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スクラムがしっくりきていない時は経験主義の三本柱をとにかく意識するところから始めると良いかも

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この記事は何

僕はかれこれスクラムを3年以上色々な組織でやっています。
最初はうまくスクラムを活用できていなかったのですが、最近はある程度スクラムというものの理解も経験則含めて上がってきたなと感じています。
この記事では、スクラムに取り組むに当たってとりあえずここはおさえておいた方が良いなと感じているところを知見として紹介します。

スクラムがしっくりこない

突然ですが皆さん、スクラムいい感じに回っていますか?
「毎回のスプリントをやるごとにチームがうまく回るようになってるぜ!」みたいな方はこの記事はお役に立たないかもしれません。
「一応スプリントは回してるけど結局これってこれってなんのためにやってるかよくわからない...」みたいな感覚がある方は、読んでいただけると何か気づきがるかもしれません。

アジャイルないしスクラムという概念を知っている方は増えてきていると思いますが、その一方で「スクラムを回しているけどいまいちしっくりきていない」と言う悩みを持っている方も多いと感じています。

しっくりきていない、と感じる点は

  • スクラムイベントそれぞれやってはいるけど、結局やる意味がよくわからない
  • 各イベントの目的は理解しているつもりだけど、目的を達成できる内容にできているか実感がない
  • スプリントを回しているけど結局それぞれのメンバーは任されたタスクをやっているだけになっている

など、組織によっていろいろ聞きます。

このスクラムがいまいちしっくりこない原因は、僕は「形から入ってしまっている」ことだと考えています。

スクラムって結局何なのか

前項でスクラムがしっくりこない原因は「形から入ってしまうこと」だと書きました。
具体的に形から入る、とはどういうことなのか説明します。

そもそもスクラムとはどのようなフレームワークかご存知でしょうか?
スクラムガイドには以下のように定義がされています。

スクラムとは、複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、⼈々、チーム、組織
が価値を⽣み出すための軽量級フレームワークである。

スクラムガイドより引用

そしてスクラムのコンセプトは以下の通りです。

スクラムは「経験主義」と「リーン思考」に基づいている。経験主義では、知識は経験から⽣
まれ、意思決定は観察に基づく。リーン思考では、ムダを省き、本質に集中する。

スクラムガイドより引用

まとめてしまうと、スクラムとは「何が起こってもうまい行動ができるチームを作るためのフレームワーク」だと解釈しています。

スクラムはそれぞれのイベントなどが明確に決まっていますし、始めるためにも特別なツール等も必要ないので、とりあえず始めるのは意外と簡単だったりします。

しかし、始めるのは簡単であるがゆえに元々も目的を忘れてしまい、それぞれのイベントの本来の目的や得られるものを実感しにくい状態になっていることが多いのではないか、と考えています。

しっくりくるものにするためにとりあえず始めると良さそうなこと

前項で説明した通り、スクラムは形から入るのは簡単な一方、元々の目的の理解が浅いとなかなかうまく回りません。
このようなしっくりきていない状態を脱却するため、まずはやってみると良さそうだなと考えているのが「経験主義の三本柱の意識」です。

経験主義の三本柱とは、スクラムガイドに書かれている以下の三つのことをさしています。

  • 透明性
  • 検査
  • 適応

透明性

スクラムの目的である「何が起こってもうまい行動ができるチーム」を作るためには、そもそも「何が起こっているか」をチームメンバーで把握できる状態にする必要があります。
透明性とは「チームの状況がどれだけわかる状態になっているか」の指標になります。

これが意識できるようになると、以下のような部分が気になりだすと思います。

  • 今回のスプリントでやるタスクはちゃんと整理できているか?
  • 管理されているタスクは今具体的にどういう流れで、誰が、何を、どこまでやっているのか把握できる状態になっているか?
  • そもそもチームのメンバーは障害対応やバグ修正、勉強会の準備、目標の振り返りなど、開発タスク以外のタスクもチームのメンバーに共有できているか?

検査

透明性は「何が起こっているか」を明らかにすることでしたが、「何が起こってもうまい行動ができるチーム」を作るためには「今起こっていることがうまく行っているのか、うまく行っていないのか」もチームとして把握できていないといけません。
検査とは「チームの状況が良いのか悪いのか評価できる状態になっているか」の指標になります。

これが意識できるようになると、以下のような部分が気になりだすと思います。

  • 前日の朝会で言っていた「やること」と今日の朝会で言っている「昨日やったこと」はメンバーそれぞれ一緒か一緒じゃなかったか把握できる状態になっているか?
    • 一緒じゃないとしたら何か差し込みが発生したのか?具体的に何が差し込まれたか把握できているか?
  • 差し込まれたことで当初の予定通りにスプリントのタスクは進められそうか確認できているか?

適応

「何が起こってもうまい行動ができるチーム」を作るためには「今起こっていることに対してどううまい行動をとっていくか」を考える必要があります。
適応とは「チームの状況に対して当初の計画から修正をうまくできているか」の指標になります。

これが意識できるようになると、以下のような部分が気になりだすと思います。

  • デイリースクラムでわかった状況に対して、どうリカバリーするか議論できているか
  • 進捗がうまく行っていないときに、ゴールをマストでどこまでやるか決められているか
  • それぞれのメンバーの一日の動きをメンバー全員で決められてるか

結局経験主義の三本柱を意識すると何が起こるのか

前項で経験主義の三本柱について紹介しましたが、結局これを意識することで何が起こるのかについて最後に説明します。
起こることはずばり「それぞれのスクラムイベントが息をしだす」ことです。
前項の各柱の説明で、「それぞれの柱を意識し出すとこういうところが気になりだすよ」
という紹介をしたと思います。まさにこの気になり出すことを解消するための方法がスクラムのそれぞれのイベントなのです。

例えばスプリントプランニングは「うまく行っているか行っていないか」をわかるようにするため、ゴールの設定やそれぞれのタスクの見積もりを行うものです。
デイリースクラムはそれぞれの柱を毎日意識して動けるようにするためのものです。
スプリントレトロスペクティブは「直近の三本柱を意識して行ったアクションの振り返り・改善改善を行う」ためのものです。
スプリントレビューはスプリントプランニングの時と比べて、結果的にどういうアウトプット・アウトカムを出すことができたかを見える化し、次のスプリントのアクションを考えるためのものです。

このように三つの柱を本気で意識することができれば、それぞれのスクラムイベントが急に意味のあるものになり出します。

最後に

スクラムは最初からうまくやれるようにするためのフレームワークではなく、各スプリントで学びを蓄積し、改善をちゃんと行える状態にすることでチームの成長をさせていくプロセスを踏みます。
そのためにもまずは経験主義の三本の柱を意識して、自分たちの行動を振り返ることができる状態にすることをお勧めします。

過去にもスクラムについて書いた記事があるので、よかったら読んでいただけると嬉しいです。

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