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⑥1日10分で理解するコンテナ技術入門 - Docker Composeの概要 -

Last updated at Posted at 2024-06-19

前回までで、コンテナ(docker)の基本的な使い方を説明しました。ここからは、複数コンテナの管理に使える、docker composeの使い方について説明していきたいと思います。
コード-> https://github.com/sogawa-yk/simple-knowledge-sharing-platform/tree/6-article

Docker Composeとは

Docker Composeは、複数のコンテナを使ったアプリケーションを定義して実行するためのツールです。設定ファイル(docker-compose.yaml)を使って、複数のコンテナとアプリケーションの構成を定義して、その構成に基づいて一括でコンテナをビルド・実行・停止などが行えます。

どんなアプリケーションに使える?

例えば、以前の記事で作成した、ウェブサーバ用のコンテナと、DBのコンテナを使ったアプリケーションにも使えます。以前の記事では、起動する順番に注意しながら各コンテナに対してdocker image buildコマンドと、docker container runコマンドを使いましたが、docker composeを用いると、一括でこれらの操作を行うことができます。

基本的な書き方

yamlファイルなので、インデントを使って構造化して記述します。例えば以下のような具合です。

docker-compose.yamlのサンプル
version: '3'
services:
  web:
    image: my-web-app:latest
    build: .
    ports:
      - "5000:5000"
    environment:
      - DATABASE_URL=postgres://user:password@db:5432/mydatabase
    depends_on:
      - db

  db:
    image: postgres:13
    volumes:
      - db-data:/var/lib/postgresql/data
    environment:
      - POSTGRES_USER=user
      - POSTGRES_PASSWORD=password
      - POSTGRES_DB=mydatabase

volumes:
  db-data:

docker-compose.yamlに記述する内容を、上位レイヤーから順に説明していきます。

最上位レイヤー

最上位レイヤーには、version, services, networks, volumesなどを記述します。

  • version
    composeファイルのバージョンを記述
  • services
    各サービスの定義を記述
  • networks
    カスタムネットワークの定義を記述
  • volumes
    カスタムボリュームの定義を記述
    ここからは、この最上位レイヤーの各レイヤーごとに、その中身に記述する内容を説明します。

servicesレイヤー

ここには各サービスを定義します。各サービスには任意の名前を付けることができます。docker-compose.yamlのサンプルの例では、以下の部分です。

services:
  web:         # サービス名
    # サービスの詳細設定はここに続きます
  db:          # 別のサービス名
    # サービスの詳細設定はここに続きます

サービスの詳細設定のレイヤー

各サービスの設定には、コンテナイメージ、ビルド、ポート、環境変数、依存関係などの詳細を定義します。

services:
  web:
    image: my-web-app:latest           # 使用するDockerイメージ
    build: .                           # Dockerfileがあるディレクトリ
    ports:
      - "5000:5000"                    # ポートマッピング
    environment:
      - DATABASE_URL=postgres://user:password@db:5432/mydatabase # 環境変数
    depends_on:
      - db                             # 起動順序の依存関係
    networks:
      - app-network                    # 使用するネットワーク

  db:
    image: postgres:13                 # 使用するDockerイメージ
    volumes:
      - db-data:/var/lib/postgresql/data # ボリュームマッピング
    environment:
      - POSTGRES_USER=user             # 環境変数
      - POSTGRES_PASSWORD=password
      - POSTGRES_DB=mydatabase
    networks:
      - app-network                    # 使用するネットワーク

portsで行えるポートのマッピングは、docker container runコマンド時と同様、[ホストのポート]:[コンテナのポート]の順に指定します。

また、depends_onで指定するのはdocker-compose.yaml内で指定したサービス名です。ここに指定したサービスが起動するまで、depends_onが設定されたサービスは起動しないようになります。このようにすることで、コンテナの起動順序を制御することができます。

ネットワークレイヤー

カスタムネットワークの定義を記述します。サービスの詳細設定レイヤーで、そのサービスが配置されるネットワークを指定できますが、そのネットワークはこのネットワークレイヤーで定義しておく必要があります。

networks:
  app-network:                         # ネットワーク名を指定
    driver: bridge                     # ネットワークドライバを指定
    driver_opts:                       # ドライバ固有のオプションも指定可能
      com.docker.network.bridge.name: my-custom-bridge

ネットワークドライバには以下のようなものが設定できます。

ネットワークドライバ 説明
bridge デフォルトのネットワークドライバ。ネットワーク作成時にドライバを指定しなければこのネットワークが使われる。通常、スタンドアロンコンテナが通信するために使用。
host スタンドアロンコンテナ用。コンテナとDockerホスト間のネットワーク隔離を解除し、ホスト側のネットワーク機能を直接使用。
overlay 複数のDockerデーモンを接続し、swarmサービスが相互に通信可能にする。OSレベルのルーティング設定が不要。
ipvlan IPv4とIPv6のアドレス割り当てをまとめてコントロール。レイヤー2 VLANタギングやIPvlan L3ルーティングも完全に操作可能。
macvlan コンテナにMACアドレスを割り当て、物理デバイスとして見えるようにする。物理ネットワークへの直接接続が想定される場合に最適。
none コンテナの全てのネットワーク機能を無効化。通常、カスタムネットワークドライバとの競合を避けるために使用。swarmサービスでは利用不可。
ネットワークプラグイン サードパーティ製のネットワークプラグインをインストールして利用可能。Docker Hubやサードパーティベンダーから提供。ベンダーのドキュメントを参照。

