目次
1. はじめに
2. 自己紹介
3. AWS-SAPとは
4. モチベ
5. 勉強法の選択
6. スケジュール
7. 学習リソース
8. 結果・所感
9. まとめ
1. はじめに
初めまして。NTTデータ先端技術株式会社の藤田と申します。
非IT系学部卒の自分がどのようにしてAWS SAPを取得したのかについて本書でまとめていこうかと思います。
また、本記事はあくまで筆者個人の調査や主観によるものなので、事実と異なる記載がある場合があることをあらかじめご了承ください。
2. 自己紹介
- 経歴
- 大学時代:
- 工学部の機械系学科で四力(熱力学・流体力学・材料力学・機械力学)についてひたすら学ぶ日々
- プログラミングは大学の授業と研究で少々経験あり
- サーバー・ネットワーク等のITの基礎知識はほぼゼロ(Linuxって何ですか?レベル)
- 入社後:
- 三か月の研修を経てITの基礎を学び、7月にAWSを扱うクラウド系の担当に配属
- 配属後は主に以下のサービスを扱う
EC2, S3, SecurityHub, CloudTrail, Athena
⇒AWS SAPの頻出のサービスはほぼ触れていなかったです。
- 大学時代:
- 保有資格(2023年5月現在)
AWS CLF,SAA,SAP,LPIC101,102, 基本情報, Pythonエンジニア認定試験
3. AWS SAPとは
- 求められること:
「クラウドアプリケーションの要件を評価し、アプリケーションのデプロイについて
アーキテクチャに関する提案を行う能力が求められます。また、複雑な組織内で複数の
アプリケーションやプロジェクトにまたがるアーキテクチャを設計する際に、専門家として
ガイダンスを提供できる能力も必要です」
(AWS SAP試験ガイドより)
AWSサービス単体の知識が求められるというより、AWSソリューションをどのように組み合わせれば
AWSのベストプラクティスに沿った設計ができるかの理解が求められるようです。
- 試験時間:180分
⇒気の遠くなる長さです。後半は失神寸前でした。 - 問題数:75問
⇒問題数が多いうえに、どれも長文なので苦行です。。。 - 費用:33000円
- 合格ライン:750/1000点
⇒7割5分取れば合格のように見えますが、実際はそんな単純な採点方法ではなく、独自の仕組みに沿った採点方法のようです。
(実際の試験と同じ方法で採点される公開模擬試験(後述)を受けたところ、正答率は7割5分以下にもかかわらず、点数は7割5分を超えていました。)
4. モチベ
1年目の最後という節目で難しい資格に挑み、合格できれば拍がつくのではないかなあと思って受けました。
モチベがないまま勉強を続けるのは難しいので、自分なりにモチベを維持する方法を模索してみましょう。
5. 勉強法の選択
個人的に資格勉強をするときは、まず初めに模擬試験を受けてみて内容をざっくり把握したうえで以下のように分類して勉強法を選択しています。
(あくまで自分のやり方なのでこれがベスト!というわけではありません。)
- 試験範囲が狭い&簡単
⇒基本的に一つの参考書内にすべての試験範囲が収まっていることが多いので、
まず参考書を一通り読んで内容をざっと理解する(あまり時間をかけすぎない)
その後問題演習に移り、本番までひたすら演習を重ねる(目安は問題集2周以上) - 試験範囲が広い&むずい
⇒基本的に一つの参考書では試験範囲をカバーできていないことが多いので、最初から問題演習を重ねて、分からなかったところは都度調べながら問題演習を重ねる(目安は問題集2周以上)
わからなかったところや初めて得た知識はメモアプリなどに記して後から見返せるようにする(これはだいぶめんどいですが、何回も目に触れるところに知識を残すことで記憶が定着すると思ってます)
今回のAWS SAPは最初に解いてみてあまりの難しさ&量の多さに絶望したので、即②に分類して勉強を始めました。
メモアプリとしては「Notion」を使用しています。
以下自分の使用例です。(あまり綺麗ではないですが、、)
Notionには以下のような多くの機能があり、単にメモ帳として使うだけでなく、自分なりのWebページ・ノートのようなものを思うがままに簡単に作成することができます。
- データベースの作成
- ページの中に子ページを作れる
- 作成したページの外部公開
- ページに様々な形式のデータ(画像・動画・pdfファイル等)を載せられる
- 多種多様なビューのテンプレートが用意されている(カレンダー・リスト・テーブル・kanbanボード等)
などなど...
