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未来型イノベーション誘発DAO(自立分散型組織)

Last updated at Posted at 2020-07-03

内閣府知的財産戦略推進事務局が「知的財産戦略ビジョン」を2018年11月26日に発表されました。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2019/contents/dai2/siryou3.pdf
 その「知的財産戦略ビジョン」で1番興味深いものは、その最終頁で示された「新知財システムを検討するための具体例(構想クラウドの例)」です。これを発展させた「未来型イノベーション誘発DAO(自立分散型組織)」を提案します。
 この未来型イノベーション誘発DAOは、役割分担された複数のノード(マイナー)がそれぞれの役務(任務)を担うことにより、全体最適化されたイノベーション誘発システムを構築するものです。
 例えば、ビットコインはDAOの一種であるが、ノード(マイナー)がマイニング(記帳権の競争)という1種類のタスクのみを担っており、マイニングに成功した者にビットコインを付与するといインセンティブを与えることによりブロックが追加され、ビットコインのシステムが自律的に継続される。これに対し、タスクが複数種類存在するDAOをマルチタスクDAOという。それら複数のタスクを実行したノードに対しどのような割合でどの程度の報酬を分配すれば最適なインセンティブ設計となるのかが困難な問題となる。このようなマルチタスクDAOにおけるインセンティブ設計の最適解を、AIデジタルツインによるシミュレーション最適化によって導き出そうとするアイデアである。
 この未来型イノベーション誘発DAOの場合は、下記図に示すように、役務(タスク)が、アイデア発案、改良発案、事業化、侵害発見、トークン購入の5種類存在する。これらのマルチタスクの各々にマッチするペルソナ群を設定する。例えば、イノベーション誘発DAOの場合は、アイデア発案及び改良発案のペルソナ群として発明をよく考え出す人々、事業化のペルソナ群として事業化に興味のある人々、侵害発見のペルソナ群として特許法や著作権法に詳しい人々、トークン購入のペルソナ群として投資に興味のある人々等が考えられる。
    image.png

 次に、各ペルソナに属するユーザ群を選定する。例えば、上記イノベーション誘発DAOの場合は、アイデア発案及び改良発案のペルソナ群に属するユーザ群として特許出願の発明者として掲載されているユーザ群、事業化のペルソナ群に属するユーザ群として会社の経営者のユーザ群、侵害発見のペルソナ群に属するユーザ群として弁理士や弁護士のユーザ群、トークン購入のペルソナ群に属するユーザ群としてビットコイン等の仮想通貨を購入したことのあるユーザ群等が考えられる。
 次に、ペルソナ毎に属するユーザ群をグループピングしてグループ毎にユーザ群の取引データをブロッチェーンから収集し、取引データを学習データとして機械学習を行ってペルソナ毎に学習済みのペルソナエージェント群を生成する。
 次に、ペルソナエージェント群をマルチタスクDAO65内に配備してマルチタスクDAOデジタルツイン66を生成し、シミュレーション対象としてミラーワールド51に登録する。マルチタスクDAOデジタルツイン66には、ペルソナエージェント群が配備されて各ノード毎に1つずつペルソナエージェントが配備された状態となっている。それらペルソナエージェントの識別番号が、各役務(アイデア発案、改良発案、事業化、侵害発見、トークン購入の各タスク)毎に分類されてミラーワールドサーバ46に記憶されている。例えば、アイデア発案役務のペルソナエージェントの識別番号として、kc29m,1w13a,・・・9nad8がミラーワールドサーバ46に記憶されている(上記図参照)。このマルチタスクDAO65は、前述したイノベーション誘発DAOであり、以降、イノベーション誘発DAOを例としてマルチタスクDAOを説明する。
 ミラーワールドサーバ46には、各ペルソナエージェントの行為に対し報酬(インセンティブ)を与えるDAOエージェントも記憶されている。このDAOエージェントが、与える報酬の分配割合や報酬額を強化学習(機械学習)することにより、インセンティブ設計の最適解を導き出す。その強化学習(機械学習)の概略システムを下記図に示す。
     image.png

