APT(Advanced Persistent Threat)攻撃は、今や大企業だけでなく中小企業も標的になるサイバー攻撃です。
今回は、セキュリティ対策を講じていた「会社A」と、無対策だった「会社B」 が同じAPT攻撃に遭遇したときの違いを、ストーリー仕立てで解説します。
🏢 登場企業
✅ 会社A:セキュリティ重視の精密機器メーカー
- SOC(セキュリティオペレーションセンター)設置
- 多層防御(EDR、SIEM、MFA、WAF)を導入済み
- 社員へのセキュリティ教育も徹底
❌ 会社B:急成長中のITベンチャー
- セキュリティ専門部署なし
- ウイルス対策ソフトのみ導入
- セキュリティ研修未実施
🕵️♂️ APT攻撃の始まり:月曜日の朝
会社Aの場合:
社員がスピアフィッシングメールを受信。しかし不審に思いSOCに報告。
EDRが添付ファイルを検出・隔離し、SIEMにより異常を即時検知。
SOCが封じ込め対応し、被害はゼロ。
🛡️ 未遂対応で防御成功。信頼性アップ。
会社Bの場合:
社員が業務メールと信じて添付ファイルを開封。
マルウェアが侵入、バックドアが設置されるも誰も気づかず。
攻撃者は静かに内部ネットワークを探索開始。
🚨 初動の遅れで内部侵害が進行。
⏳ 数週間後:攻撃の深化
会社A:
SIEMとEDRに異常なし。定期監視でネットワーク健全を確認。
会社B:
攻撃者が権限昇格を達成し、社内の機密ファイル・ソースコードにアクセス。
顧客データ含む重要情報が外部に転送され続ける。
🔥 結末の違い
会社A:
未遂事例として社内に共有され、意識がさらに向上。
顧客からの信頼も揺るがず、事業は順調。
会社B:
1ヶ月後、外部セキュリティベンダーからの通報で発覚。
「100万人分の顧客データ流出」と報道され、株価急落・契約打ち切り多発。
最終的には他社に吸収合併される。
✅ 比較まとめ
項目 | 会社A(対策あり) | 会社B(対策なし) |
---|---|---|
初期対応 | SOCが即時検知&封じ込め | 社員がマルウェア実行 |
被害規模 | なし | 顧客情報100万人分流出 |
社会的評価 | 「しっかり守った企業」 | 「信用できない企業」 |
ビジネス影響 | 信頼維持、成長継続 | 信頼失墜、吸収合併 |
💡 この事例からの学び
- APT攻撃は防げなくても、被害を最小限に抑えることはできる。
- セキュリティ対策は「費用」ではなく「投資」。
- SOCやSIEMのような仕組みは、早期発見・迅速対応のカギ。
- 社員教育も最前線のセキュリティ対策の一つ。
🔐 最後に
APT攻撃のような高度な脅威に備えるには、「技術」と「人」の両面の対策が不可欠です。
「うちは狙われるような会社じゃないから…」ではなく、**「備えていたから助かった」**という状況を作れるよう、セキュリティ体制を見直していきましょう。