はじめに
昨年、自分たちの部署に3人の新卒エンジニアが入ることになりました。
そこで従来とは異なる「多頻度マルチフィードバック」と
内々で呼んでいる育成方法論を試したのですが、
とても良かったので、その実施結果を共有します。
なにをやったのか
従来の方法と比べて、
新人に対して圧倒的に多く回数のフィードバック を 複数人から返すようにしました。
具体的には、
- 15分x週3回のミニ面談をリーダークラス6人で3人に対して実施
- 新人は週45分の拘束、リーダーは2週間で3人面談するので、週22.5分の拘束
- 30分x週2回のミニ勉強会を部署13人で持ち回りで実施
- 新人は週60分の拘束、講師役は、1.5ヶ月に30分の拘束
という仕組みを組みました。
どうなったのか
幅広いスキルを、まんべんなく身につけられ、早期戦力化できました。
一方で、モチベーションを高く維持でき、
なのに育成に対する負担がむしろ軽減しました。
つまりいいことずくめでした。
それまでは育成責任者を定めてベタ付けする
徒弟制度とでもいうべき体制でやっていましたが、そのときとと比較すると、こんな感じです。
- 従来に比べて半年以上早く戦力化した
- かつては、遅いだけでなく戦力化できずに配置転換になる場合もあった
-
幅広いスキルが身についた
- 技術面、ビジネス面、人間力面が幅広く身についた
- かつては、業務に関連する分野のスキルしか身につかなかった
-
モチベーションが高く維持された
- 従来は、徐々に落とす人もいた
- 仮配属中にモチベーションを落とし、こちらに配転になった子も回復した
- 育成担当の負担が大幅に軽減された
- かつては、育成担当が繁忙期などの場合、全くフォローできないケースがあった
(というか、こちらに配転になった子が他部署でそんな感じで放置されてモチベ落としてた) - 1週間45分なので、ほとんど負担無かった
- かつては、育成担当が繁忙期などの場合、全くフォローできないケースがあった
- なぜか育成担当のモチベーションが上がった
- 従来は、「やっかいだな。でも将来の手駒の為に仕方無い。頑張るか。」という感じだった
- みんな積極的に育成について語り合うようになった
- 「オレは誰かに育ててもらったことがない。そもそも育てられたエンジニアは弱いエンジニアだ」
とか言ってた職人気質の人も、育成について語り出すようになった
どうして効果があったのか
こう考えています。
- 新人にとって、
- 2日に1回、良いところ・悪いところの 指摘がもらえるので、改善行動自体が増える
- もともと勝手に改善できる子はもっと加速し、改善できない子も従来方式よりは改善される
- 複数人のリーダークラスと面談し、リーダーそれぞれの
得意、不得意に応じていろいろな指摘をもらえるから
従来と比べて多くの気づきが得られる - 放置されず、やればすぐ評価され、やらなければすぐ𠮟咤されるため、
自分の努力が目に見えやすい - コミュニケーション量が多いため、心理的安全性が確保される
- 2日に1回、良いところ・悪いところの 指摘がもらえるので、改善行動自体が増える
- 育成担当にとって、
- そもそも分担しているので、負担が少ない
- 繁忙期でも誰かが見てくれるので、プレッシャーが少ない
- いろんな人がいろんな事を言ってくれるので、自分が得意な事に特化して指導しやすい
- (負担が少なく、効果も出るなら)人材育成って実は楽しい
何を参考にしたのか
もともと、半期の目標面談って無意味だよなという問題意識があり、
新人には月一ぐらいでフィードバックしたいなと思っていました。
で、部を説得するために情報探してたら、
360度評価なんて窓から投げ捨てろという記事
を見つけて、月一なんて甘いわ!もっと多くやらなきゃって思ってたら、
ヤフーの1on1という本
で、週1でやっているという話を見つけました。
でもそれじゃあ負担が大きすぎるよなぁと思っていたところ、
クラウドワークスさんのチームで育てるという話
を見つけ、リーダー全員で面談やればよくね?
うはっw、フィードバック回数めっちゃ増やせるww、オレマジ天才www
という流れでした。
全く空から降ってきたアイデアではなく、余所様のアイデアをつまみ食いしてみた結果になります。
次どう発展させたいか
対象を拡大する
やってみて思ったんですが、これ別に新人育成に限らず、メンバー全般の育成に使えます。
というわけで、次は、対象を新人からメンバーに増やしてやってみようと思います。
とはいえ、部署構成的に、リーダー6人で、10人のメンバーを多頻度で見るのはちょっと難しそうなので、
- 新人には、2年目2名とサブリーダー2名とリーダー2名で面談する
- 4年目君には、リーダーのうち3名と、サブリーダー3名で面談する
というようにして、
- リーダー以外も面談者にする
- ひとりの人間は、必ず6名の面談者をもち、週3回のフィードバック機会を設ける
形にしていきたいと思います。
即時性&具体性の概念を追加する
"Frequent Feedback"で検索していると、
こんな記事にたどり着きます。
https://tomprof.stanford.edu/posting/1288
スタンフォードで教授をしているRick Reisという人が書いているのですが、
パフォーマンスを改善するには、ただただ、
「うまくいったね!うまくいかなかったね!」とフィードバックするだけでなく、
- 何がうまくできたのか
- 何を改善する必要があるのか
- どうやれば改善できるのか
を
- 即時にフィードバックする
のが重要だとということです。
確かに「○○の機能のコードはうまくできたね/できなかったね」よりも
「○○のコードについては、期限内に終わらせることができたのは良かった」
「ただしメンテナンス性が悪いコードになっているのは、課題だ」
「メンテナンス性については、いろいろ覚えることは多いが、
まず単一責任原則という概念をしっかりコード上に組み込めるようにしよう」
というフィードバックをしたほうが、確実に改善されるように思います。
昨年度は、とりあえず回数と多方面からに集中したので、
フィードバックの中身については気にしない方針のため、
上記のことがたまたまできていたりできていなかったりと状況でしたが、
今年度は、フィードバックの中身も改善していきたいと思います。
まとめ:この記事で提案したいこと
長々と書きましたが、この記事でお伝えしたいことは、
- メンバの育成は、チームで行うとメリット多いよ
- 頻繁にフィードバックすると成長が加速するよ
- 上記は新人だけに限らないよ。
- 現有メンバの育成マインドを醸成するのにもいいよ
- フィードバックは、即時&具体的にすると良さそうだよ
ということです。
是非参考にしてください。
お願い
こんな風にいろいろ育成頑張っていますが、
まだまだ改善したい、もっとよくしたいと思っています。
なので「うちはこんなことやってるよ!」とか、「これはこうした方がいいよ!」とか、
ありましたらコメント欄ないしは別記事などで教えてください。