この記事は何
以前Qiitaで以下のようなスクラムに関しての記事を投稿しました。
これらの記事では「チームとしてゴールを達成するため」のTipsについて紹介してきました。
しかし、そもそもスプリントゴールがなんなのかを理解していないと、これらのTipsを実践することは難しいです。
この記事ではスプリントゴールとはどういうもので、どのように設定すると良いかを説明します。
スプリントゴールのよくある勘違い
スクラムを実施しているチームの中で、たまに「ゴールは特に設定していない」という方がいらっしゃいます。
ゴールを設定しない理由は以下のとおりです。
- このスプリントでやりたいことはスプリントバックログとして残してあるからゴールを設定する必要がない
- 結局スプリントゴールを設定しても、やることが「スプリントバックログを空にする」になってしまうから
これらの主張は一見正しいように見えますが、スプリントゴールとは何か、スクラムとは何かの理解を深めていくとこれらの主張には問題があることがわかります。
スクラムガイドには、スクラムは以下のように定義されています。
スクラムとは、複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、⼈々、チーム、組織
が価値を⽣み出すための軽量級フレームワークである。
そしてスクラムのコンセプトは以下の通りです。
スクラムは「経験主義」と「リーン思考」に基づいている。経験主義では、知識は経験から⽣
まれ、意思決定は観察に基づく。リーン思考では、ムダを省き、本質に集中する。
まとめてしまうと、スクラムとは「何が起こってもうまい行動ができるチームを作るためのフレームワーク」だと解釈しています。
そしてこの「うまい行動」をする上での指針になるのが「スプリントゴール」です。
スプリントゴールとは何か
前項でスプリントゴールとは「何が起こってもうまい行動ができるチーム」を作る上で必要になる「指針」であるという紹介をしました。具体的にこれがどういうことかについて説明します。
スクラムガイドではスプリントゴールは以下のように定義されています。
スプリントゴールはスプリントの唯⼀の⽬的である。スプリントゴールは開発者が確約するも
のだが、スプリントゴールを達成するために必要となる作業に対しては柔軟性をもたらす。ス
プリントゴールはまた、⼀貫性と集中を⽣み出し、スクラムチームに⼀致団結した作業を促す
ものでもある。
つまりスプリントゴールとは「スプリント中何が起こっても達成したい状態」を定義することです。
スプリントバックログに載っているタスクは、スプリントゴールを達成するために着手するものではあります。
ただ状況が変わればゴールを達成するために行うアクションも変わることはいくらでもあります。
そのようなときはバックログに載せているタスクを入れ替えたり、減らしたり、追加したりすることをスクラムでは推奨しています。
スプリントゴールを設定せずにスプリントバックログを空にすることを目的にしてしまうと、スプリントの目的や優先順位が曖昧になり、チームの効率や成果を損ねる可能性があります。
そして何よりチームのメンバーそれぞれが着手しているタスクの目的を失いやすくなり、チームとしての自走力が低下してしまうことになります。
このような状態になると、いわゆるプロダクトオーナーやリーダーが不在だと自分たちだけでは何も判断して動くことができないチームになってしまうリスクがあります。
スプリントゴールに設定するもの
ここまででスプリントゴールについて説明してきました。
ゴールに設定するものは、スプリント中に実現したい機能や価値、問題の解決など、具体的な成果物や目標を含めることが重要です。
具体的に設定するもののイメージを紹介します。
- 〇〇が〇〇を使うことができる状態になっている
- 〇〇が正式リリースできる状態になっている
- 次のスプリントから〇〇が着手できる状態になっている
このような成果をスプリントゴールに設定することで、チームの目的はゴールを達成することになり、スプリント中にバックログを完全に消化することだけでなく、ゴールを達成するために必要なアクションを柔軟に行う必要がある前提が出来上がります。
まとめ
今回はスクラムにおける「スプリントゴール」について解説してみました。
チームとして達成したいと思えるゴールを設定することができれば、以下の記事で紹介したような取り組みもより価値のあるものになると思います。