はじめに
ソフトウェア開発の現場で、「Docker」や「コンテナ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。「開発環境の共有が簡単になる」「ローカル環境を汚さずに開発できる」といった話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな便利なコンテナ技術の基本的な概念から、実際の活用まで、わかりやすく解説していきます。
コンテナとは
コンテナの基本概念
コンテナとは、アプリケーションの実行に必要な環境を、独立した一つのパッケージとして扱う仮想化技術です。その特徴は、環境を問わずアプリケーションの実行環境を自由に持ち運べることにあります。
具体的には、コンテナエンジンを介して、OSの基本環境(カーネル)を複数のコンテナで共有します。これにより、以下のようなメリットが生まれます。
- 不要なリソースの削減
- アプリケーション実行環境の軽量パッケージ化
- 実行環境からの分離
仮想化=コンテナ化?
コンテナは仮想化技術の一種ではありますが、仮想化する=コンテナ化する訳ではありません。
ここでは詳しく言及しませんが、仮想化にはホスト型・ハイパーバイザー型・コンテナ型と主に三つの種類があり、コンテナはあくまでその一種となります。
コンテナはDockerやKubernetesなどのコンテナエンジンを用いて、アプリケーションを実行するための領域を複数に分割して利用するものです。
ざっくり他に比べての特徴をまとめるとシステム資源の負担は小さく、可搬性は高いが、OSは限られることが特徴になります。
コンテナを導入するにあたって
メリット
コンテナを利用することで得られる具体的なメリットには次のようなものがあります。
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リソースを効率的に使える
コンテナではゲストOSを必要としないため、システムリソースの消費を抑えることができ、処理も高速に行えます。
これにより、システム全体のリソース効率が向上し、運用コストの削減につながります。 -
移行しやすい
コンテナはハードウェア環境やOSに依存せず独立して動作するため、どの環境に移行しても一貫した動作を保証できます。
これにより環境構築や移行にかかる工数が大幅に削減され、開発からデプロイまでの工程が効率化され、より迅速なリリースサイクルの実現が可能になります。
デメリット
コンテナのデメリットとされる部分は次のようなものが挙げられます。
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ホストOSに依存する
コンテナはホストOSのカーネルを共有する設計となっているため、仮想マシンのように異なるOSを自由に選択することはできません。つまり、同一サーバー上でWindowsとLinuxを併用するような柔軟な環境構築は難しいです。 -
運用の複雑化
アプリケーションごとに独立した環境をコンテナとして細分化できることは大きな利点ですが、その反面、運用するコンテナの数が増加すると管理の複雑さも増していきます。
この課題はKubernetesなどコンテナオーケストレーションツールを使うことによってカバーしていく必要があります。
おわりに
コンテナ技術は現代のソフトウェア開発において、もはや必須と言える技術となっています。開発者だけでなく、インフラエンジニアにとっても重要なスキルの一つとなっています。
仮想化技術は初見では複雑に感じるかもしれませんが、Dockerのような身近なコンテナ技術から始めることで、徐々に理解を深めていくことができます。この記事が、皆さんのコンテナ技術への第一歩となれば幸いです。