Microsoft Power Platform CoEスタートキットの概要と導入方法
目次
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Microsoft Power Platform CoEスタートキットの概要とキット導入により利用できるアプリ機能の紹介
1.1. Microsoft Power Platform Center of Excellence(CoE)とは
1.2. Microsoft Power Platform CoEスタートキットとは
1.3. Microsoft Power Platform CoEスタートキットのアプリ機能の紹介 -
[本番環境]Microsoft Power Platform CoEスタートキットのインポート手順
2.1. 事前に必要な準備
2.2. Microsoft Power Platform CoEスタートキットのインポート -
[本番環境]Microsoft Power Platform CoEスタートキットのセットアップと追加設定
3.1. Microsoft Power Platform CoEスタートキットのセットアップ手順
3.2. セットアップ後に行う追加設定
3.2.1. 容量アラートと歓迎メール設定
3.2.2. 環境要求管理の設定 -
補足資料
4.1. App Catalogアプリ上にアプリを一覧表示させる手順
4.2. 個人開発環境でMicrosoft Power Platform CoEスタートキットを導入する場合に必要な設定
4.2.1. 特定のフローを有効化する設定
4.2.2. Power Appsの試用版ライセンスの取得
1. Microsoft Power Platform CoEスタートキットの概要とキット導入により利用できるアプリ機能の紹介
1.1. Microsoft Power Platform Center of Excellence(CoE)とは
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Microsoft Power Platform Center of Excellence(CoE)は、組織内でMicrosoft Power Platformを効果的に活用する取り組みまたはそのための専門チームのことです。
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CoEは、組織内のPower Platformの導入、展開、管理、および最適化を支援する役割を果たします。具体的には、以下のような活動を行います:
- ガバナンスの確立:Power Platformの使用ポリシーやガイドラインを策定し、組織全体での一貫性を確保します。セキュリティやコンプライアンスの観点からも重要な役割を果たします。
- スキルの育成:Power Platformのトレーニングや教育プログラムを提供し、組織内のユーザーがツールを効果的に活用できるよう支援します。
- ベストプラクティスの共有:Power Platformの導入や開発におけるベストプラクティスを共有し、組織内のプロジェクトやチームが成功するための支援を行います。
- ソリューションの開発:組織内のニーズに合わせたカスタムアプリケーションやワークフローの開発を支援します。また、Power Platformのエキスパートとして、問題解決やコンサルティングを提供することもあります。
1.2. Microsoft Power Platform CoEスタートキットとは
- Power Apps、Power Automate及びPower virtual AgentsにフォーカスしたCoEの導入を支援するためのリソースやツールのセットです。このスタートキットは、組織がPower PlatformのCoEを効果的に立ち上げ、運営するためのガイダンスやテンプレートを提供します。
- スタートキットの導入はあくまでCoEの最終目標を達成するための最初のステップであるため、組織内の全要件を満たすためにはそれに応じた設定が必要となります。
1.3. Microsoft Power Platform CoEスタートキットのアプリ機能の紹介
Microsoft Power platform CoEスタートキットを導入することで利用できるアプリ機能について紹介します。
Power Platform Admin Viewアプリ
- 作成したアプリ、フローや環境等の全てのデータを集約し、一元管理できるアプリです。
- ダッシュボードと表示されているグループ画面ではテーブルだけでなく、グラフのようなビジュアルデータにより、視覚的に情報を得ることができます。
- ダッシュボード以外のグループ画面ではアプリ、フローや環境といった種類別にデータテーブルが用意されています。
Set App Permissionsアプリ
- 環境内にいるユーザーに対して同環境内にあるキャンバスアプリの共有設定を行うことができるアプリです。これにより、ユーザーにそのアプリへのアクセス権限が付与されます。
- 共有設定を行う際、そのアプリに対してユーザーにどこまで権限を与えるかに応じて、任意のロールを選択を設定します。
