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運用タイトル初期段階でのQA費用適正化を進めた話

Last updated at Posted at 2022-12-10

◆この記事を読むのにかかる時間:約5分程度
◆この記事の主な対象者:QA費用の適正化に取り組みたい方・取り組んでいる方

1.はじめに

みなさま今年も一年お疲れさまでした。
あっという間にアドベントカレンダーの時期になりましたね。

普段私はゲームのQA担当として品質管理に従事しており、
開発チームとの調整業務や障害・費用の削減などの推進をおこなっています。

今年は新規リリース~運用初期のタイトルへ携わる機会があり、
そのなかで、QA費用の適正化に向けた取り組みをおこないました。

今回携わったチームでは以下のような課題感が見受けられていました。
①検証スケジュールに対して、仕様の確定や施策の実装が間に合わない状況が多発
②上記の影響など、イレギュラー多発によるQA工数の見積と実態の大幅な乖離

特に運用フェイズの初期段階では開発チーム側も安定していないことが多く、
このタイミングでのQA費用の適正化について、同じような課題感を抱えてる方も多くいらっしゃると思います。
今回は私が課題感の解消に向けておこなった適正化の取り組みについて、お話していきます。

2.適正化の打ち手としておこなったこと

費用の適正化にあたり、
今回私がおこなったことは大きく分けて3つとなります。

a.必要工数についての認識を統一する(状況の可視化)

工数見積と実態が大きく乖離している状況が多くあったため、
原因を確認しながら、現在かかっている各検証の工数についての可視化を行っていきました。

画像は認識合わせの表のイメージです。
2022qiita_001.png
テスト設計者、管理者、現場の検証担当など各人の認識で記載をしてもらいます。

b.検証工数の基準値の再設定

aで洗い出した現状を鑑みて各検証工数の基準値について、テスト設計者や進捗管理者、現場のテスト担当者などを交えて再設定します。

当初の工数見積と実態を比較して、
今回は開発起因・テスト起因などの両要因により、施策毎の工数が想定より大幅に膨らんでいる状況が多く見受けられたため、
実態としてかかっている数値感からイレギュラー要素(※1)を除いた数値と、
当初の見積もりとを対比し、目標数値の設定をおこなっていきました。

もし大幅な乖離がない場合は、その数値感を施策毎の基準値として設定していきます。

※1 本記事におけるイレギュラー要素の定義
定常的な施策検証の見積もり時に見込みとして加えづらい、ボトルネックとなりうる事象のことを指します
例:
・影響範囲の大きい進行不能などの不具合による大幅な遅延
・仕様確定の遅れよる大幅な遅延
・テスト実行に起因する大幅な遅延
など

c.適正化に向けた施策の検討・実施

状況の整理と基準値を再設定したら、工数の適正化に向けた施策を検討・実施します。
主に今回は3点の打ち手を検討してアクションを起こしています。

①最新の基準値での正確な見積の算出
まずは再設定した工数感をもとに日々の見積を出し直します。
予算との対比もおこないつつ、どのくらいの費用感になるのかをしっかりと算出して把握します。
※この時点で予算と乖離がある場合は別途テスト範囲・粒度の調整や検証の効率化などで費用感を調整しますが、効率化の施策については今回は割愛します。

②日々の進捗を鑑みた細かな稼働人数の調整
各施策の工数消化状況や進捗をデイリーで観測し、目標値と対比しつつ、
稼働する人員数の過不足を検証担当者や進捗を管理するメンバーと調整していきます。
0.5人日などの1人日未満となる工数感で終わる作業が発生した場合に、
別の対応に充てた人員で作業が賄えるかどうかなど、現場と密にコミュニケーションを取りつつ余剰な稼働が発生しないよう随時確認していきます。

③開発チームとの密なコミュニケーションによる問題点の解消
検証を妨げるような事象などは開発チームへ密に連携し、解消をしてもらいました。
具体例を1点挙げると「データの準備が検証予定日に間に合っていない」といった問題が今回多く発生していましたが、
開発チーム側の会議などにQA担当者も毎日参加して、施策毎の検証予定日の共有や実装進捗に伴った検証スケジュールの調整などをおこない、
余剰な工数が発生しないよう、両者間で無駄なく準備をおこない問題を解消しました。

3.取り組んでみて

実際に費用の適正化に取り組んでみた結果
取り組み前と同規模の施策数の月で対比して、約44%の抑制に成功しました。
施策の増減などの影響を除いても、QA費用は想定の予算感で安定して推移するようになりました。

4.まとめ

今回の話のまとめです
①状況の可視化をして、実態と見積の乖離が発生しないよう認識相違を埋める
②基準となる数値感の共有は大事、工数などの認識は各担当でしっかり揃える
③現場・開発と積極的に連携し、余剰な工数が出ないよう調整・協力をしてもらう

本来やって然るべきといった内容ではありますが、もしできていないなと感じたら、
正してあげるだけでかなり効果が見込めるので、QA費用の効率化や削減をおこなう前に、このような基礎的な部分も見直してみることをお勧めします。

5.おわりに

いかがだったでしょうか。

運用初期の慌ただしい状況だと手の回りづらい、
「当たり前のことを当たり前にやる」といった部分の重要性を今回の取り組みで再認識しました。
次に同じようなケースへ携わる場合は、より早い段階で費用コントロールしやすい体制や仕組みを作ることを意識して進めていきたいと思いました。
ご覧いただいた皆さまにも何か役に立つ部分があれば幸いです。

それでは皆さま、よい年末をお過ごしください。

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