2016年自作PC総括 Advent Calender 最終日.
アドベントとかミラーワールドでバトルかな?今だ!キックを使え!目だ!
2月にNUC6を組んだときのこと.
NUC6について
2016年1月,ついにIntel NUC6が発売された.NUCはIntelが開発する,手のひらサイズPCのベアボーンキットである.CPUは既にマザーボードに半田付けされている.最近のものだと,無線モジュールは標準搭載.SDカードスロットも付いてる.ユーザはメモリと,SSDかHDDを追加で買って搭載するだけで,PCが組みあがるって寸法だ.また,NUCは規格化されているので,サードパーティ製ケースとか(あんまり出てないけど),他の機器への組み込みとか(概念上以外の話は知らないけど),いろいろな可能性を秘めている.VESAマウントに対応しているため,モニタの裏に取り付けて,一体型PCを自作することも可能である.
NUC6では第6世代プロセッサSkylakeが搭載された.Skylakeは14nmプロセスルールの新アーキテクチャ版.前世代Broadwellに比べて,省電力機能やGPUが強化された.
導入
2月の半ば,そろそろかな?と思い,PCショップで一式買ってきた.DDR4メモリだけ品切れだったので,別の店で購入.マウスとキーボードはうちにあるやつで何とかすることにした.
買ったもの一覧は次のとおり.
項目 | 概要 |
---|---|
本体 | NUC6i5SYK |
SSD | M.2 128GB |
メモリ | 16GB(8GB×2) |
OS | Windows10 Pro 限定パック~2015 Winter Pack~ |
その他 | USB接続の光学ドライブ |
買ったNUCのストレージはM.2規格のSSD専用.もう1種類,2.5インチ規格のHDDやSSDを使えるモデルもあるのだが,そっちはM.2専用に比べて分厚い仕様.とにかくコンパクトなPCが目的で,そもそもサブマシンの想定だから,M.2専用の薄い方が適していた.
メモリはノートPCによく使ってる規格(260pin DDR4 SO-DIMM,2133MHz).当時,PC向けのDDR4メモリはたくさん売っていたが,ノートPC用DDR4メモリは品薄だった.インテルの公式サイトに出ていた使えるメモリ一覧に出ていた型番のものを購入.搭載可能なメモリの上限は32GBであるが,16GBにした.これは単にお金の都合・・・・・・という理由もあるが,1枚16GBのメモリを見つけられなかったという理由もある.
OSは窓辺とおこのテーマがおまけで付いてくる限定版.2015年末発売で,2月の時点でまだ在庫があるか不安だった.Windows10のDSP版は単体購入ができず,ストレージとかと一緒に買う必要がある.2015年末の時点でそろそろNUC6が発売されるという情報あったので,できればそのタイミングで購入しようと思っていた.NUC6の発売まで在庫が残っていてくれて良かった.
いきなり動かない
説明書どおりにささっと組んで,USB接続のDVDドライブからOSをインストール!
・・・・・・あれ?
インストールが途中で止まる.なんか,致命的なエラーも出てる.いわゆるブルースクリーンが表示される.何度も試してみると,動いたり動かなかったり,わけが分からない.だけど共通して,インストールは不可能.前にNUCを組み立てたときは,これで普通にインストールできたから,USB接続のDVDドライブからインストールするということ自体は特に問題ではないはず.
BIOS画面上では,メモリもSSDも普通に認識されているようなので,そっちも問題は無いように見える.
メモリ片挿し
こういう場合は,昔からメモリの片挿しをやってみると相場が決まっている.これで,メモリやスロットの不良があるかどうかを見極めるのだ.今回も例に漏れず,それを試してみた.
・・・・・・.
ダメだね.メモリ2枚,スロット2個,片挿し,入れ替え全6通りを試したけどダメだった.
もしかして
もしかして,初期不良じゃね?初期不良の交換は1週間なので,急いで電話して,一度,店側で検証してもらうことにした.残念ながら,メモリは別の店で買ったため,NUC本体とSSDが検証の対象である.
