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スパムやフィッシングメールなどが送りつけられてきて、嫌な思いをしたことがある人は少なくないでしょう。メールアドレスは個人情報の一つであり、おいそれと公開したくはないはずです。
それもあって、Appleが2019年にSign In With Appleを発表した際、メールアドレスを隠す(匿名化する)仕組みを提供しました。その流れは徐々に広がっているようなので、まとめてみました。
なお、ここで挙げているのは捨てアドレスを提供するものではなく、本来のメールアドレスを隠すものです。
Gmailのエイリアスとの違い
Gmailなどでは +aaa
でエイリアスアカウントを作成できます。ただ、あのエイリアスアカウントでは本来のアカウントがすぐに分かってしまいます。流出元を分からないようにする場合は、 +aaa
を消せば良いだけです。
Sign In With Apple
Sign In With Appleで認証する際に、元のメールアドレス(Appleに登録しているもの)を隠して認証を行います。メールを非公開を選択すると、各サービスには icloud.com ドメインのアドレスが提供されます。生成されたアカウントはApple IDと紐付いており、無効化すればそのアドレスも使えなくなります。
アカウント情報が漏洩したり、スパムメールなどが届いた際には、そのエイリアスを消せば解決できるでしょう。
iCloud.comで「メールを非公開」のアドレスを作成および編集する - Apple サポート (日本)
SimpleLogin
オープンソースの匿名メールアドレスサービスです。受信はもちろん、送信もこのエイリアスドメインから行えます。サービス毎に異なるエイリアスアカウントを作成することで、スパムやフィッシングメールがどこから送られてきたかも判別できます。
ブラウザの機能拡張やモバイルアプリもあるので、エイリアスの作成や管理が素早く簡単にできます。カスタムドメインも利用できたり、セルフホスティングも可能です。プレミアムプランではPGP暗号化もサポートしています。
APIも公開されているので、システム連携もできそうです。
Masked Email
1PasswordとFastmailというサービスの連携によって実現されています。1Password上から、簡単にアドレスを作成できます。パスワード管理の中で、メールアドレスが作れるのは便利かも知れません。
なお、Fastmail自体は有料サービスなので、1Passwordとは別途料金がかかります。
Bunsin
bunsin.ioのメールアドレスを作成し、ラベルで管理できます。各アドレスごとに転送するか否か設定できます。基本モバイルアプリで利用するようですが、ブラウザ機能拡張も用意されています。
2024年4月現在、すべての機能が無料だそうです。
Firefox Relay
Firefoxの開発元であるMozillaが提供するサービスです。エイリアスメールアドレスの作成はもちろん、トラッキングも除去してくれます。 yourdomain.mozmail.com
のようなドメインでアドレスが作れるようです。
将来的には、広告メールのブロックや匿名でのメール返信機能などが追加される予定です。
SafetyAnswer
SafetyAnswerが面白いのは、メールの送信側・受信側の双方がメールアドレスを秘匿化できる点です。これは幾つか利点があって、たとえば社員による顧客のメールアドレス持ち出しが防止できます。秘匿化されているので、すべて刷新するのも簡単そうです。
また、PTAなどでのメーリングリスト運用時にも良さそうです。メールアドレスがバレてしまって、裏でやり取りするなんて事態を避けられるでしょう。後は、匿名での相談・通報にも使えるとのことです。
まとめ
メールアドレスは atsushi@example.jp
のように名前が表に出やすいものです。またはソーシャルアカウントのIDと似たものになっていたりすることもあります。そのため、スパムメールやフィッシングメールの被害に遭いやすいです。
パスワードが流出した後、パスワードは固定にしてメールアドレスを変更してアタックする「リバースブルートフォース攻撃」も有名です。そうした場合にも、メールアドレスの隠蔽化は効果があるでしょう。
匿名化にも幾つか種類がありますので、自分に合ったものを選んでみてください。