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有償版Looker Studio(Looker Studio Pro)を検証、ユースケースをまとめてみた

Last updated at Posted at 2024-09-24

はじめに

こんにちは、くふうカンパニーグループでデータ分析を担当しているfukiです!

前回の記事からそこそこ期間が空いてしまいましたが、X(旧Twitter)の方では活発なので覗いてみて下さい〜

さて、今回はGoogleのBIツールの1つであるLooker Studioの有償版(Looker Studio Pro)について色々調べたのでまとめてみました。
皆さんの参考に慣れば幸いです。

※以下記載の情報は全て2024.9時点の情報のため、アップデートされている可能性があります
※情報が間違えている可能性もあります、実際に利用する場合は公式の情報を参照して下さい(もし間違いを見つけたら優しく教えて下さい)

想定する対象者

主に以下の方々を想定して記述しています

  • これからLooker Studio Proを導入検討している
  • 主にチームでLooker Studioを利用している
  • 各BIツールを比較して導入検討している
  • BIツールを利用してみたい

Looker Studioとは

一度は使ったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、Googleが提供しているほぼ無償のBIツールです。(元々はGoogleデータスタジオとかデータポータルと呼ばれていたりしました)

GoogleのサービスとしてはLookerとLooker Studioがありますが2つの違いもざっくり記述していおきます。

  • Looker
    • 事前に集計定義を決めておくことで、エンジニアやアナリスト以外の方も集計・レポートすることができる(セマンティックレイヤー)
    • セマンティックレイヤーによって集計する人によって集計結果に差が出ない(データガバナンス)
    • 費用はとても高い
  • Looker Studio
    • 無償でもデータの接続、ダッシュボード作成が容易に行える
    • Googleシートなどビジネスメンバーが使い慣れたデータを簡単に接続することができる
    • 有償でも他のBIツールに対して比較的安めの料金体系

比較詳細

無償版の主な機能

抜け漏れあるかもしれませんが、ざっと機能を並べてます。

  • データソースの作成(データ接続先の認証権限がある前提)
  • レポート・ダッシュボードの作成
  • 共同編集
  • ダッシュボードの共有
  • スケジュール更新
  • パタメーターによる動的な可視化

などなど、基本的な機能は無償版で網羅されているので有償版にする必要が無いというパターンも多いかもしれないです。

Pro版で利用できる主な機能

有償にした場合の主な機能差分としては以下6点で、特に大きな差分は1、2です。

  1. 組織コンテンツの所有
  2. チーム ワークスペースを使用した大規模なコラボレーション
  3. レポート配信を自動化
  4. 個人レポートのリンクを使ってデータ探索を強化
  5. Looker Studio モバイルアプリ
  6. Cloud カスタマーケアのサポート

参照元

順を追ってまとめていきます。

1.組織コンテツ管理

Looker Studioの無償版の場合、作成したダッシュボードがユーザー単位に紐付きます。
その為、例えば作成したユーザーが退職などでアカウントが削除された場合、レポート自体も消えてしまうことになります。
社内データをウォッチしているだけなら最悪時間がかかっても修復すれば問題無いかもしれないですが、外部にデータ提供している場合は大きなリスクを孕むことになります。

image.png

対して、Pro版の「組織コンテンツ管理」はレポートのオーナーが組織(GCPプロジェクト)に紐付きます。
そのため作成したアカウントが削除されてもレポートが消える心配はありません。
image.png

2.チーム ワークスペースを使用した大規模なコラボレーション

Looker Studioの利点として、ユーザーが簡単にデータ連携してダッシュボードを作成できる点が大きいです。
しかし、データチーム・営業・開発組織等の多くの部署でレポートが作成され、「どこに」「どのような」レポートが存在しているか把握しにくくなります。(いわゆるカオス状態)

こちらに対してもPro版ではディレクトリ構成を作ることができるため、管理が容易になります。
管理するワークスペースを作成し、その配下にディレクトリ構造を作ってレポートを格納できます。

  • ディレクトリ構成イメージ
    Looker Studio.jpg

操作する画面もGoogle Driveと似たUIなので学習コストも少なく対応することができます。

  • 実際の画面
    image.png

また、サンドボックス機能も存在します。

  • サンドボックス機能
    開発中ダッシュボードを他の人が誤って利用しないように非表示になっています
    サンドボックス内で作業を行い、開発完了したらワークスペースに移動することでメンバーが閲覧可能になります

3.レポート配信を自動化

1つのレポートに対して20件までのスケジュール配信を設定することができます

  1. Proサブスクリプションの権限を持ったアカウントで「Share」→「配信のスケジュール」
    image.png

  2. 配信情報を設定することでレポートの自動配信を行えます
    image.png

4.個人レポートのリンクを使ってデータ探索を強化

レポート共有の際に、レポートを複製してオーナーを共有先の個人アカウントとして共有できる機能です。
こちらについては既に詳しく解説された記事がありましたのでそちらを参照してください。
解説記事

5.Looker Studio モバイルアプリ

作成したレポートをモバイルアプリでも表示できるというものです。
詳しくは公式をご確認ください

6.Cloud カスタマーケアのサポートを利用する

Google Cloudのカスタマーケアを利用できるというものです。
こちらも同様に公式をご確認ください。

費用面

Pro版を導入した際の費用面です。
比較しやすいように他のBIツールの費用も簡単に記述しています。

Looker Studio の費用

Looker Studio 無償版/Pro版の公式に記述されている料金情報はこちらです。

サービス 説明 料金
Looker Studio セルフサービス型ビジネスインテリジェンス 追加料金なし
Looker Studio Pro Google Cloud のサポートおよびシステム管理を備える部門レベルのビジネスインテリジェンス。 プロジェクトごとのユーザー1人あたりの月額料金9ドル