- 共有済みのユーザーに対しては共有設定を削除することもできます。
環境内にあるアプリ一覧画面(チェック欄から共有したいアプリを選択)
ユーザーへの共有設定画面(上部:ユーザー選択、下部:ロール選択)
Set Flow Permissionsアプリ
- 環境内にいるユーザーに対して同環境内にある各フローに対して共有設定を行うことができるアプリです。これにより、ユーザーにそのフローへのアクセス権限が付与されます。
- Set App Permissionsアプリ同様、共有設定時にユーザーに対してロールの設定や共有設定済みユーザーに対しては共有設定の削除を行うことができます。
環境内にあるフロー一覧(チェック欄から共有したいフローを選択)
ユーザーへの共有設定画面(上部:ユーザー選択、下部:ロール選択)
App Catalogアプリ
- 共有されているアプリをカタログのように一覧で表示できるアプリです。
- カタログ上のアプリを選択すると、そのアプリについての詳細情報を見ることができます。
- 詳細画面では、環境、公開日や使用しているコネクタといった基本的な情報が分かりやすく閲覧できるようにデザインされており、またそのアプリに対して評価・レビューを付けることもできます。
- 本アプリ上にアプリを表示するには自分で設定する必要があります。
※設定方法については後述します。
Maker - Environment Request アプリ
- 環境の新規作成と承認申請ができるアプリです。
- 環境作成では、使用するコネクタ、管理者となるユーザー、環境名、環境の種類、使用する目的等を入力します。
- 設定完了後、自動的に環境の申請が行われます。
承認待ち環境の一覧画面(図中の赤枠から環境の新規作成を行う。)
CoE Admin Environment Request (preview)
- 申請された環境に対して承認アクションを行うアプリです。
- 承認する場合はApprove、否認する場合はRejectを選択します。
2. [本番環境]Microsoft Power Platform CoEスタートキットのインポート手順
本番環境を想定したMicrosoft Power Platform CoE(以下CoEと略す)スタートキットのインポート手順について説明します。
2.1. 事前に必要な準備
CoEスタートキットのインポートやこの後のセットアップの際には必要ないものもありますが、以下のものは本番環境で必要になりますのであらかじめ準備してください。
※各種登録や設定の仕方については本記事の本題ではないため割愛します。
Microsoft Entra ID (旧称 Azure Active Directory)
CoEスタートキットの管理者、編集者、ユーザー用の組織アカウントと各組織に所属するユーザーアカウントをあらかじめ用意してください。
CoEスタートキット設定のために必要なライセンス
- Microsoft Power Platform サービス管理者、グローバル テナント管理者、または Dynamics 365 サービス
- Microsoft 365 ライセンス
- 試用版ではないユーザーごとのPower Appsのライセンス
- 試用版ではないユーザーごとのPower Automateのライセンス、またはフローごとのライセンス
- REST APIが有効になっているOffice 365 メールボックスにアクセスできること
- Azureライセンス(Azureアプリ登録とAzure Data Lakeの設定)
※CoEスタートキット上でフローやアプリが10000以上超える場合に必要 - データエクスポートを使用する場合はユーザーごと、または容量ごとのPower BIプレミアムライセンス
- Power BIレポートを共有する場合はPower BI Proライセンス
2.2. Microsoft Power Platform CoEスタートキットのインポート
CoEスタートキット導入のために必要な2つのソリューションをインポートします。
- Power Apps管理センターにシステム管理者でログインします。
- 次の画面の右上にある環境(現在の環境名)を選択し、「環境を選択」から本番環境に変更します。
※画像では個人開発環境(dev環境)でCoEスタートキットのインポートを行っていますが、本番環境でも同じ手順でインポートを行います。
- 画面左メニューから「ソリューション」を押下します。
- 画面上部にある「ソリューションをインポート」を押下します。
- 選択後表示される「ソリューションのインポート」画面はそのまま待機させます。
- 次のリンクにアクセスし、「CreatorKitCore ソリューションをダウンロードします」からCreatorKitCore_XXXX_managed.zip をダウンロードします。
※XXXXはバージョン番号を表しています。
- 「ソリューションのインポート」画面にある参照を選択し、先程ダウンロードしたCreatorKitCore_XXXX_managed.zip をアップロードして次へを押下します。
- 表示内容を確認し、インポートを押下します。選択後、インポートが完了するまで待機します。
※注釈(背景色が薄い黄色の箇所)で既にインポートされている表示がある場合は、インポートしないでください。
