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ITコンサルタントの業務・ITコンサルティング用語を簡潔にまとめる

Last updated at Posted at 2023-09-21

概要

受託開発企業で働く@fussasyです。普段は、SAPのクラウド環境上でアプリケーション開発をしています。役割としてはコーディングを含む、システムエンジニア領域を担当することが多いです。縁あって、某外資系コンサルティングファームにサブコン(ITコンサルタント)として、新規システム開発案件に企画から参画しました。SIer文化に慣れた自分にとって、コンサルティングファームでの仕事の進め方には若干戸惑いつつも、マネージャーからコンサルタントとしてのイロハを教えていただきました。また、コンサルティングファームで働いていると、コンサルティング業界ならではの用語が飛び交うことがあります。仕事をする以上、業界用語を知らないでは済まされないため、毎回意味や派生語を調べていました。これらを備忘録として残します。

ITコンサルタントの業務

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ITコンサルタントの専門は多岐に及びます。IT企画戦略、ERP(Enterprise Resource Planning (企業資源計画))、CRM(Enterprise Resource Planning(企業資源計画))、SCM(Supply Chain Management(サプライチェーン管理))、PMO(Project Management Office(プロジェクト管理オフィス))などがあります。ERP・CRM・SCMは業務分析・改善を伴うので、業務コンサルタントとも呼ばれます。他に、SAP、Microsoft、Salesforceなどの各ソリューションを専門領域とするITコンサルタントもいます。

一般的に、ITコンサルタントの業務はPDリードとデリバリー管理の2種類となりますが、プロジェクトによってはエンジニアやデータサイエンティスト等の職種の仕事(設計開発やデータ分析、組織経営活動や自社プロダクト企画等)を行うこともあります。

PD(Project Development)リード

プロジェクトの提案から受注までの活動を指します。具体的には、クライアントに対して提案書を作成し、営業活動を行い、案件の獲得を目指します。PDリードでは、提案書作成や営業活動のリードを担当します。

デリバリー管理

プロジェクトの実行フェーズを指します。プロジェクトの進行管理やクライアントとの合意形成、資料の作成などを担当します。デリバリーでは、プロジェクトの進捗や成果物の品質管理も行います。

ITコンサルティング用語

コンサルティング業界のうちITコンサルタント領域で利用される頻度の多い用語を列挙します。SIer業界でも利用されるものは汎用的用語であるとして、記載を割愛します。

PD(Project Development)・デリバリー

コンサルティング業界では、提案から受注までの活動を「PD(Project Development)」と呼び、提案により勝ち取ったプロジェクトを実行することを「デリバリー」と呼びます。

Delivery型・Sales型

Delivery型は、プロジェクト実行部隊で成果物を作成していくタイプの人です。課題の抽出や構造化することや、Excel・PowerPoint等で資料を作成し、クライアントに報告・提供します。一方、Sales型は、自身の社内外人脈を活用して、クライアントを獲得します。プロジェクト期間中は、クライアントとの接点業務が多くなり、クレームがあった際の対応も含まれます。
若手のビジネスパーソンがコンサルファームに入ると、Delivery型の仕事を期待されることが多くなるようです。案件はあるがDeliveryできる人が足りないとこいうことは、コンサルティングファームでは起こりがちなため、Delivery型の人材は需要が高くなりがちです。Sales型の人は、バックグランドも事業会社やコンサルティングファームで長く経験を積んでいるビジネス経験が豊富なシニア層が多いようです。一般的に若手の間はDelivery型で成長し、時間が経つにつれて、Sales型に移行していくという人が多くなるようです。

インダストリー軸・コンピテンス軸

インダストリー軸とは、各コンサルティングファームが得意とする産業や業界のことを指します。一方、コンピテンス軸は、各コンサルティングファームが得意とする業務やスキルのことを指します。例えば、戦略策定やプロジェクトマネジメントなどがコンピテンス軸にあたります。
インダストリー軸で分けられることをインダストリーカット、コンピテンス軸で分けられることをソリューションカットと呼んだりもするみたいです。(提供するサービスやソリューションの範囲を限定する意味)