デザインもシンプルで見やすく、サクサク操作できるので、使用感もとてもいいです。
チームとして利用する場合は料金が発生しますが、個人利用は無料なので、資格勉強用のノート、Todoリストとして仕事でもプライベートでも使用できると思います。
まあかといって、メモを取る方に集中してしまうと、問題演習の時間が少なくなってしまうので、必要な情報だけをメモできるようにきちんと取捨選択は行いましょう。
6. スケジュール
新卒一年目は業務時間中に1時間半ほど資格勉強の時間が与えられていたので、その時間を活用して勉強しました。とてもありがたいことです。
(忙しい日はできないことも結構ありましたが、、)
基本的に問題の難易度が低く、解説がしっかりしている問題集から始め、それが終わったら本番のレベルに近い問題集に移るという流れで勉強を進められたので、割と理想的な順序で学習を進められたと思っています。
7. 学習リソース
【問題集】
AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説(70問・難易度易)
会社の上司から譲ってもらいました。
問題の難易度は本番よりも易しいものとなっているため、この問題集だけを極めても合格するのは難しいと思いますが、
解説がしっかりしており、基礎を学ぶ上では良書だと思うので、まずこの参考書から解き始めることをお勧めします。
Skill Builderの公開模擬試験(75問・難易度中)
本来利用するためにはAWS Skill Builder Individual サブスクリプションに登録(月額$29)する必要があるみたいですが、
ちょうど会社でAWS Skill Builder Free Pilotの利用者を募集しており、応募したため無料で使用することができました。
問題の難易度は本番と同等レベルでした。解説もとてもしっかりしており、自分の知らないサービスへの知識を深めることができたため、
利用をお勧めします。
1問目を解いたときは難しすぎて心が折れそうになりましたが、解説をしっかり理解しながら解き進めて70問目あたりまで到達すると、割と解ける問題
も出てきたので、成長している感じがして嬉しかったです。
ただ、自分が受けたときは、この問題集と同じ問題が本番で出ることはなかったような気がします。
TechStock|AWS Web問題集で学習しよう(約520問・難易度中)
AWS SAPの問題集を利用するためには月額5480円のプロフェッショナルプランに加入する必要があり、高いなと思いましたが、しぶしぶ加入しました。
ただ問題の品質は高く、本番ではTechStockで解いた問題が体感10問ほど出たような気がするので、とてもおすすめです。
問題は#1~#74まであり(2023年3月時点)一つの#ごとに7問入っているため、全部で500問以上あります。
ただ、#1~#30までは問題が古く、現在の試験バージョン(SAP-C02)にはあまり対応できていないとのことだったので、#31~74までを二周分解きました。
少し使いずらかった点としては、Skill Bulderの公開模擬試験に比べるとあまり解説が親切ではないところと、解説文をコピペできないのでNotionにそのまま張り付けることができず、全て手入力でNotionに書き込むことになったところです。
【その他】
AWS 初心者向けハンズオン
実際に手を動かしてサービスに触れた方が頭に定着すると思うので、名前くらいしか聞いたことがなく、よく分からないが試験には頻出で奥が深そうなサービスは
ハンズオンを通じて理解を深めました。
実際に自分でAWSアカウントを作成して、リソースを立てることになるのでお金はかかります
とはいえ、大体のハンズオンはハンズオンが終わった後すぐリソースを削除すればAWSの無料枠に収まると思うので
自分はお金はかかりませんでした。自分は以下のハンズオンを実施しました。
-
サーバーレスアーキテクチャで翻訳Web APIを構築する
https://pages.awscloud.com/JAPAN-event-OE-Hands-on-for-Beginners-Serverless-1-2022-reg-event.html?trk=aws_introduction_page -
AWS SAM を使ってテンプレートからサーバーレスな環境を構築する
https://pages.awscloud.com/JAPAN-event-OE-Hands-on-for-Beginners-Serverless-2-2022-reg-event.html?trk=aws_introduction_page -
AWS Code サービス群を活用して、CI/CD のための構成を構築しよう!
