この記事は『LITALICO Advent Calendar 2023』シリーズ1、19日目の記事です。
LITALICOプロダクトエンジニアリング部の福田です。障害者福祉のインターネットサービスが担当領域で、約5つの事業のエンジニアリング部門長やってまして、部門とエンジニアリング組織全般を運営するのがお仕事です。
私の仕事の内訳
唐突ですが、エンジニアリングマネージャもしくは組織マネージャにとって、開発業務以外の仕事が膨大で日々格闘されてる方は多いのではないでしょうか?
私の仕事を例にあげます。今の組織は、自分でマネージャを務めるグループが2つ、他のプロダクトグループが4つ、それぞれグループマネージャが立ってくれています。私の業務は、プロダクト開発に直接的に関わる内容が一部ありつつ、多くが部門全体マネジメントが占めています。各グループごとのサポート、またはグループの間を抜けるボールを拾う仕事があり、それに纏わる業務を(今のところ)一人で実施しています。
【主な予定】
- モニタリングorレポーティングの定例会議
- 部門単位
- プロダクト単位
- レビュー/相談事
- 関係者との1on1
- 定期イベント(MBO/人事評価、採用、予算策定、全社統制など)
- 人事・組織開発
- 施策・制度設計
Googleカレンダーのラベルを業務別に設定して予定を色付けし、時間の分析機能で実績を管理しています。
EMの「名もなき仕事」とは?
主な予定だけで業務が完結することは無くて、周辺の細々とした業務を色々こなしています。
上のキャプチャだと、"_work" というラベル内で処理しています。
<具体例>
- メールやSlackのチェック
- 質問や依頼への回答
- 予定調整や作業指示出し
- 事前準備や事後報告記入
- 定期レポート系の確認と不明点の質問
- 組織的ワークフローの承認・決裁
- 突発対応
と幾つか例を書いてみましたが、実際これでは収まりきれない位の種類が存在します。
(ある意味、この記事を読む事自体も、「名もなき仕事」かもしれません!)
読まれてる方も他に幾つも思いつくのではないでしょうか。
このような仕事には、幾つかの特徴があります。
- 専門性はそれほど必要無い。1件あたりだの処理時間は短い。
- 件数全体だと、種類と発生数が多く、日々新たに発生し続ける
- これらのタスクは、他者とのコラボレーションの一部を担っており、進捗が他者に影響する性質を持つことが多い
- タスクの文脈や大きさが個々にバラバラであるため、効率の良いタスク管理手法一発で上手く対処はしきれない。
大きな仕事に取り組んでいると、目立つ業務以外に、目立たない小さなタスクを行っているにもかかわらず、忙しいが故にそんな仕事があることに無自覚になりがちです。そんな姿が、「名もなき家事」に似てるなぁと感じていたので、今回この様々なタスクを「名もなき仕事」と名付けてみました。
(ちなみに、家事では掃除・洗濯系が苦手です)
大前提 「名もなき仕事」は、自分がやりやすい方法を選ぼう
特徴でも触れましたが、「名もなき仕事」は多様で数が多くずっと続く為、個々の仕事に最適な方法を身に付けようとするより、自分にとってやりやすく続けやすい方法を見つける方が上手くいくと思います。
そのために、過去を振り返って、自分が「名もなき仕事」についての特徴を把握しておきましょう。
- 特徴の具体例)
- タスクを、ひとつずつ捌きたい or 幾つか並列してやりたい
- 作業時間を、まとめて確保して一気に消化したい or 逐次都度少しずつ消化したい
- 納期に対して、間際の方が捗る or 先んじて終わらせていく方が捗る
- この手の作業が捗る時間帯は? 朝、昼、夜
- 相手からの依頼に応える形がやりやすい、自ら依頼をする形がやりやすい
- 細かいタスクに分解して細かく達成していく方が好き、じっくり考える方が好き
ちなみに、私の特徴は、選択肢の後者側です。以下では、この特徴を踏まえた技術を紹介します。
即レスでタスク速攻完了(Slack, メールの場合)
- 名も無き仕事の中で、「他者とのコミュニケーション」は、件数が多くなりがちなので、先に言及します。
- まずトリアージから入ります。私の場合、「即レスして完了」「即レスして相手待ち」「あとで考える」に分類してます。
