はじめに
Windowsでディレクトリやファイルを選択、又は背景の位置で右クリックすると"プロパティ"等のメニューが現れます。コンテキストメニューと呼ばれます。
Windows 10まで又はWindows 11の"その他"をクリックした時に現れるメニューは、独自のメニューを追加する事ができます。
レジストリ エディタ
スタート → Windows 管理ツール → レジストリ エディタ から起動できます。
(起動には管理者権限が必要)
わかりやすい使い方 (Think IT様):
この記事ではレジストリの各キーを操作するための権限について等、レジストリの仕組みについては詳細に触れません。
レジストリの変更はWindowsの動作に影響を与えるため、取り扱いにはご注意下さい。
右クリックの対象
設定できる対象のファイルシステムには、次のようなものがあります。
- ファイル
- ディレクトリ
- ディレクトリの背景
- ドライブ
- フォルダ
ディレクトリとフォルダは何が違うの?と思いますが、
フォルダに設定するとディレクトリ、ディレクトリの背景、ドライブ及びライブラリ内の項目にコンテキスト メニューが設定されます。
但しライブラリ以下からコマンドにパスを渡すにはここで紹介する方法ではできません。
設定する対象
対象の利用者は、次のようなものがあります。
- システム (同じPCを利用する全てのユーザー)
- ユーザー (現在ログインしているユーザーのみ)
設定方法
設定範囲
まずはシステムに設定するかユーザーに設定するかを考えます。
それぞれの場合によって設定するレジストリのパスが異なります。
-
ユーザーに設定する場合(影響が狭いため推奨)
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Classes\
* / 拡張子 / Directory / Directory\Background / Drive / Folder -
システムに設定する場合
HKEY_CLASSES_ROOT\
* / 拡張子 / Directory / Directory\Background / Drive / Folder
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Classes
に設定したキーはHKEY_CLASSES_ROOT
からも見えるようになります。
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Classes
に設定したキーをHKEY_CLASSES_ROOT
から変更/削除するとHKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Classes
の中身も変更/削除されます。
設定箇所
- 全てのファイル
*
- ファイル
拡張子 (.txt
等) - ディレクトリ
Directory
- ディレクトリの背景
Directory\Background
- ドライブ
Drive
- フォルダ
Folder
設定するキーと値
-
拡張子\shell\名前\
- (既定): メニューに表示される名前
-
Icon: アイコン ファイルのパス
-
command\
- (既定): コマンド
-
command\
例えば全てのファイルに対し "メモ帳で開く" 設定をユーザーに設定する場合は次のようにします。
メモ帳で大きなファイルを開こうとすると動作が不安定になります。ご注意下さい。
キー | 名前 | 種類 | データ |
---|---|---|---|
HKEY_CURRENT_USER\Classes\*\shell\mynotepad | (既定) | REG_SZ | メモ帳で開く |
(同上) | Icon |
REG_EXPAND_SZ | %WINDIR%\System32\notepad.exe |
HKEY_CURRENT_USER\Classes\*\shell\mynotepad\command | (既定) | REG_EXPAND_SZ | %WINDIR%\System32\notepad.exe "%V" |
又は
キー | 名前 | 種類 | データ |
---|---|---|---|
HKEY_CURRENT_USER\Classes\*\shell\mynotepad | (既定) | REG_SZ | メモ帳で開く |
(同上) | Icon |
REG_SZ | C:\Windows\System32\notepad.exe |
HKEY_CURRENT_USER\Classes\*\shell\mynotepad\command | (既定) | REG_SZ | C:\Windows\System32\notepad.exe "%V" |
command の (既定) に設定する"%V"
は notepad.exe に渡すコマンドライン引数で、ここに右クリックした時のファイルが入ることによりメモ帳(notepad.exe)がそのファイルを開いてくれます。
