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Ryzen 5 3400GとDeskMini A300で小型静音PCをつくる

Last updated at Posted at 2019-12-15

はじめに

Qiita初投稿ですがプログラミングの話ではありません(笑)
親父から「実家のPCが壊れたから早めに何とかしてくれ」ということで、急遽WindowsデスクトップPCを用意することになりました。
普通に売ってるそこそこのPCを用意してもつまらないし、壊れたPCが復活する可能性も考慮して(後述の余談も参照)、他の用途にも活用可能な省スペースの小型静音PCを自作したので書いておきます。(数年ぶりの自作です)
完成品はこんなかんじ↓
IMG_3042.jpeg

今回のPCの良いところ

  • 静音ファン1個なので、アイドル状態だと動いているか心配になるくらい静か
  • 静音&コンパクトなのでテレビ横PCにしても良し、目立たないところに置いとく自宅サーバにしても良し
  • 4コア/8スレッドのそこそこ高速なCPUで、グラフィック性能も内蔵GPUのVega11のおかげでそこそこ良い
  • M.2 NVMeのSSDでディスクアクセスが超高速
  • Wifi(802.11ac 2.4GHz/5GHz、433Mbps)& Bluetooth4.2を内蔵
  • USB-Cポートがある
  • 別途2.5インチの大容量SSD or HDDを増設すればファイルサーバにもなる(M.2スロットの空きも有り)
  • 別途VESAマウントキットを使えば、ディスプレイの裏側に設置できる

パーツ一覧

以下のパーツをAmazonもしくはドスパラWebから購入しました。
OSより下の行のパーツは必須では無いですし、予算や目的などに応じて変更可能です。(無駄にこだわるところが自作の楽しさでもあります)

種類 パーツ 税込価格
ベアボーン ASRock DeskMini A300/B/BB/BOX/JP 17,675円
CPU AMD Ryzen 5 3400G BOX 17,899円
メモリ Crucial PC4-21300(DDR4-2666) 8GB SODIMM CT8G4SFS8266 (8GB×2) 7,780円
SSD(NVMe) SAMSUNG 970EVO Plus MZ-V7S500B/IT(M.2 2280 500GB) 14,990円
OS MS Windows 10 Pro 日本語USB(製品版) 23,300円
Wifiキット ASRock WiFi kit (intel 3168) for DeskMini 2,970円
USB2.0増設キット ASRock USB2.0ポート追加ケーブル DESKMINI 2XUSB2.0 CABLE 2,083円
CPUクーラー Noctua ロープロファイル AMD Ryzen用 CPUクーラー 37mm NH-L9a-AM4 6,135円
グリス Thermal Grizzly オーバークロック用特別設計高性能熱伝導グリス Kryonaut 1g 724円
SSDヒートシンク M.2 2280 SSDクーラーセット 899円
フィルター 120㎜防塵マグネットグリルメッシュファンフィルター5枚入り 999円
インチネジ アイネックス ハンドルネジインチ黒 PB-031BK 263円
※価格は2019年11月下旬のもので、全部足すと9万5千円くらいですが、ブラックフライデーセールやキャッシュレス還元などのおかげで、実質8万5千円くらいでした。

以下はパーツの写真です。
※CPUクーラー、SSDヒートシンクは撮り忘れました。(写真は後で出てきます)
IMG_2904.jpeg

ほかに必要なもの

  • ドライバーセット、精密ドライバー(プラス)
  • USBキーボード、USBマウス
  • ディスプレイ、HDMIケーブル
  • BIOSダウンロード用のPC
  • USBメモリ(BIOS更新用)

パーツの組み立て

ここから、今回の組み立てについてのポイントと、各パーツの特徴も説明していきます。
※自作初心者の方は、自作の基本についてはググったりしてください。

A300のケースを開ける

このPCのベースとなるDeskMini A300はベアボーンキットで、ケース、マザーボード、電源のセットです。
ケースのネジをプラスドライバーで外し、マザーボードの基盤を引き出します。
IMG_2906.jpeg
ケーブルが繋がっているので、マザーボード側のコネクタを外します。(後で挿し直すので場所は覚えておきましょう)
コンパクトな基盤ですが、最新の機能が詰め込んであります。
IMG_2910.jpeg

