はじめに
インターネットの浅瀬でぴちゃぴちゃ遊んでいると、時おり見かける論争があります。
それはAndroid vs iPhone。
積極的に論争に参加しようとは思いませんが、私自身はiPhoneが(Apple製品が)好きで使っています。
さて、Android派の判断理由として、以下のような主張をしばしば見かけます。
- 右から 左へのスワイプで元に戻せないのが不便である
- 以下の機能の導入が遅かった(二番煎じであった)
- アプリライブラリ
- ホーム画面でのウィジェット
- ホーム画面での間を空けてのアイコンの配置
つまるところ、「iPhoneよりも融通が利くという点で、AndroidはiPhoneより勝っている」という主張です。
私もこの主張は否定しません。
やり直すよりも元に戻したい場面が多いスマホの操作において、
右手のみで操作しているときに親指を無理に画面左端に伸ばさなくても元に戻すことができるところは、Androidを触ると特に便利に感じます。
しかしもし、Appleがこれらの機能を意図的にiPhoneに実装してこなかったのだとしたらどうでしょうか?
そしてその意図は「そのほうが現実世界に忠実だから」。
私はそんな妄想をしています。
ここからは、上記で挙げた機能がどのように現実世界に忠実なのかを説明していきます。
元に戻す
アプリなどで直前の操作を元に戻したり、前のページに戻りたいとき、
iPhoneでは画面左端から右にスワイプする必要があります。
一方Androidでは、画面左端から右へのスワイプだけでなく、画面右端から左へのスワイプでも元に戻すことができます。
先述の通り、片手で操作することも多いスマホ操作において、(右利きの場合)親指を無理に伸ばすことなく前に戻ることができるのは利便性が高いです。
しかし、右から左へのスワイプに元に戻す操作を割り当てるのは、存外私たちの直感通りではありません。
日本語の横書きや英語のように、多くの言語では左から右に文章を記述します。
そして横書きの文章を本にする場合、左から右にページが進むことが自然になります。
また、YouTubeなどの多くの動画ストリーミングサービスでは、動画内を移動するシークバーは時間経過とともに左から右に動いていきます。
このように、多くの言語や文化圏では、過去(前)を左に、未来(後)を右に紐づけています。
この紐づけをスマホの画面に落とし込もうとすると、左に存在している過去の操作やページを参照する動きとして、左から右へスワイプする操作がより直感的ということになります。
導入が遅かった機能
以下は、iPhoneでの導入が遅かった機能の導入時期です。
機能 | Androidでの導入時期 | iPhoneでの導入時期 |
---|---|---|
アプリライブラリ | Android 1(2008年) | iOS 14(2020年) |
ホーム画面でのウィジェット | Android 1.5(2009年) | iOS 14(2020年) |
ホーム画面での間を空けてのアイコンの配置 | おそらくAndroid 1(2008年) | iOS 18(2024年) |
アプリライブラリや、ホーム画面でのウィジェット、ホーム画面での間を空けてのアイコンの配置は、いずれもAndroidでは初期から導入されている機能ですが、
iPhoneでは2020年以降の導入と、10年以上も遅れての導入となっています。
Appleが長くこれらの機能を導入してこなかった理由を、アプリを本にたとえて説明してみます。
よっぽどの意図がない限り同じ本を2冊買うことはなく、1種類の本は1冊のみを本棚に並べます。
1冊の本を複製して、同じ場所に複数置いたり別の場所に同時に存在させることはできません。
そしてアプリもスマホに1つのみインストールするものであることを考えると、
ホーム画面とは異なる場所に同じアプリを格納するアプリライブラリは現実世界とは乖離することになります。
また、アプリの1機能のみを表示するウィジェットも、本をスクラップする行為に近く、
原本の原型がなくなることを考えると現実世界とは乖離することになります。
さらに、本棚に本を格納するときは端から順に間を空けずに格納していきます。
これにより、ホーム画面に間を空けてアイコンを配置できなかった理由も説明がつきます。
でも、結局iPhoneも導入したじゃん
iPhoneが現実世界に忠実だからと説明してきましたが、上記の通り現実世界にはなさそうな機能も導入され始めています。
これについては、スマホが世界の一部になったと判断したからだと思っています。
スマホのある生活が世界に浸透してきて、シェアの高いAndroidに特有の機能もスマホは一般にそういう機能があると人々が認識してきた、というようにとらえて導入を決定したのではないでしょうか。
まとめ
iPhoneに限らず、Appleはできる限り世界を模倣したデザインと機能をデバイスに導入してきました。
デバイスにある機能を導入するか削るかにすら、AppleがGUIとOOUIを重要視し続けてきた哲学を垣間見ることができ、私の好きなデバイスとなったのでした。
妄想も入っているのであしからず。