 この図を参照し、ペルソナエージェント群がオリジンのアイデア投稿をアクションa11、a12、・・・a1nとして行えば、環境の状態S1がDAOエージェント61に入力され、それらアイデア発案役務を行ったペルソナエージェント群67に対し報酬r11、r12、・・・r1nが与えられる。このアイデア発案役務は、夢やアイデア、ビジネスプラン、技術思想、著作物等の発案を包含する広い概念である。環境の状態S1は、アイデア発案役務を行ったペルソナエージェント群67にも与えられる。この環境の状態S1は、例えば、オリジンアイデア投稿内容、アイデア発案役務を行ったペルソナエージェント68各々に報酬として与えられたトークンA1の変動相場の価格等である。
 上記オリジンのアイデアに対しペルソナエージェント群68が改良案の投稿等のアクションa21、a22、・・・a2を行えば、環境の状態S2がDAOエージェント61に入力され、それら改良案役務を行ったペルソナエージェント群68に対し報酬r21、r22、・・・r2nが与えられる。環境の状態S1は、改良案役務を行ったペルソナエージェント群68にも与えられる。この環境の状態S2は、例えば、改良案投稿内容、改良案投稿に付与された「いいね!」の数等である。この「いいね!」を付与する主体は、例えば上記オリジンアイデアの投稿に対し報酬として付与されたトークンA1を購入した者(ペルソナエージェント群71)のみに限定している。このように、「いいね!」の付与主体を利害関係人(ステークフォルダ)に限定(制限)する理由は、不正行為を防止するためである。「いいね!」の付与主体を無制限に広げた場合、例えば、改良案の投稿を行った者(ペルソナエージェント群68)が多数の者(ペルソナエージェント)と結託して多数の「いいね!」を付けてもらう等の不正行為を防止するためである。事業化役務を行ったペルソナエージェント群69及び侵害対処役務を行ったペルソナエージェント群70への「いいね!」の付与主体も、同様の理由により、トークンA1を購入した者(ペルソナエージェント群71)のみに限定している。
 上記オリジンのアイデアに対し事業化役務を行ったペルソナエージェント群69がアクションa31、a32、・・・a3nを行えば、環境の状態S3がDAOエージェント61に入力され、それら事業化役務を行ったペルソナエージェント群69に対し報酬r31、r32、・・・r3nが与えられる。ペルソナエージェント群69のアクションa31、a32、・・・a3nとしては、例えば、事業計画書の投稿、事業化の進行状況の投稿、実際の事業化遂行の状況の投稿、事業化された事業による収益額の投稿等が考えられる。環境の状態S3は、事業化役務を行ったペルソナエージェント群69にも与えられる。この環境の状態S3は、例えば、事業計画書の投稿や事業化の進行状況の投稿、事業化された事業による収益額の投稿等に付与された「いいね!」の数等である。
 上記オリジンのアイデアに対し侵害対処役務を行ったペルソナエージェント群70がアクションa41、a42、・・・a4nを行えば、環境の状態S4がDAOエージェント61に入力され、それら侵害対処役務を行ったペルソナエージェント群70に対し報酬r41、r42、・・・r4nが与えられる。ペルソナエージェント群70のアクションa31、a32、・・・a3nとしては、例えば、侵害発見の報告投稿、侵害対処報告投稿、ライセンス交渉報告投稿等が考えられる。さらには、これら役務の前提となる特許出願の報告投稿やその権利化の報告投稿役務も含めてもよい。環境の状態S4は、侵害対処役務を行ったペルソナエージェント群70にも与えられる。この環境の状態S4は、例えば、侵害発見の報告投稿、侵害対処報告投稿、ライセンス交渉報告投稿等に付与された「いいね!」の数等である。
 ペルソナエージェント群が上記オリジンのアイデア発案役務に対し付与されたトークンA1を購入する役務をアクションa51、a52、・・・a5nとして行えば、環境の状態S5がDAOエージェント61に入力され、それらトークン購入役務を行ったペルソナエージェント群71に対し報酬r51、r52、・・・r5nが与えられる。環境の状態S5は、トークン購入役務を行ったペルソナエージェント群71にも与えられる。この環境の状態S5は、例えば、トークンの購入数(または購入金額)等である。ペルソナエージェント群71は、仮想通貨(例えばEthereumのETH等)を消費してトークンA1を購入する。なお、購入したトークンは、変動相場での価格に従って仮想通貨に変換(換金)でき、その仮想通貨は、変動相場での価格に従って円やドル等の法定通貨に変換(換金)できる。
 強化学習のプロセスにおいて各ペルソナエージェント群に報酬r1~r5が付与されるが、その報酬r1~r5は、DAOエージェント61が報酬テーブル(下記図参照)に基づいて決定する。アイデア発案役務を行ったペルソナエージェントに対しては、r1=A1+B1・b+G1・g、改良役務を行ったペルソナエージェンに対しては、r2=A2・e+B2・b+G2・g、事業化役務を行ったペルソナエージェントに対しては、r3=A3・e+B3・b、侵害対処役務を行ったペルソナエージェントに対しては、r4=A4・e+B4・b+G4・g、トークン購入役務を行ったペルソナエージェントに対しては、r5=B5・b+G5・gと、決定する。
 ここに、A2~A4,B1~B5,G1,G2,G4,G5は、係数であり、DAOエージェント61が強化学習により最適なものに収束させる。A1はトークン、gはライセンス収入、eは「いいね!」の数、bは事業化収益である。