CPUを装着する

今回使用するCPUは「AMD Ryzen 5 3400G」です。
DeskMini A300に対応するCPUは、GPUを内蔵しているAM4ソケット対応APUである必要があり、TDPが65Wまでのものに限られます。
現時点で一番高性能なものが「AMD Ryzen 5 3400G」で、4コア8スレッド、基本3.7GHz/ブースト4.2GHz、GPUはRadeonRX Vega11を搭載しています。インテルのCPUと比べてGPU性能が良いかんじです。
ヒートスプレッダとコアの間がグリスではなくソルダリング(はんだ付け)なのが素敵です。
IMG_2911.jpeg
これからCPUをソケットに乗せますが、向きに注意です。CPUの4隅の1つに金色の三角マークがあるので、それをソケット側ののマークと合わせます。(下の写真のような向きになればOK)
CPUソケットのレバーを横にずらして上げてロックを解除したら、ピンを曲げないように注意してCPUを乗せます。
ピンがしっかりと入っていることを確認したら、レバーを元に戻してCPUをロックします。
IMG_2915.jpeg

メモリを装着する

メモリはノートPCなどに使われるSODIMM DDR4-2666の8GBが2枚で16GBです。
オーバークロックメモリも使えますが、安定性重視とします。2枚挿しにすることでデュアルチャネル動作します。
16GBも不要であれば8GBでもよいですが、一部はGPU用のメモリとして確保されてしまうので注意しましょう。今回の場合はデフォルトで2GBがGPU用に割り当てられたので、実質14GBとなります。
向きを確認して2枚装着します。
IMG_2940.jpeg

CPUクーラーのブラケットとマザーボードを外す

ドライバーでCPUクーラーのブラケット(写真手前)を外し、マザーボードもケースから外します。
マザーボードの裏にあるバックプレートも外します。
IMG_2967.jpeg

CPUにグリスを塗る

CPUクーラーとCPUの間には、熱を伝えやすくするためにグリスを塗ります。
今回は、熱伝導率が高いKryonautを使います。(CPUクーラーに付いてるグリスでもOKですけど、別途買っちゃいます)
IMG_2969.jpeg
グリスの塗り方には流派があり、真ん中に纏めて乗せるやり方や、*のような形に出すやり方などもありますが、自分の場合は薄く全体に塗ることが多いです。ヒートシンク全体に塗りたいのと、グリスが周りにはみ出し過ぎるのが嫌だからです。
圧着時にグリスがどうせ伸びるので、写真のように周りはちょっと塗らないくらいにしておきます。ヘラを使って可能な限り薄く塗るのがポイントですが、結果的には圧着時にグリスが結構はみ出してしまったので、もうちょっと少なく塗ればよかったです。(今回のグリスは1gありますが、0.6gくらい使うのがよかったかも)
IMG_2971.jpeg

CPUクーラーを装着する

CPUクーラーはちょっと値段が高いですが、静音タイプで有名なNoctua NH-L9a-AM4を使います。DeskMini A300に付いてくるCPUクーラーも試して比べましたが、静音性が全然違います。Ryzen 5 3400Gにも結構評判のいいCPUクーラーのWraith Spireが付いてきますが、大きすぎてDeskMini A300のケースには入りません。CPUクーラーが2個余ることになるので、ちょっと勿体ないですが。
(Ryzen 5 2400GのWraith Spireだと、ファンのカバーを外せば入るという情報もありましたが、3400Gのものはダメでした)
IMG_2961.jpeg
NH-L9a-AM4を箱から出したら、ひっくり返して置きます。(逆さまにして装着します)
IMG_2972.jpeg
CPUクーラーの上に、逆さまにしたマザーボードをネジの穴が合うように置きます。グリスが変なところに付かないように注意しながら、一発で位置を決めて置きましょう。
その上にCPUクーラーのバックプレートを置き、グリスが伸びて圧着するように、きつくネジを締めます。
IMG_2974.jpeg
マザーボードをケースに再度固定し、ファンの電源ケーブルをマザーボードに挿します。
(ケース裏側のコネクタ用プレートが元通りになるように、うまくはめましょう)
IMG_2976.jpeg

