概要
受託開発企業で働くfussasyといいます。SAPシステム導入に仕事として携わっているため、普段から様々な情報媒体より最新情報を仕入れています。その中の一つにはSAP Japanの公式Youtubeチャンネルも含まれます。そこではSAP Japan社から、過去のセミナー動画を含めた様々な情報が提供されています。昨年度に開催されたものですが、「ALM Summit Japan 2023」の動画について、公開されていましたので紹介します。
SAP Cloud ALMについて
SAP Cloud ALMは、SAPのクラウドソリューション向けに提供される、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)のためのクラウドベースのプラットフォームです。SAP S/4HANA Cloudなどのクラウドソリューションの導入、運用、保守を効率化し、システムの安定稼働とビジネス価値の最大化を支援します。主な機能は以下の通りです。
- 導入支援
プロジェクト管理、タスク管理、設定ガイドなど、導入プロジェクトを効率的に進めるための機能を提供
ベストプラクティスに基づいた導入テンプレートやガイドを提供し、導入期間の短縮とリスク軽減を支援 - 運用監視
システムの稼働状況、パフォーマンス、セキュリティなどをリアルタイムに監視
異常検知やアラート通知機能により、問題発生を早期に把握し、迅速な対応を可能に - 保守管理
インシデント管理、変更管理、テスト管理など、システムの変更や問題解決を効率的に管理
影響分析や自動テスト機能により、変更によるリスクを最小化し、システムの安定稼働を維持 - 継続的改善
ビジネスプロセス分析、システム利用状況分析など、システムの改善点を継続的に把握
改善提案や自動化機能により、業務効率向上やシステム最適化を促進
主な活用メリットについては、以下の通りです。
- クラウドネイティブ:クラウド環境に最適化された設計で、迅速な導入とスケーラビリティを実現
統合プラットフォーム:導入から運用、保守まで、ライフサイクル全体を統合管理 - AI活用:AI技術を活用した自動化やインテリジェントな分析機能を提供
費用対効果:従来のオンプレミス型ALMツールと比較して、導入・運用コストを削減
主な活用シーンについては、以下の通りです。
- SAP S/4HANA Cloudなどのクラウドソリューションの導入・運用・保守
- ビジネスプロセスの可視化と改善
- システムパフォーマンスの監視と最適化
- IT運用管理の効率化と自動化
SAP Cloud ALMは、SAPクラウドソリューションのライフサイクル全体を効率的に管理し、ビジネス価値を最大化するための強力なツールです。クラウドネイティブな設計、AI活用、統合プラットフォームなどの特徴により、企業のデジタルトランスフォーメーションを強力に支援します。SAP Cloud ALMは、SAP S/4HANA Cloud以外にも、SAP SuccessFactors、SAP Ariba、SAP Concurなどのクラウドソリューションに対応しています。SAP Cloud ALMは、継続的に機能が強化されており、最新情報はSAPの公式サイトで確認できます。
ALM Summit Japan 2023の動画一覧
ALM Summit Japan 2023 Day 1-1_DX サイクルに適応するための SAP ALM とその価値
ALM Summit Japan 2023 Day 1-2_SAP クラウド製品に対するシステム運用の深化
ALM Summit Japan 2023 Day 1-3_業務プロセス監視を用いた業務継続性への効果
ALM Summit Japan 2023 Day 1-4_SAP サポートサービスの効果的な管理手法とその将来
ALM Summit Japan 2023 Day 2-1_Hybrid Operation における CALM の位置づけ
ALM Summit Japan 2023 Day 2-2_Intelligent Enterprise の導入シーンにおける CALM の利活用と新機能
ALM Summit Japan 2023 Day 2-3_SAP クラウドにおける移送管理の今と今後のロードマップ
ALM Summit Japan 2023 Day 2-4_SAP オンプレミス環境を含む大規模システムの一元監視
SAP Solution Manager、SAP Focused Run、SAP Cloud ALMの比較について
以下、ALM Summit Japan 2023で触れられていた内容になります。SAP Cloud ALMの前製品となるSAP Solution Managerと、SAP Cloud ALMより充実した機能をもつSAP Focused Runとの比較です。
プラットフォーム名 | SAP Solution Manager | SAP Focused Run | SAP Cloud ALM |
---|---|---|---|
ライセンスと費用 | SAP Enterprise Support 契約に含まれる。 Rise with SAP 契約には含まれない。 |
SAPグローバル価格表に基づいて販売 SAP Cloud ALM、SAP Solution Managerと比較して高機能な監視機能を提供 |
SAP Enterprise Support、SAP Enterprise Support, cloud editions 契約に含まれる。無償利用が可能(上限設定あり) |
対応環境 | オンプレミス、クラウド製品に対応 オンプレミス製品に対する管理機能に強みを持つ |
サービスプロバイダを主ターゲットとして機能設計 監視に対して複雑な要件がある、あるいは大規模なランドスケープを持つ場合の監視に強みを持つ |
クラウド製品を中心に必要なALM機能群を提供 オンプレミス製品の対応範囲も並行して拡大中(一部提供見合わせあり) |
その他 | メインストリームメンテナンスが2027年に終了 (カスタマスペシフィックメンテナンスは2030年) |
オンプレミス、クラウド製品に対応 | アプリケーションやシステムの運用は標準機能に準拠し、利用までの設定期間や管理コストを最大限に抑えることが可能 |
ユースケース | - | インストール型の高可用性と冗長化構成 | クラウド環境におけるALM業務を標準化 (オンプレミスの監視機能) アプリケーションやシステムの運用管理を導入・実装から運用・サポートまで包括的に支援 |
また、SAP Focused RunとSAP Cloud ALMにより着目した比較は以下の通りとなります。
項目 | SAP Cloud ALM | SAP Focused Run |
---|---|---|
利用対象ユーザ | 業務・ITユーザ支援 | ITユーザ専門家 |
監視カバレッジ | 業務プロセス/システム監視 | システム監視 |
オンプレミス環境への適応 | 制約付きシステム監視 | システム監視系フルコンテンツ (RCA, EWAなど) |
対象システム規模 | サイズ: M~L | サイズ: L~XL |
監視データボリューム規模 | サイズ: M | サイズ: L |
対象ランドスケープ | クラウド中心型 | ハイブリッド・ランドスケープ |
監視データ抽出手法 | エージェントレス(API) | エージェントベース |
カスタマ規模 | 複数カスタマ想定外 | 複数カスタマ管理可 |
分析ツール | 外部連携要 | 組込型 & 外部連携可 |
運用自動化 | 外部連携要 | 組込型 |
イベント&アラート管理 | 監視機能とは分散 | 監視機能と統合 |
おわりに
SAP Japanの公式チャンネルです。情報収集手段の一つとして活用してみると良いでしょう!