- 即決即断できる場合は、その場でレスして完了させます。感覚値ですが、認知〜着手〜完了までが10分以内であれば、その場で完了or相手待ちまで一気に持っていきます。これは、認知〜着手〜完了のリードタイムは極力短くすることで、脳内認知負荷を下げる為にやってます。
- ただし、他の仕事をやってる最中に更新通知に細かく反応してしまうと、当然どちらも上手くいかなくなるので、そこは運用注意です。
即レスでタスク速攻完了(会議の場合)
- 会議は、関係者が一同に介する場になるので、決めることに(本来)向いています。
- 会議の締めで、結論、残りの論点、ネクストアクションを具体的に決めきる。次回の日程調整、今後の連絡方法、などはその場で済ませます。
- 更に、論点もネクストアクションも持ち帰らずに済むように、議論をその場でやり切れる/考えきれると、なおよいです。
- ここの仕切りで「名もなき仕事」も減るので、頑張りどころです(※本題から逸れるので、頑張り方は割愛w
「名もなき仕事」もタスク管理する
-
私のタスク管理は、普段からEvernoteで、テキストベースのtodoリストで管理しています。「即レスして完了」は記録しないですが、「即レスして相手待ち」「あとで考える」は必ず記録を付けます。「自分が起案」する仕事も管理対象です。
-
これが、実際に使ってるテキストフォーマットです。毎日1日分を管理して、終わったら別ファイルにアーカイブしています。
--凡例: □未着手タスク、☆着手中タスク、△着手中、レス待ち、■完了タスク、◇予定、◇予定済み、◯仕事以外
#2023/12/18月曜日
■今週の事例共有資料をレビュー
■振り返り会の準備と告知
■アドカレ ネタ出し
△予算シートチェック依頼 →△誰々さん待ち
△商談日程調整依頼→△誰々さん待ち
◇14:00-15:00 プロジェクト定例
☆アドカレ 書き切る
□採用面接 資料読み
□申請書提出
◇17:00-18:00 部門定例
◇18:30-19:00 来期予算チェック(◯◯事業
◯ジャンプ@月曜
--以下、タスク在庫
□・・・
□・・・
□・・・
◯・・・
◯・・・
◯・・・
専用のtodoアプリと比べて、ステータスやフォーマットをカスタマイズしやすいので、テキストフォーマットを愛用してます。(かれこれ20年以上、同じやり方をしてます。。。)
やりすぎず、やらなさすぎず、毎日取り組む
- 「名もなき仕事」がtodoリストに仕掛中で積み上がると、仕事の品質に影響が出たり、他者に迷惑が掛かる事が増えます。しかし、一方で、常に仕掛りゼロ状態を維持すべくタスク消化に励んでも、別に主要ミッションの生産性が上がる訳では無いので、あんまり実利はありません。
- 今のところ、毎日一定時間を目安にコツコツ消化し、なるべく溜め込まない事を流儀にしています。個人的に溜め込むと気持ちが悪いので、これが向いてるようです。
普段の開発と同様、「名もなき仕事」をエンジニアリングする
EMのテクニックを、開発以外の事柄にも活かしましょう。
以下のような、(ある種、王道の)マネジメントを、「名もなき仕事」に対して私は実施しています。
- 計画化
- 予測できる仕事は計画的に取り組むことで、「名も無い仕事」に定期的に取り組みやすくなります
- タスクの棚卸し
- 日次、週次、月次で実施
- 長い期間消化できないタスクは断捨離する。
- 方針と実績の振り返り&問題改善
- 現在のtodoリストとアーカイブを読み返して振り返り。
- 納期から大きくずれ込んでるタスク、断捨離したタスクの分析を主にやってます
- 業務プロセス改善
- 主に、タスクの集約と委譲。
- 各関係者で似たようなタスクを行ってる場合に1名にまとめてお願いしています
最後に
- 普段話題にすることが全く無いが多くの時間を費やしてる「名も無い仕事」を取り上げて、その仕事術、付き合い方について書いてみました。「名も無い仕事」ばかりに囲まれて過ごす事はこれからも変わらないですが、少しでも効率的に対処できる事に貢献できてれば、嬉しいです。
- 今回のアドベントカレンダーで、本テーマに関連する記事があります。良かったら合わせて読んでみてください。
- 記事で本業に一切言及してませんが、エンジニアリングマネージャを募集中です。
- 明日(20日目)のLITALICOのアドベントカレンダーは@qtakechanさんで、「システム設計の常識を疑え(仮)」です。お楽しみに!