これは何
以前Twitterで「プロダクトマネジメントを一言で表すなら?」という質問を見かけました。
この問いへの回答をこの記事でしていきたいと思っています。
プロダクトマネジメントを一言で表すなら
結論から書くと、僕は「売れるものを作ること」と答えるかもしれません。
これだけだと言葉遊びじゃないか、と叱られてしまいそうなのでもう少し詳しく書いていきます。
マーケティングって何?
プロダクトマネジメントについて語る前に、マーケティングについて語らせてください。
マーケティングは、Wikipediaには以下のように定義されています。
マーケティング(英: marketing)は、価値あるプロダクトを提供するための活動・仕組みである。すなわち「顧客・クライアント・パートナー・社会にとって価値あるものを、創り伝え届け交換するための、様々な活動・プロセス・組織」がマーケティングと呼ばれる。
僕はマーケティングとは「ものを売れるようにする」ための学問分野であるという表現が一番しっくりきます。
ものを売れるようにするためには、非常にさまざまなことを考えなければなりません。
マーケティングにおける「売れるようにする」という言葉の意味がどう変わってきたのかを書いていきます。
マーケティングの歴史
マーケティングでの「売れるようにする」考え方は、時代によって変化しています。
これは時代によって市場や社会が変わり続けており、それによって売れる製品も変わってきているためです。
各時代のマーケティングについては、フィリップ・コトラーさんの概念が有名です。
まずはそれらについて解説します。
マーケティング1.0 製品志向
マーケティングの初期の概念は「売れるものををいかに売るか」という考え方です。
これは1900年代の、いろいろなものに対して供給より需要が高かった時代、つまり「ものは売れる前提」の時代の考え方です。
マーケティング1.0で有名なフレームワークは「4P分析」です。
4P分析とは、「Product」「Price」「Place」「Promotion」の四つを考え、ものを売れるようにするための分析方法です。
そして、マーケティング1.0では、基本的に「Product」「Price」を変数として考えていきます。
つまり「売れるもの」を「安くうる」を目指すのがマーケティング1.0の時代です。
マーケティング2.0 顧客志向
マーケティング1.0の次に現れたマーケティング2.0は「いかに売れるものを作るか」という考え方です。
これはマーケティング1.0の需要が供給を上回っていた時代から、製品のコモディティ化、低価格化が進み、値段だけでは差がつけられなくなった時代、つまり「他の製品と同じものは売れない」時代の考え方です。
マーケティング2.0ではSTP分析という考え方が有名です。
STP分析は「Segmentation」「Targeting」「Positioning」を考える分析方法です。
この時代では製品を売れるセグメントの整理、自分達がものを売りたいターゲットの設定、設定したターゲットに売れる独自価値の設定を行う分析方法です。これを用いることで、「売れるものを作る」ことを目指します。
マーケティング3.0 価値志向
マーケティング2.0以降は基本的に「いかに売れるものを作るか」という部分は変わりません。
しかしそれぞれ「売れるものは何か」の定義が変わります。
マーケティング2.0における売れるものは「便利なもの」です。他の製品よりもターゲットにとって便利なものを作ることができればマーケティング2.0の時代までは製品が売れるようになります。
マーケティング3.0における売れるものは「好感・共感・信頼ができるもの」です。
マーケティング2.0の時代も加速していくと、製品はそれぞれのセグメントの中でもコモディティ化していきます。この次に他の製品との差別化をするためには製品価値以外のところで差をつける必要が出てきます。
それは「社会的責任」です。
例えば全く同じ価格、機能の製品があったときに、片方は購入によって環境問題の改善につながり、もう片方は環境問題を悪化させるとしたら、前者を買うのではないでしょうか?これがマーケティング3.0の世界で考えていかなければならないことです。
マーケティング3.0では3iというフレームワークが有名です。
3iは「Bland identity」「Bland image」「Bland integurity」を考えることで、会社、製品の価値を評価する考え方です。
Bland identityは「ブランドの定義」です。自分達のブランドの定義を行い、発信と実現を行っていきます。
Bland imageは「ブランドの印象」です。自分達が定義したブランドを外部に発信していくことで、製品、会社の好感を大きくしていきます。
Bland integurityは「ブランドの実現」です。定義したブランドに沿った製品販売、活動を通して、信頼を勝ち取っていきます。
マーケティング4.0 自己実現
マーケティング4.0での売れるものの定義は「自己実現を行えるもの」です。
マーケティング4.0はマーケティング3.0からもう一歩進み、「自分もブランドの体現者となれる」ものが売れるものになっていきます。
それはSNSの普及により、多くの人が発信者になることができる時代になってきており、共感しているものを「買う」ことから「発信・推奨」することに顧客の行動が変わってきていることで生まれた変化です。
マーケティング4.0では5Aというフレームワークが有名です。
5Aとは「Aware」「Appeal」「Ask」「Action」「Advocate」の5つを考えていくことで、推奨者を増やし、製品をより多くの人に売れるようにする考え方です。
マーケティングを通して考えるプロダクトマネジメントの役割
前項で説明したとおり、マーケティングでは本当に多くのことを考える必要があります。
プロダクトマネジメントはマーケティングにおける「売れるものを作る」を実践することだと僕は考えています。
つまり、プロダクトマネジメントとは、プロダクトを「便利で」「共感・信頼でき」「推奨したくなる」ものにしていくための考え方、アプローチです。
まとめ
プロダクトマネジメントについて調べると「ユーザーの声を聞きなさい」「ユーザーが価値を感じたタイミングを指標として追いなさい」「自社のビジョンを軸にプロダクトを作り上げていきなさい」など多くの重要な考え方に出会うと思います。
これらをやらねば、と思いつつも、結局なぜやらないといけないのかについて記されている文献はあまりありません。
いろいろなことを学んできた中で言語化した、現時点での僕の「プロダクトマネジメントの役割」を記事にさせていただきました。
これからもいろいろなことを学んでいく中で、新しい解が見えてくることもあるかもしれません。
その時はまた記事にさせていただきます。