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Docker 環境で Go Gin Webサービスを起動する

Last updated at Posted at 2023-08-14

Docker 環境で Go Gin Webサービスを起動する

こんにちは、@studio_meowtoon です。今回は、WSL Ubuntu の Docker 環境で、Go Gin Web アプリケーションをコンテナーとして起動する方法を紹介します。
gin_on_docker.png

目的

Windows 11 の Linux でクラウド開発します。

こちらから記事の一覧がご覧いただけます。

実現すること

ローカル環境の WSL Ubuntu の Docker 環境で、Dockerfile からビルドした Go Gin Web サービスのカスタムコンテナーイメージを起動します。

ネイティブイメージ形式のアプリをコンテナーとして起動

実行環境

要素 概要
terminal ターミナル
Ubuntu OS
Docker コンテナー実行環境

Web サービス コンテナー

要素 概要
app-hello-gin カスタムコンテナー
app ネイティブイメージ アプリケーション
gin Web サーバー機能を含む

技術トピック

Gin とは?

こちらを展開してご覧いただけます。

Gin (ジン)

Gin は、Go 言語向けの軽量で高速な Web フレームワークです。

キーワード 内容
高速性 Gin は非常に高速で軽量なフレームワークであり、HTTP ルーティングやハンドリングの性能が優れています。これにより、高負荷なアプリケーションでも高い処理能力を発揮します。
最小構成 Gin は最小限の機能を提供するため、不要な機能やコードが含まれません。これにより、アプリケーションのサイズや起動時間を最小限に抑えることができます。
パフォーマンス重視 Gin はルーティングやミドルウェアの処理において、最適化されたアプローチを採用しています。これにより、アプリケーション全体のパフォーマンスが向上します。
豊富なミドルウェア Gin はミドルウェアのサポートを提供し、リクエスト/レスポンスの前後で機能を拡張できます。認証、ロギング、エラーハンドリングなど、多くのミドルウェアが用意されています。
学習しやすさ シンプルなルーティングとクリーンなコード構造により、新しい開発者が迅速に学び始め、プロジェクトに参加することが容易です。
活発なコミュニティ Gin は人気があり、アクティブなコミュニティが存在します。ドキュメントやリソースが豊富で、問題を解決するためのサポートが得られます。

Dockerfile とは?

こちらを展開してご覧いただけます。

Dockerfile

Dockerfile は、Docker コンテナーを構築するためのテキストファイルです。Docker コンテナーはアプリケーションやサービスを実行するための環境を含む軽量でポータブルな仮想化ユニットです。

キーワード 内容
スクリプト形式 Dockerfile はシンプルなスクリプト形式で記述されるため、コンテナーのビルドプロセスを自動化することが容易です。
レイヤー構造 Docker イメージは Dockerfile の各命令が実行される際にレイヤーとして生成され、再利用やキャッシュが可能な構造となっています。
バージョン管理 Dockerfile はテキストベースであるため、コードと同様にバージョン管理システムで管理しやすいです。
ポータビリティ Dockerfile により、アプリケーションとその依存関係が1つのコンテナイメージにパッケージ化されるため、異なる環境間での移植性が高まります。
自動化と効率化 Dockerfile を使用することで、アプリケーションのビルドや環境構築を自動化できます。これにより、手動での作業時間やヒューマンエラーが減り、開発・デプロイプロセスが効率的になります。
再現性 Dockerfile はビルド手順を完全に定義するため、異なる環境で同じアプリケーションを再現できます。これにより、開発、テスト、本番環境間での一貫性が確保されます。
環境の分離 Docker コンテナーはホストシステムから分離されるため、アプリケーションの依存関係やライブラリの衝突を回避し、より安全な環境で実行できます。
拡張性 Dockerfile を使用することで、カスタムイメージを作成できます。このため、特定のニーズに合わせてカスタマイズされたコンテナイメージを容易に作成できます。

開発環境

  • Windows 11 Home 23H2 を使用しています。

WSL の Ubuntu を操作しますので macOS の方も参考にして頂けます。

WSL (Microsoft Store アプリ版) ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

> wsl --version
WSL バージョン: 2.2.4.0
カーネル バージョン: 5.15.153.1-2
WSLg バージョン: 1.0.61

Ubuntu ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 24.04 LTS
Release:        24.04
Codename:       noble

Docker ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ docker --version
Docker version 27.0.3, build 7d4bcd8

