「NetSuiteからボタンひとつで電子署名を依頼できたら、便利だと思いませんか?」
ビジネスにおいて、契約書や見積書への署名プロセスは避けて通れない重要なステップです。本記事では、NetSuiteと汎用的なデジタル署名サービス(DSS)の連携の流れをわかりやすくご紹介します。NetSuiteユーザー、管理者、そして開発者の皆さまが、電子署名やその他のサービス導入を検討する際のご参考となるよう、実際のイベントの流れや情報のやりとりを整理しました。ここでは、DSSプロバイダーが提供するSuiteAppを活用するケースを例に取り上げています。
※SuiteAppとは、NetSuiteプラットフォーム上で提供される、機能拡張アプリケーションです。SuiteApp.comで利用可能な、デジタル署名サービス(DSS)の例はこちらです。
NetSuiteとデジタル署名サービス(DSS)の一般的な連携フロー
※「NetSuiteとデジタル署名サービス(DSS)の一般的な連携フロー.drawio」(© 2025 Takusuke Fujii)は、CC BY 4.0(原作者名の表記が必要)で自由に共有・改変・配布可能ですが、無保証につき著作者は一切責任を負いません。
a. 主な構成要素
- NetSuiteアカウント/環境(DSS SuiteApp がインストール済み)
・DSSとの連携に必要なカスタムレコード、スクリプト、設定をSuiteAppが提供。
・ドキュメントの送信やステータス更新などを管理する SuiteScript(例:ユーザーイベントスクリプト、RESTlet など)を含む。 - DSS(デジタル署名サービス)
・電子署名の機能を提供し、署名対象ドキュメントをまとめる「コンテナ(エンベロープ)」を管理。
・署名依頼を受信者に送信し、完了後に NetSuiteに通知を返す。 - エンドユーザー/署名者
・メールなどで署名依頼を受け取り、DSS画面を通じて署名を行う顧客、パートナー、従業員など。
b. 典型的なフローの概要
NetSuiteとDSS間における情報やドキュメントのやり取りと、各システムにおけるユーザー操作の対応関係です。
b1. NetSuite側
-
NetSuite上でのユーザー操作
・NetSuiteユーザーがレコードを開く(例:顧客、見積、受注、請求書、その他のレコード)。
・SuiteAppが提供する「デジタル署名依頼を送信」といったカスタムボタンをクリック、またはその他スクリプトが実行される操作を行う。 -
SuiteScriptがDSS APIを呼び出す
・SuiteAppが、必要なドキュメント(PDFなど)および署名者情報を、NetSuiteフィールドから取得。
・連携の設計によって以下のいずれかを実施:
- SuiteScriptがDSSのAPIを呼び出して、新しいDSSの「コンテナ(エンベロープ)」を作成する。
- SuiteScriptがSSO(シングルサインオン)や安全な認証フローを介して、別のブラウザータブでDSSの画面を開き、ユーザーがドキュメントおよび署名者情報を手動で確認(編集)する。
b2. DSS側
- DSS上でのユーザー操作(別のDSS画面を使用する場合)
・DSSの画面上で、ユーザーがドキュメントと署名ワークフローを確認。
・ユーザーが「送信」等のボタンをクリックしてコンテナを確定し、署名依頼メールを受信者に送信。 - DSSがメールを送信
・DSSは署名用ポータルへの安全なリンクを含むメールを、指定された署名者に自動送信。 - 署名者がドキュメントに署名
・署名者(受信者)はリンクを開き、ドキュメントを確認し署名する。
・DSSは署名を取得し、全ての署名者が署名を完了すると、ステータスを「完了」などに更新。 - DSSがNetSuiteに通知
・DSSはWebhookを介してNetSuiteに通知を送るか、またはSuiteAppがDSS APIを定期的にポーリングして、ステータス更新を取得。
・いずれの場合でも、NetSuiteは署名完了の最終ステータスを受け取る。
b3. NetSuite側
- NetSuiteがレコードを更新
・署名完了の通知を受け取ると、NetSuiteは該当レコードのステータスを「署名済み」/「完了」などに変更し、そのレコードへ署名済みのPDFを添付する。
・必要に応じて、NetSuiteは見積から受注を生成したり、カスタマーサポートへの通知をしたり、外部システムへトランザクションを送信するといった、後続アクションを行うこともできます。
c. まとめ
上記の基本的な流れを応用することで、NetSuiteとデジタル署名やその他のサービスとの連携をよりご活用頂けますと幸いです。
※一般的なデジタル署名サービスに関する情報は、「OASIS Digital Signature Service Overview」を参考にしています。
© 2025 Takusuke Fujii
本記事は CC BY 4.0(原作者名の表記が必要)で自由に共有・改変・配布できますが、無保証につき著作者は一切責任を負いません。