https://pages.awscloud.com/JAPAN-event-OE-Hands-on-for-Beginners-cicd-2022-reg-event.html?trk=aws_introduction_page
Blackbelt資料
同じく名前くらいしか聞いたことがなく、よく分からないが試験には頻出で奥が深そうなサービスはBlackbeltを見て概要を掴みました。
CloudFront、CloudFormation、Route53、StepFunctionsあたりは頻出にもかかわらず、内容を一切知らなかったので、Blackbeltをしっかり参考にしました。
Classmethodの記事
冒頭で、「AWSサービス単体の知識が求められるというより、AWSソリューションをどのように組み合わせればAWSのベストプラクティスに沿った設計ができるかの理解が求められる」
と言いましたが、とはいえある程度サービス単体の知識もないと問題をそもそも理解できないので、BlackbeltやClassmethodの記事を使用して知識を付けました。
名前すら聞いたことなく、何もサービスの内容はわからないが、Blackbeltをわざわざ見るほどでもなさそうというサービスに関してはClassmethodの記事を見て概要を掴みました。
※特に千葉 幸宏さんという方の記事は内容がよくまとまっていてわかりやすく、公開している記事の数も多いのでおすすめです。
TechStockの合格体験記
先人達の合格体験記が記されています。
試験の形式・頻出サービス・勉強法などの情報収集にはおすすめです。
8. 結果・所感
合格ラインは750なのに対して点数は788点と、割とギリギリでしたが、無事合格することができました。
スコアレポートを見ると、どの分野もまんべんなくそこそこ正解できたという感じっぽいです。
所感としては、やはり試験時間が長く、見たことある問題以外はどの問題もしっかりと読み込まないと解けないので、とても疲れました。
とはいえ、TechStockや公開模擬試験で出題されていた問題よりは全体的に文章が短い様な印象を受けたので、何とか制限時間内に解ききることができました。
制限時間内に解ききるためにも、TechStockで演習を積み、見たことある問題を増やすことがとても効果的だという風に感じました。
最後の10問はあまりに疲れすぎて脳の機能がほぼ停止した状態で解く羽目になる(自分は一つの問題を5周読んでも一つも頭に入ってこないという状態でした)
ことが予想されるので、前半はハイペースで解くことを意識して、時間に余裕をもって後半に臨む必要があるという風に感じました。
あくまで個人の所感ですが、試験でよく出たような気がするサービスや機能は以下の通りです。(太字は特に頻出)
- VPC・Transit Gateway
- EC2
- Elastic Beanstalk
- ELB
- Lambda
- S3
- RDS
- DynamoDB
- API Gateway
- CloudFront
- Direct Connect
- Grobal Accelerator
- Kinesis
- Route53
- DMS
- CloudFormation
- CloudWatch
- Organizations
- Systems Manager
- SQS
個人的な後悔としてはAdvanced Architecting on AWSの研修を受けずに試験に挑んでしまったことです。
もともと2月の初めに研修を受けるつもりでしたが、申し込みをミスって、試験終了後の3月末に受けました。
研修では、試験に頻出だけど普段触れないような大規模アーキテクチャ用のサービス(Transit GatewayやControl Tower等)を
3日間にわたってハンズオン形式で学ぶことができたので申し込みをもっと早くしておけばよかったと後悔しました。
9. まとめ
AWS資格最難関といわれるAWS SAPですが、きちんと対策をすれば合格できるので、取るか迷っている人はチャレンジするべきだと思います。
何より、合格した時の達成感が他の試験とは比べ物にならないです。
業務で扱ったサービス(SecurityHub、Athena、Glue、CloudTrail)は自分の受けた回では軒並み一つたりとも出題されず、とても悲しい思いをしました。
しかし裏を返せば、AWSサービスをあまり触ったことがなくても、問題演習を積めば十分受かることができるということだと思うので、AWSサービスをあまり使ったことがないという人も臆せず挑んでみましょう。