- 画面左メニューからソリューションを押下します。
- ソリューション画面からマネージドを押下します。
- 画面に「Creator Kit」が表示されていることを確認できれば、一つ目のソリューションのインポート完了です。
- ソリューション画面から再度「ソリューションのインポート」を押下します。
- 次のリンクにアクセスし、「CoEスターターキット圧縮ファイルをコンピューターにダウンロードします。」からCoEStarterKit.zipをダウンロードし、展開します。
- 「ソリューションのインポート」画面にある参照を選択し、展開したフォルダからCenterOfExcellenceCoreComponents_xxxx_managed.zip をアップロードして次へを押下します。
※XXXXはバージョン番号を表しています。
- 「接続」画面が表示されますので、各コネクタに対して接続先を設定します。
- 「接続の選択」を押下し、「新しい接続」を選択します。
- 別タブに移動し、基本的には下記のようにコネクタ作成画面が表示されますので、右下の「作成」を押下します。
※しばらくしても画面に変化がなければ更新します。コネクタ作成画面が再度表示されますので、もう一度右下の「作成」を押下します。
- 選択後、アカウント確認画面が出た場合はシステム管理者のアカウントでサインインします。
- 作成完了後、「~の接続」という画面が表示されます。この中に設定したコネクタが表示されていれば成功となります。
- 作成後、「接続」画面のタブに戻ると「変更の適用」というダイアログが出ますので、「更新」を押下します。
- 更新後、「接続」画面で設定したコネクタのドロップリストが「接続の選択」からシステム管理者のアカウントアドレスに変化していることを確認します。
※「接続の選択」のままであれば、ドロップリストを開くとシステム管理者のアカウントアドレスが表示されますのでそれを選択してください。 - この作業をすべてのコネクタで行います。
※ 以下二つのコネクタの接続設定では少し異なる手順があります。
1. Power Automate 管理コネクタ
Power Automate管理コネクタの接続設定では、認証の種類では「ファーストパーティ」を選択し、作成します。
2. HTTP witha Azue ADコネクタ
HTTP with Azure ADコネクタの接続設定では、直接接続にチェックし、二つのURL入力欄に https://graph.microsoft.com/ を入力して作成します。
- すべてのコネクタの設定が完了後、接続画面の下部にある「次へ」を選択できるようになるので押下します。
- ソリューションのインポート画面が表示され、いくつか設定項目がありますが、それらには何も入力せず、そのまま左下の「インポート」を押下し、インポート完了まで待機します。
- 画面左メニューからソリューションを押下します。
- ソリューション画面からマネージドを押下します。
- 画面に「Center of Excellence - Core Components」が表示されていることを確認します。
これでCoEスタートキットのインポート作業完了です。
3. [本番環境]Microsoft Power Platform CoEスタートキットのセットアップと追加設定
3.1. Microsoft Power Platform CoEスタートキットのセットアップ手順
CoEスタートキットのツールを利用できる状態にするためにセットアップを行います。
- インポート作業で最後に確認したソリューション画面上にある「Center of Excellence - Core Components」を押下します。
- 左のオブジェクトメニューからアプリを選択し、「CoE Setup and Upgrade Wizard」の三点メニュー(︙)、再生の順で押下します。
※このアプリを利用してCoEスタートキットのセットアップを行います。
- CoEスタートキットのセットアップを行うために設定者がPower Platformに対して管理者権限を持ち、また、十分なライセンスを持っているかをチェックする画面です。
- 本画面では特に設定するものはないので、そのまま「Next」を押下します。
- グループ設定を行う画面です。3つのブロックがあり、左から順に管理者、作成者、ユーザーのグループ設定です。
- 管理者グループの設定を行うために、「Configure group」を押下します。
- ドロップダウンリストからあらかじめ用意しておいた管理者組織アカウントを選択し、「Select Group」を押下します。
- 作成者グループとユーザーグループの設定も管理者グループの設定と同じように行い、完了後「Next」を押下します。
- CoEスタートキットを利用するために必須となる設定画面です。
- 各設定項目と設定方法については上から順に以下の通りです。
- Power Platform Region/Cloud:
Power Platformのサービスを利用する地域やクラウド環境を設定します。
基本的には商業用のCommercial(default)を選択します。
※それ以外の選択肢はアメリカ政府機関や関連組織用のクラウド環境です。 - TenantID:
テナントを一意に識別するための識別子で、これにより導入したCoEスタートキットとテナントが正しく関連付けられ、テナント内のリソースやデータにアクセスできます。
入力欄には識別子が自動入力されるため設定不要です。 - Production Environment:
CoEスタートキットを導入した環境が本番環境かそれ以外かを指定する項目です。
本番環境であれば、その環境用に対して適切な管理やガバナンスを行い、本番環境のパフォーマンス、セキュリティ、品質の向上を支援します。
本番環境であれば「yes」、それ以外の環境では「No」を選択します。 - Individual Admin:
システム管理者のメールアドレスを設定する項目です。
一部のアクション(承認等)が個別のアカウントしか受け付けないかつ、システムの管理・運用上、システム管理者に向けて行う重要なアクションであるため必要な設定となります。
システム管理者のメールアドレスが自動入力されるため設定不要です。
- Power Platform Region/Cloud:
- すべての設定を入力・確認後、「Next」を押下します。
- CoEスタートキット内でアプリ、フロー、チャットボット、環境等や使用状況のデータを管理するために格納するデータベースを選択する画面です。
- 格納先をDataverse(左側)にするかAzure Data Lake Storage(右側)にするかを選択します。
- 作成したアプリとフローが10000以内で収まると想定される場合は、左側のチェック欄を選択し、「next」を押下します。
- 作成したアプリとフローが10000を超えると想定される場合は、事前にAuzure Data Lakeの設定を行った上で右側のチェック欄を選択し、「next」を押下します。
※本記事ではDataverseに格納することを想定して設定を行うため、Azure Data Lake Storageを選択した際に生じる追加設定については割愛します。
- ここまで行ってきた設定を基に、CoEスタートキットの基本構築を自動で行う画面です。
- 15分ほどこの画面で待機してください。
- 画面に表示されている全フローにチェックマーク(右側赤枠)がついているかを確認します。
※チェックマークがついていない場合、一度「Reflesh」を押下して3分ほど待機します。この作業を全フローにチェックマークが付くまで行います。 - 全フローにチェックマークがついたことを確認後、「Next」を押下してください。
- アプリ、フロー、環境等のインベントリ情報を収集し、Dataverseに保存するために必要なフローの有効/無効化の設定画面です。
- 全てのフローに対してOffからOnに切り替えます。
- Onにならないものがあった場合、ここでは修正できないのでこのまま進みます。本番環境であれば、全てOnにできます。
※ 本番環境ではなく試用目的として個人開発環境でCoEスタートキットを利用しようした場合、ほとんどのフローがここでOnにできないため、追加の設定が必要になります。本記事では補足資料として、追加の設定手順を記載しております。
- CoEスタートキットに含まれているアプリについて管理者、作成者グループに対して共有設定を行う画面です。
- 「Share all」を押下し、右端に表示されるshare all apps画面の「share」を押下した後、「Next」を押下します。
- Power BIダッシュボードを利用するためのセットアップや使用方法についての紹介画面です。
※本題ではないため、これら設定については割愛します。 - 「Next」を押下してください。
- 設定完了画面です。「Done」を押下します。
これで、CoEスタートキットのセットアップ作業の完了です。
3.2. セットアップ後に行う追加設定
- CoEスタートキット管理下でより開発、管理、ガバナンス等の質を向上させるためにできる追加設定について説明します。
- セットアップ手順完了後、自動的に次の画面に飛び、ここで追加設定を行います。
※Power Appsを開きなおして、手動で再度追加設定画面に行く場合は、以下のように行います。
- ソリューション画面上にある「Center of Excellence - Core Components」を押下します。
- 左のオブジェクトメニューからアプリを選択し、CoE Setup and Upgrade Wizardの三点メニュー(︙)、再生の順で押下します。
- 左端にある三点メニュー(…)を押下することで追加設定画面に移動します。
3.2.1. 容量アラートと歓迎メール設定
次の画面の内、赤枠で囲われている設定項目から以下の二つの設定を行います。
- 環境ごとにデータベースやログなどの使用容量が一定の容量値を超えた際に通知する容量アラートの設定
- CoEスタートキットの管理下で初めてリソース(アプリ、フロー、環境等)を作成した作成者に対して送信する歓迎メールの設定
具体的な設定方法に移ります。
- 「Configure this feature」を押下して、設定画面に移動します。
- 歓迎メールの内容を編集する画面です。
- 「Configure eMail」を押下すると、歓迎メールのテンプレートが表示され、テンプレート内容の編集やCCの設定等ができます。