この記事では基本的に Ubuntu のターミナルで操作を行います。Vim を使用してコピペする方法をはじめて学ぶ人のために、以下の記事で手順を紹介しています。ぜひ挑戦してみてください。

作成する Web アプリケーションの仕様

No エンドポイント HTTPメソッド MIME タイプ
1 /api/data GET application/json

/api/data というエンドポイントに対して HTTP GET リクエストを送信すると、JSON データがレスポンスされるシンプルな Web サービスを実装します。
{"message":"Hello World!"}

Hello World を表示する手順

Go 言語のインストール

Go 言語をインストールします。

$ sudo apt update
$ sudo apt install golang

バージョンを確認します。

$ go version
go version go1.22.2 linux/amd64

プロジェクトの作成

プロジェクトフォルダーを作成します。
※ ~/tmp/hello-gin をプロジェクトフォルダーとします。

$ mkdir -p ~/tmp/hello-gin
$ cd ~/tmp/hello-gin

アプリケーションファイルの作成

app.go ファイルを作成します。

$ vim app.go

ファイルの内容

app.go
package main

import (
    "net/http"

    "github.com/gin-gonic/gin"
)

func main() {
    r := gin.Default()
    r.GET("/api/data", func(c *gin.Context) {
        response := gin.H{
            "message": "Hello World!",
        }
        c.JSON(http.StatusOK, response)
    })
    r.Run()
}
型宣言を省略せずに記述したコード
app.go
package main

import (
    "net/http"

    "github.com/gin-gonic/gin"
)

func main() {
    var router *gin.Engine = gin.Default()
    router.GET("/api/data", func(context *gin.Context) {
        var response map[string]any = gin.H{
            "message": "Hello World!",
        }
        context.JSON(http.StatusOK, response)
    })
    router.Run()
}

パッケージの追加

プロジェクトを初期化します。

$ go mod init hello-gin

Gin パッケージをインストールします。

$ go get -u github.com/gin-gonic/gin

バージョンを確認します。

$ go list -m github.com/gin-gonic/gin
github.com/gin-gonic/gin v1.10.0

ローカルで実行

ローカルで実行します。
停止するときは ctrl + C を押します。

$ go run app.go

別ターミナルから curl コマンドで確認します。

$ curl -v http://localhost:8080/api/data -w '\n'

出力

* Host localhost:8080 was resolved.
* IPv6: ::1
* IPv4: 127.0.0.1
*   Trying [::1]:8080...
* Connected to localhost (::1) port 8080
> GET /api/data HTTP/1.1
> Host: localhost:8080
> User-Agent: curl/8.5.0
> Accept: */*
>
< HTTP/1.1 200 OK
< Content-Type: application/json; charset=utf-8
< Date: Sat, 10 Aug 2024 17:07:06 GMT
< Content-Length: 26
<
* Connection #0 to host localhost left intact
{"message":"Hello World!"}

ここまでの手順で、ターミナルに {"message":"Hello World!"} と表示され、JSON データを取得することができました。

コンテナーイメージをビルド

Dockerfile を作成します。

$ vim Dockerfile

ファイルの内容

Dockerfile
# build the app.
FROM golang:1.22 AS build-env

# set the working dir.
WORKDIR /app

# copy the go module dependency files.
COPY go.mod go.sum ./

# download the go module dependencies.
RUN go mod download

# copy the app source code.
COPY app.go .

# build the go app binary.
RUN CGO_ENABLED=0 GOOS=linux go build -a -installsuffix cgo -o app app.go

# set up the container.
FROM debian:12-slim

# set the working dir.
WORKDIR /app

# copy the built app binary from the build-env.
COPY --from=build-env /app/app ./app

# expose the port.
EXPOSE 8080

# command to run the app.
CMD ["./app"]

Docker デーモンを起動します。

$ sudo service docker start

Docker 環境をお持ちでない場合は、以下の関連記事から Docker Engine のインストール手順をご確認いただけます。

コンテナーイメージをビルドします。

$ docker build \
    --no-cache \
    --tag app-hello-gin:latest .

