Node.jsとNitroの違いとサーバーレスプラットフォームについて
はじめに
Node.jsとNitroは、どちらもサーバーサイドの技術として使用されるものですが、Nuxtの学習を進めるにあたって両者の違いがわからなくなってきたため、ここで記事として残したいと思います。
本記事では、Node.jsとNitroの違いを比較しながら、デブロイ時によく利用されるサーバーレスプラットフォームについても軽く触れたいと思います。
Node.jsとNitroの比較
Node.jsとは
Node.jsは、JavaScriptランタイム環境であり、サーバーサイドアプリケーションの開発に使用されます。
非同期I/O操作をサポートし、高いパフォーマンスとスケーラビリティを提供してくれることが特徴です。
Nitroとは
NitroはNuxt 3の一部として開発された軽量サーバーエンジンであり、特にNuxt 3アプリケーションのビルドとデプロイを最適化してくれます。
サーバーレスプラットフォームやエッジ環境で動作します。
(余談ですが、ずっと「ニトロ」って呼んでいました...)
比較表
特徴 | Node.js | Nitro |
---|---|---|
目的 | 汎用的なサーバーサイドランタイム | Nuxt 3アプリケーションのビルドとデプロイ |
主な用途 | API、リアルタイムアプリ、マイクロサービス | SSR、APIルート、サーバーレスデプロイメント |
パフォーマンス | 高パフォーマンスなI/O操作 | 軽量で高速なサーバーエンジン |
デプロイメント | 任意の環境(VPS、クラウドなど) | サーバーレスプラットフォームやエッジレンダリング |
拡張性とカスタマイズ | 高い(豊富なnpmパッケージ) | プラグインシステムを通じて簡単にカスタマイズ可能 |
つまりNitroとは
Nuxt3のサーバーエンジンとして、サーバーサイドの機能を提供してくれるNuxt3のコンポーネントです。
ここまで出てきた単語の解説
Node.jsのAPIとNitroのAPIルートの違い
(私だけかもしれませんが)Nuxt3においてAPIのルート定義からAPI作成までを担っているのがNocde.jsなのか、Nitroなのかわからなくなっていました。
結論からお伝えすると、Nuxt3において、APIルートの定義からAPIの作成までの全ての処理はデフォルトでNitroが担っています。
Node.jsはAPIの作成をすることができますが、Nuxt3でAPIルートの定義からAPIの作成まで行っているのはNitroであり、Node.jsはあくまでJSのコード実行をしてくれる基盤として動作してくれます(ランタイム)。
図解すると以下のような動作をします。(サーバーレスプラットフォームにデプロイすることを前提にしています)
クライアント
|
V
サーバーレスプラットフォーム(Vercel、Netlify、AWS、GCP、Azureなど)
|
V
Node.jsランタイム
|
V
Nitro(Nuxt 3のサーバーエンジン)
|
V
SSR処理 -> レンダリング後のHTML生成 -> HTML返却
エッジレンダリングとは
エッジレンダリングは、コンテンツをユーザーに近い場所でレンダリングすることで、遅延を減少させ、パフォーマンスを向上させる技術です。
つまり、以下のようなメリットがあります。
- 低遅延
- コンテンツがユーザーの近い場所でレンダリングされるため、遅延が減少する
- スケーラビリティ
- 分散型のインフラストラクチャを使用しているため、リクエストの負荷分散が効率的に行われる
- 高速なキャッシュ
- エッジサーバーは、キャッシュ機能を利用して頻繁にアクセスされるコンテンツを高速で配信してくれる(CDNとの組み合わせが一般的)
動きのフローとしては以下です。
- ユーザーリクエスト
- ユーザーがウェブサイトにアクセスすると、リクエストが最寄りのエッジサーバーに送信される
- エッジサーバーでの処理
- エッジサーバーがリクエストを受け取り、必要なコンテンツを生成またはキャッシュから取得する
- コンテンツの返却
- エッジサーバーが生成したまたはキャッシュから取得したコンテンツをユーザーに返却する
サーバーレスプラットフォームとは
サーバーレスプラットフォームは、開発者がインフラストラクチャの管理を意識せずに、アプリケーションやサービスをデプロイできる環境を提供してくれるものです。
主なサーバーレスプラットフォーム
- Vercel
- フロントエンドフレームワーク(特にNext.js)をサポートしている(エッジキャッシュとCDNを利用可能)
- AWS
- AWS Lambdaを中心にサーバーレスコンピューティングを提供している
- Firebase
- Googleが提供するサーバーレスプラットフォーム(認証(Firebase Authentication)、ホスティング(Firebase Hosting)など利用できる)
デプロイ後のNitroの動き
ビルドとデプロイ
-
ビルドプロセス
- Nuxt 3アプリケーションをビルドすると、Nitroはサーバーサイドのコードをバンドルし、単一のファイルにパッケージングしてくれる
-
デプロイ
- この単一ファイルは、サーバーレスプラットフォームやエッジ環境にデプロイされる
エッジレンダリング
-
エッジサーバー
- (上記で触れましたが、)Nitroはエッジサーバーで動作し、ユーザーに近い場所でリクエストを処理してくれる
APIルートの処理
-
ルーティング
- NitroはAPIルートを定義し、リクエストを適切にルーティングしてくれる
// server/api/hello.ts
export default defineEventHandler(() => {
return { message: 'Hello, Nitro!' };
});
イベント駆動
Nitroはイベント駆動型のアーキテクチャを採用し、リクエストやその他のイベントに応じて関数を実行してくれます。
プラグインシステム
Nitroはプラグインシステムを提供しており、追加機能やカスタマイズすることができます。
そのため、ミドルウェアの追加やカスタムAPIルートの定義が簡単に行えます。
まとめ
Node.jsとNitroは、異なる目的と用途を持つサーバーサイド技術であることがわかりました。
Node.jsは汎用的なサーバーサイドランタイムであり、広範な用途に使用されます。(Nuxt3では、JSを実行してくれる実行環境としての役割が主)
NitroはNuxt 3に特化したサーバーエンジンであり、特にアプリケーションのビルド、デプロイ、サーバーサイドレンダリング(SSR)、API定義、レンダリングを効率的に行ってくれます。
また、Nitroはサーバーレスプラットフォーム上でサーバーサイド側の役割として効率的に動作し、アプリケーションを作成してくれます。
この記事を通して、Nuxt3におけるNode.jsとNitroの違いが少しでも明確になれば幸いです!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!