ほとんどDHCPで自動設定されているけど
TCP/IPの設定は、今ではほとんどDHCPで自動設定されています。単なる一ユーザであれば細かい設定の意味を知る必要性はあまりありません。でも、IT技術者ならネットワーク技術が専門でなくても、TCP/IPの設定の意味をきちんと理解しておいた方がよいでしょう。
この記事では、TCP/IPの設定として、以下の設定について解説します。それぞれ設定を間違えてしまったときにどんな症状になるかも合わせて解説します。
- IPアドレス/サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイのIPアドレス
- DNSサーバのIPアドレス
IPアドレス/サブネットマスクの設定
TCP/IPでは、必ずIPアドレスを利用して通信します。IPアドレスによって、通信相手を識別しています。PCやサーバ、スマートフォンなどTCP/IPで通信する機器のインタフェースに必ずIPアドレス/サブネットマスクを設定しなければいけません。インタフェースごとにIPアドレスを設定するので、正確にはTCP/IPで通信するインタフェースの識別です。インタフェースにIPアドレスを設定してはじめて、そのインタフェースを通じてIPパケットを送信したり、受信したりできるようになります。
そして、**インタフェースにIPアドレスを設定するということは、「ネットワークに論理的に接続する」**ということもぜひしっかりと意識しておいて欲しいポイントです。IPアドレスとサブネットマスクから、接続しているネットワークのネットワークアドレスがわかります。
IPアドレス/サブネットマスクの設定を間違えたら・・・
もし、IPアドレスの設定を間違えてしまうと、当たり前のことですが、他のホストからの送信されたIPパケットを正しく受信できなくなります。
サブネットマスクの設定を間違えてしまうと、同じネットワークのホストを異なるネットワークとみなしてしまったり、異なるネットワークのホストを同じネットワークとみなしてしまったり、正しく通信できなくなります。
図のPC1は192.168.1.1~192.168.1.126の範囲のIPアドレスを同じネットワークのIPアドレスとして認識していることになります。PC1はサブネットマスクの設定を間違えていても、PC2とは通信可能です。ですが、PC3とは通信できなくなってしまいます。
IPアドレス/サブネットマスクについて、「ネットワークのおべんきょしませんか?」の「IPアドレッシング」 でさらに詳しく解説しています。
デフォルトゲートウェイのIPアドレスの設定
デフォルトゲートウェイとは、PC/サーバなどのホストと同じネットワーク上のルータやレイヤ3スイッチです。デフォルトゲートウェイのIPアドレスとして、同じネットワーク上のルータ/レイヤ3スイッチのIPアドレスを指定します。
ルータやレイヤ3スイッチは、ネットワークの相互接続を行うネットワーク機器です。つまり、ホストが接続されているネットワーク以外のネットワークは、ルータまたはレイヤ3スイッチの向こう側にあります。そのため、デフォルトゲートウェイは他のネットワークの入口にあたり、他のネットワーク宛てのデータは、まず、デフォルトゲートウェイへ転送します。
デフォルトゲートウェイのIPアドレスの設定を間違えたら・・・
もし、デフォルトゲートウェイの設定を間違えてしまうと、異なるネットワークへの通信が一切できなくなってしまいます。同じネットワークの通信には問題はありません。
デフォルトゲートウェイの設定が正しくても、デフォルトゲートウェイ自体の障害で使えないと、設定が間違っているときと同じ状況になります。デフォルトゲートウェイの障害に対応するためには、デフォルトゲートウェイとなるルータ/レイヤ3スイッチを冗長化してください。そして、その上で、VRRPなどのデフォルトゲートウェイ冗長化のためのプロトコルを利用します。
同じネットワークの通信は問題ないのに、他のネットワークへの通信ができないというときには、デフォルトゲートウェイの設定が正しいかどうか、デフォルトゲートウェイに障害がないかを確認しましょう。
デフォルトゲートウェイについてさらに詳しく 「デフォルトゲートウェイの詳細」 で解説しています。
DNSサーバのIPアドレスの設定
TCP/IPの通信には必ずIPアドレスが必要です。ただし、IPアドレスの指定はわかりにくいものです。通常、ユーザにとってIPアドレスを見せずにURLやメールアドレスなどを利用して通信します。URLやメールアドレスなどからIPアドレスを求めるためにDNSサーバに問い合わせて名前解決を行います。DNSサーバのIPアドレスは名前解決のための設定です。
DNSサーバのIPアドレスの設定を間違えたら・・・
もし、DNSサーバのIPアドレスの設定を間違えると、名前解決ができなくなります。その結果、通信相手のIPアドレスがわからずにデータの送信自体できなくなります。
やはり、DNSサーバ自体の障害があると、DNSサーバの設定を間違えてしまったときと同じ状況になります。DNSサーバの障害に備えて、DNSサーバを冗長化しておきます。そして、ホストでプライマリとセカンダリDNSサーバの設定をしておきます。