概要
受託開発企業で働くfussasyといいます。普段は、SAP BTP(PaaS)上でSAP Fioriアプリケーション開発をしています。最近のSAP S/4HANA導入において、SAP S/4HANA Cloud Public Editionを選択される場面が多くなってきているように思えます。その中で、クラウド製品に対して、顧客が直接改善を提案可能なサービスがSAP社より提供されているとのことなので、情報整理をさせていただきました。
SAP Continuous Influenceの特徴について
SAP Continuous Influenceの説明ドキュメント
【SAP Continuous Influence for SAP S/4HANA Cloud Public Edition】
【PDFドキュメント:SAP Continuous Influence for SAP S/4HANA Cloud Public Edition】
https://help.sap.com/doc/fdd65c04def84724871f70fbdce9446b/1.0/en-US/SAP_Customer_Influence_for_SAP_S4HANA_Cloud_User_Documentation.pdf
SAP Continuous Influenceの特徴
SAP Continuous Influenceは、SAP製品の開発プロセスに顧客が継続的に参加し、改善提案を直接開発チームに届けることができるプログラムです。従来のSAP Customer Influenceプログラムが特定のプロジェクトやリリースにおける改善提案に焦点を当てていたのに対し、Continuous Influenceは製品ライフサイクル全体を通して顧客の声を取り入れることを目指しています。主な特徴については、以下の通りです。
- 継続的な改善提案:顧客はいつでも、製品に関する改善提案をSAP Continuous Influenceポータルを通じて提出できます。
- 直接的なフィードバック:提案は直接開発チームに届き、評価・検討されます。
- 透明性:提案のステータスや進捗状況はポータル上で確認でき、顧客は開発プロセスへの関与を実感できます。
- コミュニティ:顧客同士が意見交換や投票を通じて、提案の優先順位付けや改善内容の具体化に貢献できます。
SAP Continuous Influenceは、顧客の声を製品開発に反映させることで、顧客満足度の向上と製品の競争力強化を目指しています。顧客は、自らのニーズや要望を直接開発チームに伝え、製品の進化に貢献できる貴重な機会を得ることができます。SAP S/4HANA Cloudなどのクラウド製品では、Continuous Influenceを通じて顧客の声を迅速に取り入れ、継続的な機能改善や新機能開発につなげることが重要視されています。
SAP Continuous Influenceのメリット・デメリットと費用について
SAP Continuous InfluenceはSAP S/4HANA Cloudなどのクラウド製品を対象としています。
SAP Continuous Influenceのメリット・デメリット
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メリット
・顧客の声を製品開発に直接反映できる。
・製品に対する愛着やロイヤリティが高まる。
・製品改善のスピードが向上する。
・顧客満足度が向上する。 -
デメリット
・提案が必ずしも採用されるとは限らない。
・提案内容によっては時間がかかる場合がある。
・顧客側の積極的な参加が必要。
SAP Continuous Influenceの費用
SAP Continuous Influenceの利用は、原則無料です。ただし、一部の機能やサービスについては、追加料金が発生する場合もあります。
SAP Continuous Influenceのユースケースについて
SAP Continuous Influenceを利用する機会のうち、代表的なものを以下に挙げます。
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特定機能の改善提案
既存機能の使い勝手向上:特定画面のUI改善、操作手順の簡素化、エラーメッセージの分かりやすさ向上など。
新機能の追加要望: 特定業務に対応する機能の追加、レポート出力項目の拡充、外部システムとの連携機能強化など。 -
業務プロセス改善提案
特定業務フローの効率化:承認プロセスの簡素化、データ入力作業の自動化、業務関連情報の可視化向上など。
新しい業務シナリオへの対応:法改正や市場変化に対応するための機能追加や業務フロー変更など。 -
その他提案
パフォーマンス改善:システム処理速度の向上、大量データ処理時の安定性向上など。
セキュリティ強化:アクセス制御の強化、脆弱性対策など。
ユーザビリティ向上:多言語対応、アクセシビリティ向上など。
例えば、SAP S/4HANA Cloudであれば、請求書処理の自動化機能改善、在庫管理画面のUI改善、新しい会計基準への対応といったものが考えられます。
おわりに
SAP Continuous Influenceは、顧客とSAPが共に製品を進化させていくための強力なツールです。顧客は積極的に活用することで、自社の業務効率向上や競争力強化に貢献することができます。
私自身は直接的に利用する機会は少ない気もしますが、SAPシステム導入のお仕事をしている以上、SAPが提供するサービスについては各々しっかりと把握しておきたいものですね。