BIOS更新

組み立ての途中ですが、CPU・メモリの動作確認も兼ねて、BIOSを最新バージョンに更新します。

最新BIOSダウンロード

以下のサイトから、最新BIOS(現在は3.60)をダウンロードします。
https://www.asrock.com/nettop/AMD/DeskMini%20A300%20Series/index.jp.asp#BIOS
ダウンロードしたファイル「A3MSTX_3.60」をUSBメモリにコピーします。

USBメモリからのBIOS更新

最初に外したケースのケーブルをマザーボードに挿し、ケースに戻します。
本体に電源ケーブル、USBキーボード・マウスを繋ぎ、BIOSファイルを入れたUSBメモリを挿し、HDMIケーブルでディスプレイと繋ぎます。
本体の電源を入れたら、キーボードのDeleteキーを連打してBIOS(UEFI)画面を表示します。
写真のようにUEFI Versionが「A300M-STX P3.40」となっている場合、マザーボードのBIOSのバージョンは「3.40」ということです。Ryzen 5 3400Gに対応しているBIOSは3.50以降なので、BIOSを更新する必要があります。
(未対応のCPUだとBIOSが起動しないことも多いですが、今回の組み合わせの場合はBIOSも起動してBIOS更新も可能なようです。よかったよかった)
IMG_2943.jpeg
「Tool」→「Instant Flash」→BIOSファイルを選択→「Update」をクリック→確認ダイアログを「Yes」とします。
更新中は絶対に電源を切らずに更新が終わるのを待ち、「Programming success, press Enter to reboot system」が表示されれば完了です。
IMG_2952.jpeg
「OK」をクリックすると再起動するので、またDeleteキーを連打してBIOS画面を表示します。
UEFI Versionが「A300M-STX P3.60」となっていれば、無事にBIOS更新が完了です。
電源ボタンを長押しして電源をオフにします。
IMG_2955.jpeg

パーツの組み立て(続き)

USB2.0を増設する

USBが足りなくなったら不安なので、USB2.0増設キットを使用して増設しておきます。
まずは、ケースにあるUSBコネクタ用の穴をマイナスドライバーなどで開けます。
IMG_2997.jpeg
ネジを締めればUSB2.0コネクタを装着できます。
IMG_2999.jpeg
ケース内は以下のようにケーブルを配線します。
(このケーブルは、最後にケースを閉める時がちょっと大変)
IMG_3019.jpeg
ケーブルのコネクタを挿すのは後でやります。

無線LAN & Bluetoothを装着する

Wifi(802.11ac 2.4GHz/5GHz、433Mbps)& Bluetooth4.2のモジュールとアンテナを装着します。
ちょっと細かい作業です。
IMG_3003.jpeg
ケースにあるアンテナ用の穴を開けます。
IMG_3005.jpeg
アンテナのケーブルをWifiモジュールに付けます。小さくてイライラしますが、うまく押せばはまります。
IMG_3012.jpeg
Wifi用スロットにモジュールを挿してネジで止めます。
IMG_3013.jpeg
アンテナケーブルをCPUクーラーの下に通して、ケースの穴に止めます。
IMG_3015.jpeg