ワンプール制

ソリューションカット、またはインダストリーカットでの部署がなく、まずは社員全員が同組織に所属して、各プロジェクトにアサインされていくという体制です。ベイカレント・コンサルティングが採用していることで有名です。
※ベイカレントのスピンアウト(またはクローンと呼ばれる)コンサルティングファームである、ライズ・コンサルティンググループ、ビジョン・コンサルティング、ノースサンド、Dirbato(ディルバード)もワンプール制を採用しています。

Pros・Cons(プロコン)

Pros(メリット・賛成意見)、Cons(デメリット・反対意見)を合わせてプロコンと呼ばれます。比較すべきという前提の上で「メリットとデメリット」、もしくは「賛成意見と反対意見」を表します。何かしらの比較・検討・選定の際には、プロコンを示したスライド資料が必要です。

タッチポイント

接点のことです。プロジェクト内部メンバーで会議設定する際、インターナル・タッチポイントみたいに使われています。

コンサルティングサービス・アセスメントサービス

「何が課題で何を改善し、何に取組んでいけばよいか」をゼロからヒアリングし、改善提案までしてくれるのが、コンサルティングサービスです。一方ゼロから進めていくというよりも、定まっているツールやサービスの評価や分析をすることが、アセスメントサービスです。

クライアント・アカウント

例えば、ある企業を顧客としたAプロジェクト~Eプロジェクトでそれぞれ対面する顧客をクライアントと呼び、その集合である顧客企業をアカウントと呼ぶことが多いです。

会計・ロジ・人事

業務コンサルティング区分です。ERP(Enterprise Resource Planning)という、企業の基幹業務に関するシステムをひとまとめにした製品を提供している、世界シェアNo.1のSAP(エスエーピー)社からきています。SAP ERP では、大きく分けて会計系、ロジスティクス系、人事系に分けられることが多いため、SAPに限らない製品(Oracle等)を導入する場合でも、このような区分で分けられているようです。
・会計系:財務会計、管理会計、プロジェクト管理
・ロジ系:販売管理、在庫調達管理、生産管理、品質管理
・人事系:人事管理

タスクフォースチーム・プロジェクトチーム

タスクフォース(Task force)とは組織内部で緊急性の高い問題の解決や企画の開発などを行うために一時的に構成された組織のことで、特別な役割を一時的に担う、もしくはその一時的役割を担うメンバー全体を指します。一般的にタスクフォースのメンバーは、組織内の各部署から抜擢によって選出されます。タスクフォースのほうがより緊急性の高い要件のためのチームという意味を持っていましたが、近年では問題の解決や課題の達成を目的とする「プロジェクトチーム」も「タスクフォース」とほぼ同義に用いられています。

ビジー・プアー

スライドの情報量について指しています。PowerPoinr資料を作成して報告した時に、ビジーと言われたら1スライドの情報が多すぎ、プアーと言われたら反対に情報が少なすぎ、ということです。

