第一幕:完璧な設計図のはずが…
神様が「楽園(エデン)」を創ることにした。計画は完璧で、まずは美しい庭を生成し、データベースに「楽園_DB」を立ち上げた。
CREATE TABLE Garden (
ID INT PRIMARY KEY,
Name VARCHAR(255),
Description TEXT
);
「これで完璧だ!」と神様は満足げにSQLを実行。しかし、ここで問題が発生する。神様は「最適化のために」という理由で、過去のログを残さない設計にしていた。
SET GLOBAL log_output = 'NONE';
SET GLOBAL general_log = 'OFF';
これにより、楽園で何が行われたのか記録されない状態に。神様は「ログなんていらない!私の記憶は完璧だ!」と豪語しつつも、早速アダムを生成するのを忘れてしまう。
第二幕:エラー、エラー、エラー!
神様はアダムを手動で追加することに。
INSERT INTO Garden (ID, Name, Description) VALUES (1, 'Adam', 'The first man');
しかし翌日、「アダムがいない!」と騒ぎ出す。
原因を探るためにログを見ようとするが、ログが無効化されているため原因がわからない。神様は仕方なく再びアダムを生成。
INSERT INTO Garden (ID, Name, Description) VALUES (2, 'Adam', 'Duplicate Adam');
こうして「アダム2号」が誕生。さらに、「記憶」に頼り過ぎた結果、神様はアダム1号とアダム2号を区別できない状況に陥る。
ここでイヴを生成しようとするが、「どのアダムからイヴを作るべきか」混乱し始め、最終的に複数のイヴが誕生してしまう。
INSERT INTO Garden (ID, Name, Description) VALUES (3, 'Eve', 'The first woman');
INSERT INTO Garden (ID, Name, Description) VALUES (4, 'Eve', 'Duplicate Eve');
楽園はアダム2人、イヴ2人のカオス状態に。
第三幕:カオスの果てに
神様はなんとか楽園の混乱を収めようと、「アダムとイヴのリレーション」を記録するテーブルを作成。
CREATE TABLE Relationships (
AdamID INT,
EveID INT,
PRIMARY KEY (AdamID, EveID)
);
だが、ここでも過去のログを残さない設定が問題に。「アダム1号とイヴ1号はカップルだったのか、それともアダム2号とイヴ2号だったのか?」誰も記憶していない。神様は仕方なくランダムに組み合わせて楽園を運営するが、不満を持つアダムとイヴが次々と脱出してしまう。
最終的に楽園には何も残らず、神様はデータベースに直接書き込むことすら諦める。
「次はNoSQLでやってみるか…」とつぶやく神様の背中が哀愁に満ちていた。
解説:過去のログを残さない問題
この物語の核となる問題は「データベースにログを残さないこと」。ログを無効化することで次のような弊害が発生した:
-
トラブルの原因特定が困難
- アダムやイヴが消えた原因を調べる手段がないため、同じミスを繰り返してしまう。
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履歴の欠如による混乱
- アダムやイヴのリレーションを正しく管理できず、楽園全体がカオスに陥った。
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透明性と信頼性の低下
- 「誰がどの操作をしたのか」記録がないため、運営に一貫性が欠けてしまった。
現実のデータベース運用では、過去のログはトラブルシューティングや運用の最適化に不可欠。ログを無効化する選択は、短期的なパフォーマンス向上に見えるが、長期的な視点で見ると致命的な失敗を招く可能性がある。