ボリュームレイヤー

ボリュームレイヤーも書き方はネットワークレイヤーと同様です。

volumes:
  db-data:                      # ボリューム名を指定
    driver: local               # ボリュームドライバを指定
    driver_opts:                # ドライバ固有のオプションを指定
      type: nfs
      o: addr=192.168.1.100,rw
      device: ":/path/to/dir"

使用例

それでは、前回作成したウェブアプリケーションのdocker-compose.yamlを書いてみます。
まず、作成したウェブアプリケーションを少し編集します。DBへの接続をハードコーディングしていましたが、その部分を環境変数から取得する形に変更します。

app.pyの一部
def init_db():
    conn = mysql.connector.connect(
        host=os.environ.get('DATABASE_HOST', 'db'),
        port='3306',
        user=os.environ.get('DATABASE_USER', 'root'),
        password=os.environ.get('DATABASE_PASSWORD', 'password'),
        database=os.environ.get('DATABASE_NAME', 'flask_app')
    )
    cursor = conn.cursor()
    cursor.execute('CREATE TABLE IF NOT EXISTS articles (id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY, title VARCHAR(255), content TEXT)')
    conn.commit()
    cursor.close()
    conn.close()

init_db()

def get_db_connection():
    conn = mysql.connector.connect(
        host=os.environ.get('DATABASE_HOST', 'db'),
        port='3306',
        user=os.environ.get('DATABASE_USER', 'root'),
        password=os.environ.get('DATABASE_PASSWORD', 'password'),
        database=os.environ.get('DATABASE_NAME', 'flask_app')
    )
    return conn

前回のウェブアプリケーション起動時に使ったdockerコマンドは、

$ docker network create flask-net
$ docker build -t simple-knowledge-sharing-platform .
$ docker run --name mysql -e MYSQL_ROOT_PASSWORD=password -e MYSQL_DATABASE=flask_app --network flask-net -d mysql:8.0
$ docker run -d -p 8080:5000 --network flask-net -v $(pwd)/uploads:/app/uploads simple-knowledge-sharing-platform

でした。これらの操作をdocker-composeに落としていきます。
まず、以下のようなひな型を作成します。

version: '3.8'

services:
  db:

  web:

networks:

volumes:

services

MySQL

MySQLのコンテナ起動コマンドは$ docker run --name mysql -e MYSQL_ROOT_PASSWORD=password -e MYSQL_DATABASE=flask_app --network flask-net -d mysql:8.0でした。これをdocker-compose.yamlに落とすと、

  db:
    image: mysql:8.0
    container_name: mysql
    environment:
      - MYSQL_ROOT_PASSWORD=password
      - MYSQL_DATABASE=flask_app
    networks:
      - flask-net
    volumes:
      - db-data:/var/lib/mysql
    restart: unless-stopped

となります。

webアプリ

webアプリ側の起動コマンドは、$ docker run -d -p 8080:5000 --network flask-net -v $(pwd)/uploads:/app/uploads simple-knowledge-sharing-platformでした。これをdocker-compose.yamlに落とすと、

  web:
    build: .
    container_name: web
    ports:
      - "8080:5000"
    networks:
      - flask-net
    volumes:
      - ./uploads:/app/uploads
    depends_on:
      - db
    environment:
      - DATABASE_HOST=db
      - DATABASE_USER=root
      - DATABASE_PASSWORD=password
      - DATABASE_NAME=flask_app
    restart: unless-stopped

となります。environmentDATABASE_HOSTには、docker-compose.yaml内で定義しているサービス名を指定します。

networks

ネットワーク作成時のコマンドは、$ docker network create flask-netでした。これをdocker-compose.yamlに落とすと、

networks:
  flask-net:
    driver: bridge

となります。

volumes

アップロードされた画像ファイルを保存するために、ボリュームはウェブ側のみ用意しています。以下のように記述します。

volumes:
  web-data:
    driver: local

全体

ここまで加えた変更をみると、以下のようなdocker-compose.yamlになります。

version: '3.8'

services:
  db:
    image: mysql:8.0
    container_name: mysql
    environment:
      - MYSQL_ROOT_PASSWORD=password
      - MYSQL_DATABASE=flask_app
    networks:
      - flask-net
    restart: unless-stopped

  web:
    build: .
    container_name: web
    ports:
      - "8080:5000"
    networks:
      - flask-net
    volumes:
      - web-data:/app/uploads
    depends_on:
      - db
    environment:
      - DATABASE_HOST=db
      - DATABASE_USER=root
      - DATABASE_PASSWORD=password
      - DATABASE_NAME=flask_app
    restart: unless-stopped

networks:
  flask-net:
    driver: bridge

volumes:
  web-data:
    driver: local

docker-compose.yamlからサービスを起動

docker-compose.yamlがあるディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行します。

$ docker compose up -d --build #docker composeを使っている場合
$ podman-compose up -d --build #podmanを使っている場合

サービスを停止

$ docker compose down # docker composeを使っている場合
$ podman-compose down # podman-composeを使っている場合

まとめ

基本的なdocker compose (podman-compose)の使い方を何となく理解できたかと思います。次回は、ボリュームを使ったデータ永続化について、もう少し深掘りしていきます。

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