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プロジェクト管理のエモいはなし

Last updated at Posted at 2017-06-18

前置き

私のキャリアは少し変わっています。
この業界に新卒で入ってから十数年は、大手ゼネコン的SIerにて、ほぼ一貫してプロジェクトマネジメントをやってきました。最終的には100人月程度の案件を回していたので、中堅クラスではあったと思います。それなりに経験も積んだとは思いますが、あれ、そもそも私って人の管理をやるためにIT業界に入ったんだっけ。。というレーゾンテートル的な理由で、プログラマーに転身しました。

そんなわけで、おそらく日本のIT業界におけるプログラマーから管理職に至るという一般的なキャリアパスを逆行している形になります。
そういった事情もあり、プロジェクト管理からは距離を置くようにしていたのですが、最近またプロジェクトマネジメントについて考える機会が多くなったので、この辺で昔話をしてみようと思います。
他山の石としてワカモノの役に立てば。

前提として

ガチガチのウォーターフォール型プロジェクトが大半でした。アジャイルではありません。顧客が居て、予算、期間が決まっています。プロジェクトメンバーはかき集められた外人部隊であることが多く、毎回チームビルディングから始めます。毎回積み上げます。賽の河原の石みたいなもんです。プロジェクト管理といっても範囲が広いので、ここではメンバー管理に絞ってみます。

常に正確な状況を把握できる状態にする

プロジェクト管理、メンバーマネジメントにおいて、一番重要なことはなにか?

私はリアルタイムな状況把握であると思っています。
なぜならば、プロジェクトに火がついたとして、もし現状認識に誤りがあれば、打ち手も誤りとなり、結果的に火は消えません。
富豪的なアプローチで戦力大量投入ができればいいのですが、プロジェクトマネジメントはお財布が決まっている戦い。リソースの大量消費は、赤字に直結であるため下策といえます。
よって適切な箇所に適切な量のサポートを送り込む必要があるわけですが、その適切を割り出すための根拠が、現状認識であるわけです。
ついでにいえば、打ち手が早ければ早いほど必要なリソースは少なくて済むのは誰もが実感していることだと思います。

ところが、幸か不幸か我々はエモい部分がある人間です。いいところは見せたいし、悪い部分は隠したい。別に隠す気はなくても、自分としてはなんの問題もない、ちょっぴり遅れてはいるけど明日には取り戻せると思っていることが、マネジメントする側からすれば、報告してよ~~な内容であることもあります。
このギャップを乗り越えるために、あの手この手を駆使し、メンバーとの信頼関係を構築し、仕事の愚痴にとどまらず、なんなら恋愛相談まで受けられるようにすることが、プロジェクト成功の大前提です。Nice To Haveではありません。Mustなのです。

これ、今風の言葉でいうと、心理的安全性の確保、というみたいですね。
Googleがプロジェクト・アリストテレスで実証したやつです。

我々はイチメンバーに至るまでこの業界でメシを食っているいわばプロなので、そんなメンタル面のサポートまでしなくても、全ての状況をリーダーが望む形で共有し、ベストパフォーマンスを発揮するべきだ、と言われればその通りです。が、それは正論ではありますが、現実的ではないと思います。なんにしろ、Googleのクライテリアを突破した超優秀でプロ中のプロみたいな人材でもメンタルが大事という結果が出ているわけです。いわんや雑多なステフリでこの世にクリエイトされ、なんの因果かIT業界の末端でめしくってる我々をや、です。
なんだかんだで狭い業界です。一度信頼関係を構築すれば、ここでないどこか、今ではないいつか、また助けてもらえるかもしれません。無駄なんて思わず、労力をを惜しまず、恋愛相談ができる関係を構築しましょう。

飲みに行く

でた!That's SHO-WAなノミニケーション!でもですね、これがやっぱり効くんです。酒の力を借りて普段話せないことをぶっちゃけてしまえば、もはや呉越同舟状態です。ちなみに、人数は少なければ少ないほどよく、マンツーマンがベストです。どんなに多くても5人が限度。それ以上では単なる飲み会と化します。もっと言えば、必ず奢るべきです。会社が経費支出してくれるとしても、あえての自腹。これを数回繰り返えすことにより、