コマンドライン引数をどのように扱うかはアプリケーションにより様々です。
%V
ではなく%1
も使用できますが、ディレクトリの背景等では%1
は使えません。
"
で囲んでいるのは、例えばC:\My Data.txt
のような完全パスに空白を含むファイルから呼び出した場合
C:\My
とData.txt
という2つのコマンドライン引数に別れてしまうのを防ぐためです。
REG_EXPAND_SZ は、データ内に含まれる環境変数を展開する文字列です。
%WINDIR%
は環境変数で、通常はWindows環境ではC:\Windows
に設定されています。
REG_SZ (通常の文字列)では環境変数が展開されないため、正しく動作しません。
レジストリ エディタでキーを作成すると、(既定)の種類が自動的に REG_SZ になってしまい、REG_EXPAND_SZ に変更できません。
そのような場合は、コマンド プロンプトから作成することができます。
REG ADD HKCU\SOFTWARE\Classes\*\shell\mynotepad /t REG_SZ /ve /d メモ帳で開く
REG ADD HKCU\SOFTWARE\Classes\*\shell\mynotepad /t REG_EXPAND_SZ /v Icon /d ^%WINDIR^%\System32\notepad.exe
SET MYVAR=^%WINDIR^%
REG ADD HKCU\SOFTWARE\Classes\*\shell\mynotepad\command /t REG_EXPAND_SZ /ve /d "%MYVAR%\System32\notepad.exe \"%1\""
REG_ADDで使うプレースホルダ | レジストリ上のルート |
---|---|
HKLM | HKEY_LOCAL_MACHINE |
HKCU | HKEY_CURRENT_USER |
HKCR | HKEY_CLASSES_ROOT |
HKU | HKEY_USERS |
HKCC | HKEY_CURRENT_CONFIG |
^%
と記述しているのは、コマンド中で環境変数を展開しないように%
をエスケープしている(%
を値として認識させる)ためです。
もしも
REG ADD HKCU\SOFTWARE\Classes\*\shell\mynotepad /t REG_EXPAND_SZ /v Icon /d %WINDIR%\notepad.exe
と打ってしまうとコマンド中で環境変数が展開され
REG ADD HKCU\SOFTWARE\Classes\*\shell\mynotepad /t REG_EXPAND_SZ /v Icon /d C:\Windows\notepad.exe
と入力したのと同じになってしまいます。
又、\"
も"
をエスケープするための記法です。
"
で囲んだ内側で%WINDIR%
と記述するとC:\Windows
に展開されてしまい、
^%WINDIR^%
と記述するとエスケープを受け付けず^%WINDIR^%
がそのままレジストリに書き込まれてしまうため
苦肉の策でSET MYVAR
で変数MYVAR
に%WINDIR%
を代入し、
REG ADD
の/d "%MYVAR%\System32\notepad.exe
の部分で/d "%WINDIR%\System32\notepad.exe
に展開させています。
キーによっては、管理者権限でコマンド プロンプトを実行していないと読み書きができない場合もあります。
元に戻すには
レジストリ エディタで shell の後(名前) のキーを全て削除します(上記の例で言えば mynotepad の部分)。
コマンド プロンプトからは
REG DELETE HKCU\SOFTWARE\Classes\*\shell\mynotepad
ここで紹介した方法ではできないこと
- 動的なメニュー
- WinMergeの拡張メニュー(1度目の選択で"Select Left"、2度目の選択で"Compare")のようなもの。
ハンドラーの登録が必要。
- WinMergeの拡張メニュー(1度目の選択で"Select Left"、2度目の選択で"Compare")のようなもの。
- Windows 11で採用されたコンテキスト メニュー
- 複数を選択して1つのアプリケーションで処理をする
- .zipファイルへの圧縮等。
この方法では選択したファイルの分だけアプリケーションが起動してしまうので、アプリケーション側でテクニックが必要(ShellExtension等)
- .zipファイルへの圧縮等。
- 管理者権限で開かせる
- 別途工夫が必要。
shell\名前
に HasLUAShield という空の値を作成することで盾付きのアイコンを表示させる事は可能。
- 別途工夫が必要。
さいごに
コマンド プロンプトではなくPowerShellでもレジストリの操作はできます。