターンを対応付けて機械学習に覚えさせることで
脳波を介してシステムを操作する脳-機械インタフェースの研究をしていました。
就職活動では色んな会社を受けましたが、
どの会社でも組み込み系のソフトウェアの開発を志望してました。
当時車載事業を行っている会社にインターンに行ったとき
Matlab/Simulinkによるモデルベース開発をお手伝いさせていただいたとき、
実際にモノがうごくのっていいなあと思ったのが一つ。
もう一つは研究で触れていた機械学習(当時はSVMを使ってました)による判別機が
ハードウエアに乗ってくるだろうから、
大学でやってたことが活用できそうと思ったからです。
最終的にとあるメーカーに内定をいただきました。
内定後の配属希望の面談でも上記希望を伝えていました。
その時面談をしていた人事担当者が
「ハードウエアに興味があるってことなのかな?」
と聞かれたので
「ええ、多少興味あります。」
と答えました。
そのときは、もちろんハードウエアってのも
組み込み系の近傍の話なのだと思っていました。
#希望通り?の配属
ところが私は「電源」の開発部門に配属されました。
商品の中にプログラムは一切出てきません。すべてアナログICで制御が構築されていました。
電源の動作理解に必須となるパワーエレクトロニクスについては当時全く知りませんでした。
さすがにびびりました。
そして、その時初めて「興味ある?ってそういう意味だったのか・・・」と悟りました。
そして苦悩の日々が始まりました。
#部署で一番仕事ができない奴へ
そして私は全く仕事についていけなくなりました。
まず用語がわからない。
それを調べている間に会議が終わる。
会議では発言しないといけないぞ、主体性がないと怒られます。
でも何を話しているかわからなければ発言しようがありません。
パワエレの本を買ってみても
電気回路や電磁気学がわかってる体で書いてることが多く
まず最初からわからない。
回路図はかろうじて読めるけど回路の機能や、
どういう意図でこの回路がこの場所にあるのかがわからない。
周囲に聞いてみても「そんなこともわからないの?」と言われる。
疲れ果てて家に帰って寝て起きて会社に行く。
勉強する気力も起きません。
1年目では全く成果といえるようなものがでませんでした。
このままではまずいと思いました。
#残しておいてよかった高専のノート
もっと効率よく勉強する必要がありました。
そのときふと高専で赤点ギリギリだった回路理論・電磁気学のノートと教科書が本棚にあることに気が付きました。
私は高専時代、電子工学科でしてハードウエアとソフトウェア半々を勉強していました。
(ハード系の教科はさっぱりだったので、ほぼ赤点。成績はクラスで真ん中くらいでした)
久しぶりに読んでみると、
当時の私、結構ちゃんと勉強してたしまとめていました。
自分で書いたノートですから、ある程度記憶もあります。
そのノートをつかって勉強することで特に電磁気学の理解が進みました。
その上でパワエレの本を読むと・・・!!
わかる!わかるぞ!!
高専時代の俺、グッジョブ!
そして赤点ギリギリの学生に妥協せず、基礎を理解するまで絶対に単位をあげなかった高専の先生!ありがとうございます!
この辺からペースを掴み始めました。
質問もある程度的を得たことが聞けるようになり
段々先輩の認識もかわってきました。
わからないなりに頑張っているのだと理解してもらえてきたと思います。
当時の会社の先輩方には感謝しかないです。ありがとうございます。
#自信がついてきたところで異動
3年目である商品の設計を一貫して任せてもらえました。
しかし、まだまだ能力が不足していました。
このプロジェクトでは先輩方にかなり助けてもらいながら、なんとかやり遂げることができました。
回路設計もしたし、パターン設計もしたし、品質評価もしました。
ここらへんからハードウエアエンジニアとしての自信がついてきました。
4年目、異動となりパワーエレクトロニクス技術開発で働き始めました。
そこでまさかのことを言われました。
「マイコンでパワエレ制御したいのだけど、griffinくんはできるかな。」
#やっぱり残しておいてよかった高専のノート
またかと思いました。
シーケンス制御はやってましたがいわゆる古典制御、現代制御はさっぱりです。
高専では制御工学I、IIの単位は取れていましたがもちろん赤点ギリギリです。
でも、それでも。赤点ギリギリの学生のノートでも。
高専ノートは僕を助けてくれました。
当時の制御の先生、とくに制御工学IIの先生はかなりしっかりと授業をされていました。
期末テストでは「状態フィードバックゲインの設計プロセス」を理解していないと赤点以上は絶対取れない設計がなされていました。
当時は「ランク求めて、固有値求めて・・・ってこれがなんの役に立つんだ?これは単純に行列演算の能力を問われているテストじゃないのか?」
と思っていましたが、
やはり先生方には感謝しかありません。ありがとうございます!
#今どんなかんじか
手を付け始めてから気が付きましたが制御はソフトウェアとの親和性高いです。
今回はそれほど苦労せずにキャッチアップできました。
振り返ると、最初は「新卒ガチャミスったか?」と思いましたが、
今思うとそうでもない、むしろいい感じにチャンスもらえたと思えます。
そして今、私はパワエレのハードもソフトもそれなりにわかるようになってきました。
最初に”電源”担当になったとしても諦めなかったおかげかなと思います。
どっちかに特化している人間はそこそこいるのですが、
どっちもを”まぁまぁ知ってる”人はあまりいないようで色々活躍の場をいただけていています。
当時、高専生のわたしは勉強が今後どう役に立つのかわかりませんでした。
それに、授業で習うことは古い技術でエキサイティングな気持ちになりませんでした。
でも、古い技術をしっかり理解しているというのは大変な強みになることを最近実感しています。
基礎を疎かにするとその上に何も積み上がらないんだと思っています。
私は先生にも同級生にも恵まれ、ハッピーな学生生活を高専、大学通して過ごせたなぁと思っています。
#まとめ
まとめるとこんな感じです。
・赤点とった教科でもそれなりに勉強しているからほんとに全くしてない人よりかはわかる。
・古い技術をしっかりしってることは意外と価値がある。
・違う分野になっても、開き直ってそれを習得たらったらそれなりに良いことがある。
・高専の教科書・ノートは可能な限り残しておいたほうがよい
いやー僕高専卒業してなかったら鬱で体壊してたかも。
本当に高専に入ってよかったなぁ。