動いた?
しばらくして,店から連絡があった.ちゃんと動いたらしい.マジで?よく分からないけど,とりあえず一安心?なので,店で試しにインストールしたOSが入ったままの状態で引き取った.
DDR4メモリを挿して,起動してみると,確かに動いた!
・・・・・・あ
このWindowsのライセンス,俺のじゃないや.見なかったことにして,再インストールするか.
・・・・・・.
うん,まぁ無理だよね!ってか,ショップ店員,一体,どんな魔法使いやがったんだよ!
いろいろ試す
何がダメなのか,いろいろ試してみた.
内蔵のSATAコネクタからインストール
NUC6のふたを開けると,中からSATAのコネクタが出てくる.このコネクタ,ケースに特に穴が開いていたりはしないので,通常は使えない.2.5インチストレージが使えるモデルで利用するようだ.2.5インチストレージが使えるモデルと使えないモデルの違いはケースの大きさぐらいで,中身は共通.なので,ここにSATA機器を接続すれば,動くはずなのだ.
このSATAコネクタを利用して,5インチベイ用の,SATA光学ドライブをつないでみることにする.これは使わなくなった組み立てPCから取り外したものである.しかし,電源をどうするかの問題がある.NUCから出せる電源を使おうとすると専用のハーネスがいるし,そもそも電圧違う.なので,ATX電源ユニットから直接供給することを考える.これをやるには,電源ユニット自体を動かして出力を得なければならない.電源ユニットは,PCの電源スイッチを入れないと,SATAとかのデバイスに電源は供給されない仕組みになっている.これは,電源ユニットのマザーボードコネクタに電源スイッチを取り付けなければならないことを意味する.
世の中,いろいろやりたがる人がいるようで,ATX電源検証ボードというものを売ってる.家電量販店で簡単に買える.さっそく買ってきた検証ボードをつないで試してみる.NUC本体の何倍もある電源ユニットと光学ドライブを接続すると,どれが本体か分からなくなる.
電源ユニット自体の主電源を入れ,検証ボードの電源スイッチをONにする.光学ドライブのLEDが光り,動き出した!
そして,いよいよNUCの電源をONにする.
・・・・・・.
やった!やったぞ!BIOSでもちゃんと認識されてるし,ディスクもちゃんと読んでるぞ!
いや,目的はそっちじゃない!
はい,いつもどおりインストールは止まります.
USBメモリからインストール
DVDドライブを疑って,USBメモリからインストールする手法を試してみる.しかし,USBメモリなんて持たない生活をしていたから,わざわざこのために買ってこなければならないという,めんどくささがあった.
だけどまぁ,Windows10はUSBメモリからインストールが可能となっているので,助かったゼ!
・・・・・・.
助かってなかった.
NUCに何が起こったか?
さて困った,どうしよう?
まずは整理
今までのことを整理すると次の通り.
- NUC本体に不良はなさそう
- 店の検証で問題無さそうだし
- 実際,返却されたNUCは動いていたし
- SSDは問題なし
- これも店の検証でOSインストールされていたわけだし
- メモリも問題無いはず
- インテルの公式サイトに使えるって書いてあったし
- さすがに2枚とも故障というのも考えにくい
- 検証作業でインストールされたWindowsは普通に動いてたし
- 光学ドライブとかUSBメモリとかも関係無さそう
- メディアやドライブを換えても,状況がまったく変わらないし
整理しても,何がなんだかよく分からない.打つべき次の一手が思いつかない.
とりあえずあそこで・・・
困っときは2ちゃんねるで聞いてみろと,昔から世間でよく言われている[要出典].大体,2ちゃんねるで解決できないことなんて無いのだ[要出典].2ちゃんねるで解決できない問題は,そもそも解決する必要が無い問題なのだ[要出典].