- 「Localize」では言語とメール内容を自由にカスタマイズしてメールを作成することができます。作成者に歓迎メールを送信する際、作成者の地域・言語がLocalaizeでカスタマイズしたメールの地域・言語と一致してれば、カスタマイズされたメールが送信されます。
- 設定後、「Next」を押下します。
- 歓迎メールに共有したいサイトのURLのリンクを設定する画面です。
- ここでは、組織内でPower Platformに関する情報を共有することを目的としているため、yammerやteams等のURLを共有先として設定するのが一般的です。
- テンプレートをそのまま利用する場合または設定完了後、「Next」を押下します。
- 容量アラートの設定画面です。
- 環境ごとに利用できるデータベースやログファイル等の最大容量の80%または、管理者が独自に設定した許容容量を超えた際に、管理者にアラートのメールを送信する設定が自動で設定されます。
- 特にこの画面で操作することはないのでこのまま「next」を押下します。
※補足として許容容量の設定は以下のように行います。
1. Power Platform Admin Viewアプリを実行し、左端メニューの「Environment Capacities」を押下します。
2. 環境容量テーブルが表示され、そこから設定したいレコードのApproved Capacity項目に対してダブルクリックします。
3. フォーム画面に移動しますので、Approved Capacity項目に許容容量を設定します。
- 先程までで設定した内容を含む容量アラートと歓迎メールの自動フローの有効/無効化設定画面です。
- すべてのフローをOnにして、「Next」を押下します。
- CoEスタートキットツールに含まれるApp CatalogアプリとThe Maker - Command Centerアプリの紹介画面です。
- 特に操作することはないので、「Done」を押下します。
これで、容量アラートと歓迎メールの設定は完了です。
3.2.2. 環境要求管理の設定
次の画面の内、赤枠で囲われている設定項目では、環境要求管理の設定を行います。
環境要求管理の設定では、作成者が環境作成やDLPポリシーの変更の際に必要となる管理者の承認と承認後の環境の作成とDLCポリシーの変更を自動化を設定します。
この設定により、承認のために必要となる作成者と管理者の直接的なコミュニケーション量を減らし、また、環境作成やDLPポリシーの変更を手動で行う必要があった管理者の作業負担を減らすことができます。
具体的な設定方法に移ります。
- 「Configure this feature」を押下して、設定画面に移動します。
- 環境作成やDLP変更の要求管理をソフトウェアやツールについての使い方を学ぶことができる画面です。
- 特にこの画面で設定することはないので「Next」を押下します。
- 環境作成やDLPポリシーの変更の自動フローや承認フローの有効/無効化を設定する画面です。
- 全てのフローをOnにして「Next」を押下します。
- 管理者に送る環境作成承認フォームにコストの追跡を含めるかどうかを設定する項目です。
- 「yes」を選択し、「Next」を押下します。
- 作成者グループに割り当てるデータポリシー(DLPポリシー)を設定する画面です。
- 作成者環境にデータポリシーを割り当てることで、作成者が作成した環境下でのデータの取り扱いに制限をかけることができます。
- 割り当てるデータポリシーを設定後、「Next」を押下します。
- 環境作成とDLPポリシーの変更要求ができるアプリの紹介画面です。
- 特に操作することはないので、「Done」を押下します。
ここで、本来であれば環境要求管理の設定が完了しますが、一点追加で設定が必要になります。
先程、環境作成やDLPポリシーの変更の自動フローや承認フローの有効/無効化設定画面で、全フローを有効化しましたが、「Env Request | Notify admin when new request submitted」フローについては有効化設定しても無効状態のままになります。
これは、「Env Request | Notify admin when new request submitted」フローを利用するために必要な環境変数が設定されていないためです。
以下の手順で、「Env Request | Notify admin when new request submitted」フローを有効化します。
- ソリューション画面まで戻ります。
- 「アンマネージド」を押下し、「既定のソリューション」を押下します。
- オブジェクトメニューより「環境変数」を選択し、「Environment Request Admin App Url」の三点メニュー(︙)、編集の順に押下します。
- 空白になっている既定値の欄に環境変数を設定し、「保存」を押下します。
- 再度、ソリューション画面から「Center of Excellence - Core Components」を押下し、クラウドフローを選択します。
- クラウドフローの内から、「Env Request | Notify admin when new request submitted」の三点メニュー(︙)、「有効にする」の順に押下します。