     image.png

 なお、各ペルソナエージェント群68~71が役務を行った後に発生したライセンス収入gまたは事業化収益bのみが報酬r2~r5として考慮される。ライセンス収入gまたは事業化収益bが既に発生しているオリジンアイデアに対し後から改良役務やトークン購入役務を行うという不正行為を防止するためである。
 また、改良役務、事業化役務、または侵害対処役務を行ったペルソナエージェント群が併せてトークン購入役務を行ってもよい。さらに、アイデア発案役務を行ったペルソナエージェント群67が、併せて改良役務、事業化役務、または侵害対処役務を行ってもよい。
 各ペルソナエージェント群(67~71)は、得られる報酬が最大となるように自身が担う役務(任務)を遂行するように強化学習を行う。一方、DAOエージェント61は、全体最適化のためにイノベーション誘発DAOのパフォーマンスが最大になるように強化学習を行う。
 次に、下記図に基づいて、ペルソナエージェント群71によるトークン購入に伴うトークン72の変動相場での価格変動を説明する。アイデア発案役務を行ったペルソナエージェント67に報酬A1として50トークン(時価総額5万円)72が付与されており、そのトークン72の一部(10トークン)を1万円相当の仮想通貨を支払ってペルソナエージェント71aが購入した。次に、その10トークンを1万5千円相当の仮想通貨を支払ってペルソナエージェント71bが購入した。その結果、10トークンが1万5千円に価値が高騰する。それをペルソナエージェント71cが2万円相当の仮想通貨を支払って購入した。その結果、10トークンが2万円に価値が高騰する。それをペルソナエージェント71dが2万5千円相当の仮想通貨を支払って購入した。その結果、10トークンが2万5千円に価値が高騰する。それをペルソナエージェント71eが3万円相当の仮想通貨を支払って購入した。その結果、10トークンが3万円に価値が高騰する。
      image.png

 これにより、ペルソナエージェント67の手持ちの40トークン(時価総額4万円)が時価総額12万円に高騰する。このトークンは期待値に正比例して高騰するのであり、人気のあるオリジンアイデアほど高くなり、人気のある(いいね!の多い)改良案が投稿されるほど高くなり、人気のある(いいね!の多い)事業化が投稿されるほど高くなり、人気のある(いいね!の多い)侵害対処が投稿されるほど高くなる。
 マルチ役務DAO65をリアルワールド47で実際に運用する段階では、前述したように、「各ペルソナエージェント群67~71」がリアルワールドにおけるユーザ群となる。その場合に、アイデア発案役務を行ったユーザ群に与えられたトークン72ばかりでなく、各種役務を行うユーザ自身のトークン(以下「マイトークン」という)も売買させてもよい。その投稿された役務内容を閲覧した他のユーザが当該投稿者に期待して当該投稿者自身のマイトークンを購入することにより、変動相場でのマイトークンの価格が高騰する。この場合に、投稿者の所得の一部を、マイトークン購入者に購入量に応じた割合で配当してもよい。このマイトークンは、マルチ役務DAO65内で発行してもよいが、マイトークンを発行・流通させる専門業者がユーザに対し発行したマイトークンとリンクさせ、その専門業者発行のマイトークンをマルチ役務DAO65のユーザが売買できるようにしてもよい。マイトークンを発行・流通させる専門業者としては、株式会社VALU等の会社である。

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