どうも、GOKUSANです。
先日、とあるお客様でNetAppをカスケード接続して、最終的にデータをFSx for NetApp ONTAPへ持っていくという作業をやりました。
NetApp全くの未経験の私には中々にきつかったので、注意点などをメモとして残したいと思います。
NetAppには独自の用語が多い
ファイルベースストレージの代表格ともいえるNetAppは、ファイルサーバとしての利用はもちろん、仮想化基盤の共有ストレージとしても多く用いられます。
私もVMware vSphereの共有ストレージとしてNetAppを触る機会は多かったのですが、どうもNetAppは専門用語が多く、どうも苦手意識が強くありました。
例えば…
アグリゲート
SVM
LIF
などがそうですね。
そんな中で、ファイルサーバとして利用されているNetAppのデータをFSx for NetApp ONTAP(以降、FSxN)へ移行し、オンプレミスのNetAppを廃止するという作業をご依頼いただきました。
FSxNへデータを持っていくために
「SnapMirror」を使えばいいかなぁ、という点はNetAppを扱ったことがある方なら、考えるのではないでしょうか。
実際、私もそう考えていたのですが、これが中々にハードルが高かったです。
ライセンスについて
SnapMirrorによる移行には、移行元と移行先両方に「SnapMirror」のライセンスが必要です。
FSxNには、最初からSnapMirrorのライセンスが含まれています。
今回の構成
オンプレミスではすでに2台のNetAppが稼働しており、SnapMirrorが運用されています。
オンプレミスのNetAppに格納されているデータFSxNにもっていかないといけません。
まず基本的な移行方針としてカスケード接続でFSxNへSnapMirrorをすることを思いつきました。
理由としては、絵で言うと**真ん中にあるNetApp機器は現行SnapMirrorの複製先…言うなれば「バックアップストレージ」**だったからです。
なので、バックアップストレージとFSxNの間で細々とSnapMirrorを流しておけばお客様の業務に影響がでないかなーと考えました。
さて、FSxNのONTAPバージョンは2023年9月現在 9.12.1です。(絵は、2023年6月時点のものなので9.11です)
対して、今回の移行対象は 9.3。
幸いなことにメジャーバージョンは一緒でしたが、マイナーバージョンに結構な乖離があります。
この状態でSnapMirrorはできるのでしょうか?
結論から言うとできません。
バージョンアップが必要なんだよ
NetAppのマニュアルにも載っていますが、SnapMirrorをやるにはONTAPの互換性が取れてなきゃダメです。
マニュアルによると9.3と互換性があるのは「9.8」ぐらいまでですね。
しかしながら、FSxNは、AWSが提供するサービスですからバージョンなんて選べません。
よって、オンプレミス側のNetAppをバージョンアップしないといけません。
ここで注意すべきは、
① オンプレミス側の機器がどこまでONTAPバージョンを上げられるか?
② すでにオンプレミスでSnapMirrorが構成されているが、両方の機器をバージョンアップしないといけないか?
の2点です。
バージョンアップによる影響
ONTAPはマイナーバージョン内でも色々と手が加えられており、元々使えていたものが後のバージョンで使えなくなっていることもあります。
今回のバージョンアップいうと、「SnapMirror」の形式がそれにあたります。
上記、①については「9.7」まで上げられるようでした。
では、②についてはどうでしょうか?
DP形式とXDP形式
SnapMirrorの形式として存在するこれですが、結論から言うと今のONTAPバージョンではDP形式は使えません。
これはレガシーなレプリケーション形式でして、現在ではXDP形式と呼ばれるものに置き換わっています。
ONTAPのバージョンによっては、SnapMirrorをコマンドで作成する際のデフォルトの形式が「DP形式」のものと「XDP形式」があります。
今回のオンプレミス側ONTAPのバージョン9.3は過渡期でして、運悪く「DP形式」でSnapMirrorが構成されていました。
さて、「DP形式」だと何が運が悪いのかというと、
DP形式は、SnapMirror構成時の互換性が超狭いのです。
今回のオンプレミスの機器は、HWの制限上「9.7」までしONTAPバージョンを上げられません。
FSxNとSnapMirrorをするために、9.7までバージョンアップを行う・・・これ自体はOKですが、
仮に、2台のNetAppの内、片側だけをバージョンアップすると何が起きるのでしょうか?
はい。
この絵のように、DP形式のままではオンプレミス機器間でのSnapMirrorが構成できなくなってしまいます。
これは、DP形式利用時におけるSnapMirror互換性が超狭く、9.3だと9.5までしかSnapMirrorが出来ません。
こ、こいつは由々しき事態だぜっ・・・!
結論からいうと、そんなことはありません。
要は、DP形式が悪いならDP形式なんて辞めちまえばいいのです。
なお、構成済みのSnapMirrorが何の形式を使っているかは、
snapmirror show
をONTAP上から実行すれば一発でわかります。
↑Tyep列の記載がそれですね。
少し流れをまとめますと
FSxNへSnapMirrorをするために、ONTAPのバージョン互換性が取れていない
↓
互換性があるバージョンに上げるとオンプレミスのONTAP2台ともバージョンアップしないといけない!?
↓
バージョンアップ2台はきついので、片側だけがいいけど片側だけ上げるとオンプレミスのSnapMirrorがDP形式なのでできなくなる
↓
それならDP形式をやめてXDP形式に変えよう!
という感じですね。
XDP形式への変換については、次回にまた書こうと思います。
今日のまとめ
・FSxNへのデータ移行には、ONTAP同士ならSnapMirrorを検討しよう!
・SnapMirrorに移行元と移行先両方にライセンスがいるよ!
・SnapMirrorには互換性がある!ONTAPバージョンに注意だ!
・SnapMirrorには形式がある!バージョンアップによる影響は要確認!
ではでは。