- 右端の状態が「オフ」から「オン」になっていることを確認します。
これで、環境要求管理の設定は完了です。
4. 補足資料
4.1. App Catalogアプリ上にアプリを一覧表示させる手順
App Catalogアプリ内にアプリを表示させる設定方法を説明します。
- 「Center of Excellence - Core Components」ソリューション内で、画面左メニューからテーブルを押下します。
- 画面右上検索欄に「Power Apps」と入力します。
- PowerApps Appを押下します。
- 画面右端中央にある「編集」を押下します。
- その他のXXX件を押下します。
- 「App Display Name(プライマリ)」、「In App Catalog」、「In App Catalog Featured」を検索し、それぞれにチェックを入れて保存を押下します。
- 「App Display Name(プライマリ)」からアプリカタログに表示したいアプリにを探索し、「In App Catalog」、「In App Catalog Featured」の両方に「yes」を付けます。
これでApp Catalogアプリ内で、表示したいアプリの表示設定完了です。
4.2. 個人開発環境でMicrosoft Power Platform CoEスタートキットを導入する場合に必要な設定
本番環境ではなく、個人開発環境でCoEスタートキットを導入し、試用してみたい方に向けて追加で必要となる設定について説明します。
本項での設定は本番環境でのCoEスタートキットのインポートおよびセットアップと同様の作業完了後に行います。
4.2.1. 特定のフローを有効化する設定
次のリストは個人開発環境下でCoEスタートキットのセットアップ手順の内、フローの有効/無効化の設定画面で有効化できないフローの一覧です。
これらはCoEのスタートキット内の設定がPower Automateの有料版ライセンス基準でされていることに起因します。
※個人開発環境ライセンス下ではPower Automateの有料ライセンスは含まれておりません。
個人開発環境でCoEスタートキットのセットアップを完了するために、これらフローを有効化する必要があります。
修正方法としては以下のように行います。
- CoEスタートキットを導入した環境下で、ソリューションからCenter of Excellenceを選択し、画面左メニューより「クラウドフロー」を選択します。
- 先程のリストに記載されている対象のフローの三点メニュー(︙)を選択し、上から二番目の「詳細」を押下します。
- 選択したフローの詳細画面が表示されます。
- ここで「オンにする」を押下します。
- 画面上部で次のようなエラーが表示されます。
※エラー内容が見づらいため、拡大したものも別に添付します。
このエラーメッセージは、フロー内でアイテム(テーブル内の各レコード等)を取得するアクションの制約として、そのアクションで一度にに取得できるアイテムの最大値を100000に設定しているが、5000以下でしか設定できないことを表しています。
そのため、この制約条件を変更することでフローを有効化することができます。
変更方法は次のように行います。
- フローの詳細画面から「編集」を押下します。
- フローの編集画面です。
- エラーメッセージ中にあるエラー原因となるアクションを探します。
(例示したエラーメッセージではList Model Driven Appsアクションが該当します。) - 該当アクション右上の三点メニュー(…)を押下し、「設定」を押下します。
- アクションの設定画面です。
- しきい値の値を「100000」から「5000」に変更し、「完了」を押下します。
- フローの編集画面で、右上にある「保存」を押下します。
- 再度、編集したフローの詳細画面を開き「オンにする」を押下し、待機します。
- 「オンにする」が「オフにする」に変化した場合、フローの有効化完了です。
- 「オンにする」のままの場合、変更したアクションとは別のアクションのしきい値設定が100000になっている旨のエラーメッセージが表示されますので、再度編集画面に移動し、しきい値の設定変更を行ってください。
以上の作業を対象となる全フローに対して行うことで、個人開発環境でのCoEスタートキットのセットアップ作業が完了となります。
4.2.2. Power Appsの試用版ライセンスの取得
個人開発環境でCoEスタートキットに含まれるアプリを使用する際に以下の表示がされる場合があります。
これはCoEスタートキットに含まれるアプリの内、キャンバスアプリは個人開発環境のライセンスとは別にPower Appsのライセンスが必要となるためです。
※個人開発環境ではPower Appsのライセンスを含んでおりません。
このエラーについては、Power Appsの試用版ライセンスを取得することで解決できます。
取得方法について以下のように行います。
+「無料試用版を開始する」を押下します。
- 「30日間の試用版を開始する」を押下します。
- 「日本」を選択し、「試用版の開始」を押下します。
以上の設定で、CoEスタートキット内の全アプリが使用可能になります。