SSDを装着する

SSDはSAMSUNG 970EVO Plus 500GBです。NVMe/PCIe Gen.3 x4の高速タイプで、シーケンシャルRead 3500MB/s、Write 3200MB/sです。
普通の人はこんな高速ディスクじゃなくてもSATAのSSDでよいかもしれませんが、一度経験したら癖になる速さです。
ちなみに、WD BlackはDeskMini A300だと認識しないという情報もあったので、NVMeは注意が必要ですね。2.5インチのSSDも装着可能なので、SATAなら相性問題も気にしなくてよさそうですが。
IMG_2986.jpeg
高速なSSDは発熱も結構あるので、念のためヒートシンクを付けておきます。
今回使用したのは上下に挟み込むタイプで、ネジで固定します。
IMG_2993.jpeg
M.2スロットに挿してネジで止めます。CPUクーラーとの干渉は大丈夫そうです。
IMG_3017.jpeg
ちなみにマザーボードの裏面にもM.2スロットがあります。ヒートシンクを付けるのは厳しそうですけど。

ケースを閉める

USB2.0のケーブルなどが邪魔になり、ケースを閉めるのがちょっと大変です。
まずは、増設USB2.0のケーブルと、最初にケースから外したケーブルをマザーボードに挿します。
IMG_3018.jpeg
ファンの上にケーブルが被ってしまうので、ケースの穴からドライバーを使ってケーブルを動かして、いいかんじに収納します。
IMG_3026.jpeg
うまくケースに入ったら、ケース用のインチネジを使って止め、無線LANのアンテナを付けます。
マグネット式のファンフィルターも付けて、ホコリ対策もします。

組み立て完成

完成PCとMacBookPro 13インチを比べるとこれくらいの大きさです。
IMG_3033.jpeg

Windowsインストール

OSは、Windows10 Proの製品版を使用します。自分の場合はHomeではなくPro一択です。
DSP版の方が安いですが、このPCは今後どう使われるかわからないので、ちょっと高いですが他のPCでも使える製品版にしました。
Windowsの入ったUSBを挿してPCを起動すると、写真のような画面が出るはずです。
(組み立てに問題があると、別の画面が表示される可能性があります)
64bitを選択してインストールを進めます。
IMG_3043.jpeg
無線LANの設定などを行い、Windowsのデスクトップ画面が表示されればひとまず安心です。
Windowsの標準ドライバで、無線LANやUSBなど基本的に問題なく動作するようです。
IMG_3065.jpeg
本当はVGAドライバなどインストールして、各種ベンチマークやったり、ワットチェッカーでの消費電力チェックなどしたいところですが、実家でWordやExcelを早く使いたいということで、今回はここまでとします。

まとめ

今回は写真を撮ったりメモを取りながらやりましたが、少し自作の経験がある人なら、問題が起きなければ1時間くらいで作れそうです。
PCゲームとか機械学習をガッツリやるとかで無ければ、GPU内蔵Ryzen搭載の小型静音PCで大体OKな気がします。スペック落として安くしてUbuntuサーバにしてもよいかも。
自分も最近はノートPCをメインで使用していますが、自作は作る楽しみもあり、自分好みにカスタマイズする自己満足も魅力ですね。

余談(壊れたPCは・・・)

実家からPCが壊れたと電話が掛かってきた時に、FaceTimeで画面を見ながら確認したら、USBが全滅していました。そのため、マウス使えない、USBメモリ使えない、無線LAN使えない、プリンタ使えない、と絶望的な症状でした。
親父は、壊れたPCのデスクトップにあるExcelを明後日までに印刷したいとのこと。かろうじてPS/2キーボードが使えたので、有線LANに繋ぎ、Excelファイルをクラウドに立ち上げたサイトにアップロードするようにFaceTimeでキーボード操作を指示しました。(設定の問題でメールも使えず)
入手したファイルをこちらで印刷して、レターパックで実家に送ってとりあえずはOKでした。
またすぐにExcelを使いたいと言うので、今回のPCを自宅で急いで作り、持参して実家に帰省しました。改めて壊れたWindowsPCを見るとやはりUSBが全滅していましたが、デバイスマネージャでUSBに警告が出ていたので、一旦無効にして再度有効にすると、USBが復活しました(笑)
来年3月まではExcelでよく資料を作るらしく、また壊れたら困るということで、せっかく作ったPCは予備としてしばらく実家に置いておくことになりました。
4月になったら、今回のPCを実家から我が家に持ってきて、何かに使おうと思います。

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