コンテナーイメージを確認します。

$ docker images | grep app-hello-gin
app-hello-gin    latest    dc4be79aa7e0   13 seconds ago   85.5MB

ここまでの手順で、ローカル環境の Docker にアプリのカスタムコンテナーイメージをビルドすることができました。

コンテナーを起動

ローカルでコンテナーを起動します。
※ コンテナーを停止するときは ctrl + C を押します。

$ docker run --rm \
    --publish 8080:8080 \
    --name app-local \
    app-hello-gin:latest

ここまでの手順で、ローカル環境の Docker でアプリのカスタムコンテナーを起動することができました。

コンテナーの動作確認

別ターミナルから curl コマンドで確認します。

$ curl -v http://localhost:8080/api/data -w '\n'

出力

* Host localhost:8080 was resolved.
* IPv6: ::1
* IPv4: 127.0.0.1
*   Trying [::1]:8080...
* Connected to localhost (::1) port 8080
> GET /api/data HTTP/1.1
> Host: localhost:8080
> User-Agent: curl/8.5.0
> Accept: */*
>
< HTTP/1.1 200 OK
< Content-Type: application/json; charset=utf-8
< Date: Sat, 10 Aug 2024 17:13:57 GMT
< Content-Length: 26
<
* Connection #0 to host localhost left intact
{"message":"Hello World!"}

ここまでの手順で、ターミナルに {"message":"Hello World!"} と表示され、JSON データを取得することができました。

コンテナーの状態を確認してみます。

$ docker ps
CONTAINER ID   IMAGE                  COMMAND   CREATED          STATUS          PORTS
     NAMES
37f0486ba648   app-hello-gin:latest   "./app"   45 seconds ago   Up 44 seconds   0.0.0.0:8080->8080/tcp, :::8080->8080/tcp   app-local

コンテナーに接続

別ターミナルからコンテナーに接続します。

$ docker exec -it app-local /bin/sh

コンテナー接続後にディレクトリを確認します。
※ コンテナーから出るときは ctrl + D を押します。

# pwd
/app
# ls -lah
total 11M
drwxr-xr-x 1 root root 4.0K Aug 10 17:12 .
drwxr-xr-x 1 root root 4.0K Aug 10 17:13 ..
-rwxr-xr-x 1 root root  11M Aug 10 17:12 app

top コマンドで状況を確認します。

# apt update
# apt install procps
# top
top - 17:15:37 up 20 min,  0 user,  load average: 0.14, 0.26, 0.16
Tasks:   3 total,   1 running,   2 sleeping,   0 stopped,   0 zombie
%Cpu(s):  0.0 us,  0.0 sy,  0.0 ni,100.0 id,  0.0 wa,  0.0 hi,  0.0 si,  0.0 st
MiB Mem :  15949.2 total,  13308.9 free,    877.6 used,   2090.5 buff/cache
MiB Swap:   4096.0 total,   4096.0 free,      0.0 used.  15071.6 avail Mem

    PID USER      PR  NI    VIRT    RES    SHR S  %CPU  %MEM     TIME+ COMMAND
      1 root      20   0 1231484   7896   5568 S   0.0   0.0   0:00.02 app
     11 root      20   0    2576    860    768 S   0.0   0.0   0:00.01 sh
    201 root      20   0    8576   4512   2640 R   0.0   0.0   0:00.00 top

コンテナーの情報を表示してみます。

# cat /etc/*-release
PRETTY_NAME="Debian GNU/Linux 12 (bookworm)"
NAME="Debian GNU/Linux"
VERSION_ID="12"
VERSION="12 (bookworm)"
VERSION_CODENAME=bookworm
ID=debian
HOME_URL="https://www.debian.org/"
SUPPORT_URL="https://www.debian.org/support"
BUG_REPORT_URL="https://bugs.debian.org/"

このコンテナーは Debian GNU/Linux をベースに作成されています。つまり、Debian GNU/Linux と同じように扱うことができます。

ディレクトリ・ファイル構成

プロジェクトのファイル構成を表示してみます。

$ tree
.
├── Dockerfile
├── app.go
├── go.mod
└── go.sum

まとめ

WSL Ubuntu の Docker 環境で、Dockerfile からビルドした Go Gin Web サービスのカスタムコンテナーを起動することができました。

クラウド開発においては、Dockerfile の理解は重要です。自動ビルドツールもありますが、手動で書く必要があるケースもあります。Ubuntu を使うと Linux の知識も身に付きます。最初は難しく感じるかもしれませんが、徐々に進めていけば自信を持って書けるようになります。

どうでしたか? WSL Ubuntu で、Go Gin Web アプリケーションを手軽に実行できます。ぜひお試しください。今後も GO 言語の開発環境などを紹介しますので、ぜひお楽しみにしてください。

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