25
23

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

レイマーチングの法線をdFdxとdFdyで導出する

Last updated at Posted at 2016-07-29

dFdxとdFdyとは

GLSLにはdFdx/dFfyというフラグメントシェーダで使える組み込み関数があります。

dFdx/dFfyによって、X方向・Y方向の偏微分が計算できます。

偏微分というと、難しそうな印象を受けるかもしれませんが、単なるスクリーン上のピクセル単位の画素値(本当は任意の値)の差分です。

そもそもdFdx/dFfyとは?という方は、先にコチラをご覧になることをお勧めします。

レイマーチングの法線の計算をdFdxとdFdyで行う

dFdxとdFdyによって、スクリーン上での微分から法線を求めることができます。

これで法線が求まるのは単純に面白いですね。同じことをしてる人は見たことがないです。

レイマーチングの例の比較。左側が距離関数の勾配による法線。右側がdFdx/dFfyによる法線

これはレイマーチングの例の比較した画像です。左側が距離関数の勾配による法線、右側がdFdx/dFfyによる法線です。

ただし、2x2にブロックに解像度が落ちてしまい、結果が汚くなるので、実用性があるかどうかは不明です。

距離関数の勾配による法線の導出

一般的にはレイマーチングの法線は距離関数の勾配で求めます。今まではこの方法しか見たことがありませんでした。

距離関数の勾配による法線の計算
const float EPS = 0.001;

vec3 getNormal(vec3 p) {
    return normalize(vec3(
        sceneDist(p + vec3(EPS, 0.0, 0.0)) - sceneDist(p + vec3(-EPS,  0.0,  0.0)),
        sceneDist(p + vec3(0.0, EPS, 0.0)) - sceneDist(p + vec3( 0.0, -EPS,  0.0)),
        sceneDist(p + vec3(0.0, 0.0, EPS)) - sceneDist(p + vec3( 0.0,  0.0, -EPS))
    ));
}

距離関数は形状を陰関数表現したものとも言えます。また、陰関数における勾配が法線となる性質があります。
つまり、距離関数をワールド空間上のXYZに偏微分することで勾配が求まり、この勾配が法線ベクトルとなります。

詳しい話は、次のスライドの63ページあたりに簡単に解説しています。

dFdx/dFfyによる法線の導出

さて、本題のdFdx/dFfyによる法線の計算について説明します。

以前の記事のエッジ検出の例では、スカラー値の微分をしましたが、普通にベクトルも微分できます。

さらに微分する対象が画素値である必要も無いです。今回はレイと物体との交点の座標をスクリーン上で微分しています。

dFdx/dFdyによる法線の計算
vec3 getNormal(vec3 p) {
    vec3 dx = dFdx(p);
    vec3 dy = dFdy(p);
    return normalize(cross(dx, dy));
}

上の関数で法線が求まる仕組みを簡単に説明します。

物体の交点座標を微分すると接線になります。そして、XとYの2方向の接線があれば接平面が一意に決まり、接線の外積から法線も導出できるという仕組みです。

どちらの手法も偏微分で法線を求めますが、微分する対象が異なります。表にまとめるとこうなります。最終的にはどちらも法線になるのも面白いですね。

手法 偏微分される関数 偏微分する変数 偏微分した後の処理
距離関数の勾配による法線の計算 距離関数 ワールド空間上のXYZ 勾配(偏微分した値を並べる)
dFdx/dFdyによる法線の計算 交点座標 スクリーン空間上のXY 外積
25
23
5

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
25
23

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?