must-have・nice-to-have

must-haveの意味は「必須の」や「なくてはならない」という意味で、nice-to-haveの意味は「あるとよい」や「あると助かる」という意味です。

ベストエフォート

完成までには至らないが、最大限の努力で取り組むことです。主に外部要因などで完成は難しいものの、成果物の形にしなければいけない状況の時に使うことが多いです。

コストドライバー

コストドライバーとは“コストを最も大きく左右する要素”を指します。具体的には、素材やサイズ、サプライヤーの所在国、納期などが挙げられます。

レギュレーション

「規則・禁止事項」です。

PMOとPGMOの違い

プロジェクト管理におけるPMO(Project Management Office)とPGMO(Program Management Office)は、両方ともプロジェクトの管理や運営を支援する組織ですが、その役割や規模に違いがあります。
PMOはプロジェクトの実行や管理、監視などを担当する部署であり、プロジェクトの成功に向けて必要な情報や資源を提供することが主な役割です。また、プロジェクトの進捗状況やリスクの管理、品質管理、コスト管理なども行います。
一方、PGMOは複数のプロジェクトを統合管理するための組織であり、プログラム全体の成功に向けて活動することが目的です。PGMOは、プロジェクトの優先順位付け、リソースの配分、プロジェクト間の相互依存性の管理などを行います。PGMOは、プロジェクトのポートフォリオ全体を管理し、プログラムの成果を最適化するために戦略的な意思決定を行います。
PMOとPGMOは、プロジェクトの管理や運営を支援する部署であり、その役割には違いがあります。PMOは、プロジェクトの実行や管理、監視に焦点を当て、PGMOはプログラム全体の成功に向けて戦略的に活動します。どちらの組織も、プロジェクト管理に欠かせない存在であり、プロジェクトの成果を最大化するために重要な役割を果たしています。

マジックナンバーの法則

マジックナンバー7とマジックナンバー3は、認知心理学における法則です。

  • マジックナンバー7(The Magic Number Seven) は、人間の短期記憶の容量に関する法則です。この法則によれば、人間の短期記憶には約7つの情報要素を同時に保持する能力があるとされています。このため、例えば電話番号が7桁である理由や、メモリや情報処理の設計において7を基準とすることがあります。
  • マジックナンバー3(The Magic Number Three) は、人間の認知能力に関する法則です。この法則によれば、人間は3つの情報要素を同時に認識するのが容易であるとされています。このため、例えばリストやスライドの項目数を3つにまとめることで、情報の理解や記憶に効果的に働くことがあります。

PoCとCRPの違い

PoC(Proof of Concept) と、CRP(Conference Room Pilot) は、両方ともプロジェクトやシステムの試験的な実施を指す用語ですが、その目的や範囲には違いがあります。

  • PoC(Proof of Concept) は、新しいアイディアや技術の有効性や実現可能性を検証するために行われる実験的な試みです。PoCでは、アイディアや技術のコンセプトを証明するために、限定的なスコープで実際のソリューションやプロトタイプを開発します。PoCは、アイディアの検証やリスクの評価、投資の判断などに活用されます。
  • CRP(Conference Room Pilot) は、実際のユーザーが関与する前に、システムの機能やパフォーマンスをテストするために行われる試験的な実施です。CRPでは、システムを限定的な範囲で運用し、ユーザーのフィードバックや問題の特定、運用上の課題の洗い出しを行います。CRPは、システムの品質やユーザビリティの確認、運用上のリスクの特定などに活用されます。

PoCとCRPは、どちらもプロジェクトやシステムの試験的な実施を目的としていますが、PoCはアイディアや技術の検証に重点を置き、CRPはシステムの機能やパフォーマンスのテストに重点を置いています。

その他コンサルティング俗語

他に、以下で語られている俗語を使いこなせると、ラフな会話でも意味を理解できます。

余談:コンサル戦士配下でサブコンとして働いた感想

私は新卒からSIer業界で過ごし、クライアントワークで生活をしています。そんな人間が、コンサルティングファームで仕事をして、仕事面において良い意味で特に異なると感じた点は、クライアントに対する期待値コントロールが非常に上手なところにあります。

優秀なコンサルタントは、プロジェクトの始まりから終わりまで戦略を持って、クライアントへの情報提供タイミングと情報提供量(説明資料・伝え方)を適切に調整しています。各回の会議でも議論が白熱し発散することも少ないため、クライアントが過度な期待を持つことが少ないです。そのため、クライアントが持つ期待値に達した成果物を納品、期待に応える続けることで、クライアントとの良好な関係構築を進めています。

SIerでは実際のモノを設計・開発することが主な役割となりますので、これらの工程はSIer経験者の方が、高い解像度で理解しているものの、プロジェクト発案・推進のための利害関係者との関係構築スキルの成長は、コンサルティング業界で過ごした方が良いものを得られると思いました。

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