これ,やべー・・・
2ちゃんねる自作PC板の有識者たちに聞いてみたところ,メモリの相性問題なのはほぼ間違いなさそう.インテルのサポートのページがあるということなので,そこを見てみると,よその国の人からも動かない苦情がいっぱい書き込まれていた!
どうも,メモリ周りが怪しいらしく,メーカ別に動いたか動かなかったかの一覧表までアップされていた.それを見ると,Crucial製以外ほぼ壊滅!?これはさすがにひどすぎる.当然,買ったメモリはCrucial製ではない.買ったメモリはダメだった方に書いてあったと思った.
だがしかし,持っているメモリは,インテルの公式サイトで使えるメモリとして記載されていたものだ.使えないメモリが使えるように記載されていたことが,話をややこしくしていた原因だったのだ!
その後も2ちゃんねるには同様の症状を訴える人が何人か書き込みをしていた.
これでどうだ!
もう,やるしかない!Crucial製DDR4メモリ買う!買うしかない!
Crucialはあまりなじみが無い名前だが,半導体で有名なMicron社の個人向け販売子会社.なので,その品質に疑う余地は無い.
緊急指令:メモリを探せ!
とりあえず,秋葉原へ行けばメモリはすぐ買えるだろうと思った.しかし,適当に店に入ってみたものの,DDR4メモリが見当たらない.デスクトップ用はたくさんあるのに,ノートPC用は全然.たまに見つけたと思ってもCrucial製ではない.おかしい.むしろ,こないだDDR4メモリを買えたこと自体奇跡的なことだったレベル.
とりあえず,公園のベンチに座って,持ってきたタブレットからWeb検索してみた.・・・・・・あった!秋葉原でCrucial製メモリを売ってる店が1店だけあった!って,あんだけたくさんPCショップが集まってる秋葉原のくせに入手難易度が高すぎだろ!急いでその店へ行って無事購入.Crucialなら1枚16GBのメモリもラインナップがあり,最大32GBのメモリを載せることも実現可能だった.これは,お金の問題もそうだが,今までの経緯からもしもの場合の被害額は少ない方が良いという思いから,当初の計画のまま,8GB×2枚の16GBとした.
今度こそ
Crucial製のDDR4メモリは買った.これでダメならもうできることは何もない.いや,落ち着け.世界の同志たちの情報からCrucial製で問題が無いことは確実.これで動かない未来なんてないのだ!
・・・・・・あ
あーーー!
インストールついに成功!!!!今までのトラブルが嘘のように,何の問題も無かった.ちゃんとWindows10が動いてる!とおこちゃんがしゃべってる!とおこちゃん,超可愛い!
やった,やったんだゼ.俺はついにやり遂げたんだ.ありがとう,そして,ありがとう,世界のみんな!
そう思うと,長くつらい日々が走馬燈のように脳裏に駆け巡った.母さん,今夜は赤飯だ!
※本体購入から2週間ぐらいしかたっていません.
それから
あの壮絶な日々から10ヶ月ほどたった,現在.
組み立てたNUC
組み立て当時,キーボードとマウスは,普通のHHKBと普通のUSBマウスを使っていた.4月にHHKBのBluetooth版が発売され,購入.キーボードは無線になった.秋頃にはマウスも無線となり,ケーブルから開放された.無線LANも使えるのだが,ハブからそんなに遠いわけでもないので,LANケーブルで接続している.
インテルの対応
このCrucial製DDR4メモリしか使えなかった問題,どうやら,NUC本体に原因があったようだ.メモリに与える電圧が良くなかったらしい(詳細までは追ってない).BIOSのアップデートで直るレベルだったらしく,新しいBIOSのリリースで問題は終息したようだ(BIOSアップデートはUSBメモリからOS無しでも行うことができる).
そういえば,過去,インテルがマザーボードを出してた頃,プロセッサの技術はすごいけど,マザーボードは今ひとつという評価だった気がする.こういうの含めて,やっぱりインテルだったってことだろうか?