はじめに
2019年4月より、労働条件通知書が電子メール等で交付可能となります。(なりました)
参考(厚生労働省令第百十二号)
労働条件通知書の内容については割愛して、電子メールでの交付に当たり気をつけることを記載していきます。
LINEやFacebook等のSNSでの交付も可能となりますが、今回は特に触れません。
内容に不足/賛否があるとは思いますが少しでも誰かの助けになれば幸いです。
電子メールを選択する上での注意点
条文に違反していないか
条文ではファクシミリか電気通信いずれかの方法によることを希望した場合のみその方法を用いた交付が可能と記述されている。つまり、事業者が一方的に電子メールでの交付を決めてはならないということ。
「労働者が希望した」もしくは「希望していない」ことを後から確認できるようにしておき、条文に違反していないことを証明できるようにしておきたい。
ちなみに、労働条件通知書の保存期間は労働基準法第109条と労働基準法施行規則第56条より「雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日 」から最短で3年。希望の賛否も同様に保存しておきたい。
電子メールが到達しない場合の交付書の発行ルートを準備する
電子メールはISPのスパムフィルター、DNSBLのブラックリスト判定、受信者の設定したスパムフィルターを通過しながら送信される。しかし、これらのどこかに引っかかってしまうと受信者にメールが到達しなくなる。これは事業者と開発者の努力によって軽減が可能だが、すべてのメールを到達させることはほぼ不可能。
そのため、電子メールが届かなかった労働者を考慮し、その人に対しては電子メール以外で交付を行う。
Webビーコンなどでメールの開封率を監視すれば受信した労働者の判別が可能。
一定期間内に開封されなかったメールの受信者にアナウンスを行い、それでも受信できていないようであれば電子メール以外の方法で交付する。
信頼度(レピュテーション)を保つメール送信を行う
メールにはレピュテーションと呼ばれる送信元の信頼度を表す指標がある。
IPレピュテーション … 送信元IPアドレスに対する信頼度
ドメインレピュテーション … 送信元ドメインに対する信頼度
レピュテーションが高いとメールは到達しやすくなり、低いとメールが迷惑メール扱いされ到達しにくくなる。
先述したスパムフィルターとブラックリスト判定はレピュテーションを用いている。
レピュテーションを下げることの例
- スパムトラップや存在しないメールアドレスにメールを送信する。
- 送信したメールが迷惑メールとして報告される。
- DNSBLにIPアドレス、ドメインが登録される。
- etc...
逆に、レピュテーションを下げずに多くのメール送信に成功することができればレピュテーションを高めることができる。
前日の送信数0件、その翌日送信数1万件といった極端な送信を行うとスパムメール扱いされるため、
一日に何千通も送信する大企業の場合はIPアドレスとドメインのWarmupを行う。
(IP/Domain Warmupなどと呼ばれる)
あとがき
以上です。
SNSが広まったことによりメールは衰退しつつありますが、ビジネスではまだまだ使用箇所が多い印象です。メールについてもっと詳しく知りたいという方は、メール配信サービスSendGridさんのブログを見るといいかもしれません。視覚的もわかりやすいのでおすすめ。