参照元

権限ロールは存在せずユーザー1名に対して課金のため、大人数での運用はそれなりに費用が掛かります。

ex)分析チーム5名、営業組織15名:20名
 月額:180$
 年間:2,160$
 →1ドル145円とすると、年間313,200円となります。

他BIツールの費用

参考までに他のBIツールの費用感も合わせて掲載しておきます。

  • Tableau(Tableau Cloud、Tableau Serverの利用ができる)
    一番良く知られているBIツールで機能も充実していますが、Viewerの閲覧者でも15$とお高めです。
    ※他のプランとして、Tableau Enterprise等もあるが今回は割愛

    ロール Tableau Creater Tableau Explorer Tableau Viewer
    権限(詳細は公式へ) データソースの追加、ダッシュボードの作成・作成など ダッシュボードの作成・公開など ダッシュボードの閲覧
    費用(月額) 75$ 42$ 15$

    Tableau公式

  • AWS Quick Sight
    Amazon Web ServicesのBIツールですが、TableauやLookerに対して比較的安価で利用することができます。

    ロール 作成者プロ 作成者 リーダープロ リーダー
    権限 請求管理
    Amazon Q でダッシュボード,データストーリー作成を構築する
    レポート・ダッシュボードの作成、データソースへの接続
    レポート・ダッシュボードの作成、データソースへの接続 Amazon Q でデータストーリー作成を構築する
    レポート・ダッシュボードの閲覧
    レポート・ダッシュボードの閲覧
    費用(月額) 50$ 24$ 20$ 3$

    AWS Quick Sight公式

オーナー権限まわり

Looker Studioではレポート、データソースのオーナー権限を考慮する必要があります。
※データソースのオーナー権限$\neq$認証情報の権限

組織として管理する際はどちらも同様の方法となるかと思います。

オーナー権限

まず、Looker Studioの無償版と有償版でレポート・データソース作成時のオーナー(所有者)が変わります。

レポート作成時オーナー権限の所在

  • 無償版を利用しているアカウント:作成したアカウントがオーナー
  • Pro権限を持ったのアカウント:
    • 組織のワークスペース内で作成:組織がオーナー
    • 個人ワークスペース内で作成:作成したアカウントがオーナー

オーナー権限の譲渡可否

前提として、権限の譲渡は同一のドメイン内のみで行うことができます。

注: オーナー権限の譲渡は、自身のドメイン内でのみ行えます。Google Workspace と Cloud Identity のユーザーの場合は組織内の別のユーザーに、Google Workspace および Cloud Identity を利用していない標準ユーザーの場合は別の標準ユーザーに譲渡することになります。

公式より

Pro版にした場合のそれぞれの譲渡可否を以下にまとめます。

譲渡元 譲渡先 譲渡可否
個人アカウント 個人アカウント
(Pro権限無し)
譲渡
個人アカウント 個人アカウント
(Pro権限あり)
譲渡
組織ワークスペース 個人アカウント
(Pro権限にかかわらず)
譲渡不可
個人アカウント
(Pro権限無し)
組織ワークスペース 譲渡不可
個人アカウント
(Pro権限あり)
組織ワークスペース 譲渡

ここで重要なことは以下の2点です

  • 個人アカウント→個人アカウント(Pro権限あり)
  • 個人アカウント(Pro権限あり)→組織ワークスペース

これにより

無償の個人アカウント→個人アカウント(Pro権限あり)→組織ワークスペース

という手順を取ることで、レポート・データソースのオーナー権限を無償ユーザーから組織ワークスペースに追加することができます。

運用のユースケース

上記を通して、Looker Studio Proを利用する場合の運用ケースを2パターンにまとめました。
他にも運用方法はあるかと思いますが、ぜひ参考にしてみて下さい。

Looker Studio上ではオーナー権限のみ管理する場合

最低限の費用に抑えつつレポートが消えてしまうリスクを抑制する運用方法です。
オーナー権限を管理する少数メンバーのみPro版の権限を付与します。
レポート利用者はディレクトリ構成の閲覧権限が無いため、NotionDBなど別ツールで一覧化して提供します。

無償アカウントのユーザーがレポートを作成した場合は、以下の手順で追加します。

管理メンバーにオーナー権限を譲渡→管理メンバーが組織ワークスペースと管理用のドキュメント等に追加(イメージ構成ではNotionDBを利用)

構成イメージ
Looker Studio (2).jpg

レポートを作成メンバー全員でオーナー権限・ディレクトリ管理する場合

どちらかと言うと本来の使い方に近いですが、レポートを利用するすべてのユーザーでLooker Studio Proのディレクトリを利用する方法です。

あらかじめ決めたディレクトリのルール内でフォルダ分けしてレポートを格納していきます。

構成イメージ
Looker Studio (3).jpg

さいごに

いかがでしたでしょうか。
BIツールは様々ありますが組織や環境によって最適なツールはそれぞれ変わってくるかと思います。
状況に適したBIツールをご利用下さい。

この記事が皆さんのデータ分析に役立つ一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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