【備忘録】PyQt5からPyQt6へのバージョンアップ

はじめに

LinuxやPython界隈ではバージョンアップでハマることが多いですね。ラズパイStretchでPython3.5のコードを使っていましたが、アップグレードやらなにやらしているうちに、USBに繋いだArduinoを認識しなくなり、仕方なしにBookwormを再インストールしたら、仮想環境でないとPythonが使えなくなっていたり、Python3.5にライブラリがpip installできなくなっていたり・・・numpyすら入らなかったです。Cythonのバージョンを下げても何してもダメでした。私の力量不足ですが。
そこで、いっそのことPython3.5で書かれたコードをBookwormで標準のPython3.12へ書き換えることに。PyQt5もpip installできず、PyQt6にバージョンアップすることになりました。PyQt5とPyQt6であまり変更はないという話がちらほらありますが、実際は結構違うように思います。備忘録的に変更点を記します。

準備

2024年時点で最新のRaspberry Pi osはBookworm。Raspberry Pi 3Bでも問題なく使える。ラズパイに限らず、Bookwormだと仮想環境でないとpipが使えないようになった模様。

OSアップデート

sudo apt update
sudo apt upgrade
sudo reboot now

仮想環境セットアップ

cd
python3 -m venv python3.12

仮想環境に入る際は

source python3.12/bin/activate

プロンプトの前に(python3.12)と付くので仮想環境に入ったことが確認できる。

仮想環境を終了するときは

deactivate

で終了する。

PyQt6のインストール

source python3.12/bin/activate
pip install PyQt6

PyQt5とPyQt6の変更点

インポート

あまり差はない。5を6に。

PyQt5

import sys
from PyQt5 import QtCore, QtGui, QtWidgets
from PyQt5.QtWidgets import QMainWindow, QApplication, QFileDialog

PyQt6

import sys
from PyQt6 import QtCore, QtGui, QtWidgets
from PyQt6.QtWidgets import QMainWindow, QApplication, QFileDialog

.exec_() → .exec()

.exec_()とアンダーバーが付いている箇所からアンダーバーを取る。

PyQt5

app = QtWidgets.QApplication(sys.argv)
sys.exit(app.exec_())

PyQt6

app = QtWidgets.QApplication(sys.argv)
sys.exit(app.exec())

その他

属性（attribute）エラーがでるので

PyQt5

tabWidget = QtWidgets.QTabWidget(self.centralwidget)
tabWidget.setFocusPolicy(QtCore.Qt.TabFocus)
tabWidget.setTabPosition(QtWidgets.QTabWidget.North)
tabWidget.setTabShape(QtWidgets.QTabWidget.Triangular)

PyQt6

tabWidget = QtWidgets.QTabWidget(self.centralwidget)
tabWidget.setFocusPolicy(QtCore.Qt.FocusPolicy.TabFocus)
tabWidget.setTabPosition(QtWidgets.QTabWidget.TabPosition.North)
tabWidget.setTabShape(QtWidgets.QTabWidget.TabShape.Triangular)

こんな感じで書き換えていく。
変更点がありすぎて網羅することは難しいが、例えばPyQt5でQt.AlignCenterだとattribute errorとなる。そんな時はQt公式で、"Qt.AlignCenter"を検索。
Qt::AlignCenterの項で、項目名としてenum Qt::AlignmentFlagとあり、
PyQt6では、Qt.AlignmentFlag.AlignCenterとなる。

その他、継承元の変更もあり、QactionがQtWidgetsからQtGuiに移動。

PyQt5

QtWidgets.QAction()

PyQt6

QtGui.QAction()

下記によると、他にもあるようだ。
https://help.autodesk.com/view/MAYADEV/2025/JPN/?guid=Qt6Migration

余談

シリンジポンプ（3連）を自作していて、Poseidonを使っていました。なぜUSB接続のArduinoが認識されなくなったか全くの謎ですが、OS再インストールでUSB認識が復活し、PythonコードもPython3.5（PyQt5）からPython3.12（PyQt6）に書き換えられ、無事、ステッピングモーターが動きました。Poseidonにはカメラを使う機能があり、私はカメラを使わないのですが、もし使うとしたらOpenCVがバージョンアップしているので結構苦労しそうですね。