「私は君を大事に思っている」

というメッセージを送り続けます。ポイントはそれが単なるポーズではなく、心の底からそう思っていることです。気持ち大事。

借りを作る

とはいえ今は平成の世。仕事の付き合いで飲みになんぞ行けるか、という若人も多いかと思います。運よく貸しを作る場面でも訪れれば一気に距離を縮めるチャンスですが、運に身をまかせていてはプロジェクトマネジメントとはいえません。そこであえて、逆転の発想でターゲットに借りに行きます。借りを作るのです。そしてこれはプロジェクトとは関係ないところで、もっといえばその彼が得意としている分野が望ましいです。たとえば、自転車が趣味の人に、フレームの選定を依頼するとか。カメラが趣味の人にレンズのオススメを聞くとか。パソコンが好きな彼に自作を依頼するとか。ささいなことでかまいません。ポイントは、相手にプロジェクトリーダーである自分に対してある一面での精神的優位を感じさせることです。優位があるから多少の失言は許されるという、精神的なスキを作ることです。スキは距離を縮めます。どんどんスキを作っていきましょう。

透明化する

進捗の報告があったとして、報告のみで現状を把握するのは無理があります。我々はシステムを作るのが仕事ですので、なんらかの成果物が現在進行形で作られつつあるはずです。それをなるべく短いスパンでチェックしていきます。今はコードをGitHub等で管理することもかなり一般的になりました。進捗は一目瞭然です。プルリク文化がないとしても、コミットに対して定期的にポジティブな(ポジティブであることが大事!)なフィードバックをしていれば、

「私は君の仕事に注目している、ひいては君を大事に思っている」

というメッセージを発信することができます。これに限らず、自分の行動がどういうメッセージを相手に発信しているかは、常に考えていなければなりません。もし仮に、「タスクがxx日遅れています」というフィードバックを受けた時に、報告を受けた相手によりますが、「スケジュールをキャッチアップできますか?」と聞くことは、暗に「面倒事を持ち込むな、自分でなんとかしろ」というメッセージを発信している可能性があります。自分でなんとかできるなら、そもそも報告していません。助けがほしいのです。少なくともせっかく報告を受けたのに、そのまま様子見はありえません。放置すれば「報告しても無駄」というメッセージを発していることになります。なにがしかの具体的なアクションを起こすべきです。もし思いつかないのであれば、あふれるであろうタスクをとりあえずはプロジェクトマネージャーである自分自身に一旦巻き取って、彼のプレッシャーを軽減することが、まずは第一ステップだと思います。

アラートを見逃さない

「なにか問題ありますか?」
「ありません。」

これは本当に問題がない状態なのでしょうか。私の経験からいえば、NOです。なぜならばプロジェクト、そして日々の業務に問題が発生しない日はないからです。ほおっておけば失敗する、それがプロジェクトです。逆説的ですが、問題が恒常的に発生するからこそ、プロジェクトマネージャーが必要であるともいえます。ようするに日々発生しているトラブルの種を種のまま、燃やさないことが、腕に見せ所だと思います。対外的には超ポジティブ、内面的には超ネガティブ、がプロジェクトマネージャーのあるべき姿なのかな、とも思っています。
仮に本当に問題がないとしても、

「プロジェクトマネージャーの禿頭が眩しすぎて問題です」

くらい言わせることが、健全なプロジェクト運営の秘訣と考えます。

まとめ

どうでしょうか。やりすぎでしょうか。メンバーに媚売りすぎでしょうか。
でもプロジェクトが炎上した時、一番困るのはプロジェクトマネージャーである自分です。またプロジェクトを赤にしてしまうと、自分自身そしてメンバーも計り知れないダメージを負うことがあります。メンバーを千尋の谷に突き落とし恐怖政治を敷く手もあるでしょうが、まずは目の前のプロジェクトを成功に導くために、打てる手はすべて打つべき、だと思います。

プロジェクトマネジメントの本も研修も世にあまたとあります。これが最善手だとは思っていません。現状に問題意識を持ち、学び続け、自分にあったやり方を身に着けることが、プロジェクトにかかわるメンバーを不幸にしない道ではないかな、と思います。

実践大事!

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