前置き
正直に答えてください。
あなたが1日に集中してプログラムを書ける時間の長さは?
12時間?11時間?9時間?
はい。
あなたはスーパープログラマーです。人間を超越していると言ってもいい。このポエムはなんの役にも立たないのでさっさとエディタに戻って人類の未来に貢献してください。
8時間?7時間?6時間?
本当?
すごい。ほんとうにすごい。引き続き頑張ってください。きっとあなたはコードに選ばれた人です。
しかしあなたにもこのポエムは役に立ちません。
そっとブラウザのタブを閉じて頂ければと思います。
4時間?3時間?
はい。ようやくめぐりあえましたね。あなたのような方をお待ちしておりました。
こんなに集中していられる時間が短いなんて、問題があるのでは、、とお考えかもしれません。
後ろめたい気持ちにとらわれることがあるかもしれません。
その気持ちを埋め合わせるために、終電間際まで仕事し
「ああ、今日もよく頑張った。結局スケジュール通りには進まなかったけど..」
なんて生活を繰り返していたりしないでしょうか。
しかし、それは誤りです。
Joelさんもおっしゃっております。
私は最初の仕事以来、開発者としての自分が生産的にコーディングするのは平均して1日に2、3時間だということを認識していた。
[射撃しつつ前進]より抜粋
http://japanese.joelonsoftware.com/Articles/FireAndMotion.html
ここだけの話、私がコードに没頭していられる時間は、最大でも3時間程度です。
オフィスのホワイトノイズを背景に、集中した状態「ゾーン」に入る。
カタカタカタ...気がつけばお昼過ぎには1日の成果が既に出ている。。。
しかし、ゾーンに入れない日もあります。いや、入れない日の方が圧倒的に多いと言ってよい。
ここは現実から目を背けてはなりません。ゾーンに入るのは容易な事ではないのです。
現実を見つめる
現実に立脚しない作戦は、立てた時点で既に失敗が約束されています。
だからこそ現状をしっかりと認識することが大事です。
わかっている事実は以下です。
- ゾーンに居られる時間は短い
- ゾーンに居る時の生産性は、少なく見積もっても通常の3倍にのぼる
- 1日の大半は集中力が欠如した状態である
- 集中力が欠如した状態時の生産性は、少なく見積もっても通常の3分の1である
どうでしょうか?
思い当たるフシがあるのではないでしょうか。
集中している時としていない時で生産性に実に9倍もの差があることになります。
しかもこれは、少なく見積もって、です。
だからこそ意識的に自分をゾーンに入れるための作戦が必要になります。
ゾーンに入るために
ようやく本題です。
私がそれなりに長くコードを書いてきて得た、ゾーンに入るための知恵をおすそ分けします。
オフィスに着いたら即コードを書き始める
我々はプログラマーです。プログラマーの武器はエディタです。
オフィスに着いて着座したら即エディタを起動し、コードを書き始めます。とにかく始めることです。
間違ってもメーラーやSlackを起動してはいけません。
できたらmesssengerやLINEもミュートします。
FacebookやInstagramも後回しです。
それらは我々の武器ではありません。ゾーンに入るために必要な時間をフラグメント化しとっちらかし、二度と戻らないようバラバラにするものです。
もちろん我々はチームで仕事しているので、コミュニケーションはおろそかにできません。
しかし考えてみてください。メールもSlackも非同期コミュニケーションのためのツールです。
同期的なコミュニケーションならば、対面や電話があります。MTGでもいい。
しかし非同期的なコミュニケーションは発明され、順調に発展してきました。
それがなぜなのか、よく考えてみるべきです。
マルチタスクが得意なPCですら、コンテキストスイッチにはCPU速度に比較すれば、莫大なコストがかかります。ましてや生身の人間をや、です。
割り込みがいくらあっても、生産性は変わらないというフリはもうやめましょう。
まず、コードを書き始める。ここがスタートラインです。
コミュニケーションは集中力が切れてからでもできるタスクです。後回しにしましょう。
当日の作業内容は前日のうちに決める
これもオフィスに着いてからあれこれ悩まないための方策です。
私が新米の頃、よく上司に
「段取り半分」
と言われておりました。まったくその通りです。
計画のないところに成功はありません。
1日の終わりにその日のダメだった点を検証して翌日に生かすのです。
あ〜〜今日もダメだった〜〜で終わってはいけません。
PDCAのCHECKです。
作業終了時間を決めて厳守する
夏休みの宿題、ちゃんと毎日やってましたか?
私は31日にまとめてやるタイプでした。まあこれ自体はダメな例なんですが、特筆すべきは31日の集中力です。
もう後がない、と意識することがゾーンへの扉を押し開きます。
そのためにはこれ以上、延ばさないという、断固たる意志を持って終了時間を決めるべきです。
人によってはこれを「終電時間」にしちゃったりするようですが、これは愚策です。
一見、もう延ばせない期限という意味では適切なようですが、とてもとても重要な要素を見落としています。
それが、「睡眠時間」です。
当たり前のことなのに軽視されがちな要素、「睡眠時間」。
ゾーンに入ることは重労働です。パワーが要ります。このパワーを得るためにしっかり休養するのです。
だらだらと勤務し睡眠時間を削っては、翌日もゾーンに入れないこと請け合いです。
今日からきっちり定時にあがって明日のゾーンを手に入れましょう。